猫獣族カエラの追跡1
次の日からしばらくはみんなで魔法の練習をしたり常時依頼である、ゴブリンを倒したりレッドボアを狩ったりオークを倒したりして過ごした。
転送でオギゴに行ったり来たりして、特にミラが魔法の上達が素晴らしく初級の精霊魔法なら使えるくらいまでになった。
やはり魔力がエルフと違い上級精霊のアグニでさえもミラの魔力を感じるのがやっととの事で精霊魔法なのに少々発動が遅いが。ルクスでさえもミラの魔力は薄くて分かりにくいと言っていた。
「簡単に言うとユウコ達エルフは人間と比べて魔力が多いと思ったのだが濃い感じなんだな?」
「う〜ん・・・でも人間よりは魔力が高いのは間違いないし、確かに濃いと言うのが的を得ているかもしれませんね」
「魔力を仮に色で例えるとしたら、人間が白色だとしてエルフの魔力は赤色って感じで白と赤なら赤の方が目立つって感じなんだと俺は認識している」
「分かりやすいですね。多分それで合っていると思います」
この時俺とユウコとルクスはほとんどミラの魔法練習に付き合っていて、もっぱら飯はルクス担当。洗濯ってほどはないが服を洗ったり雑用はユウコがするようになっていた。ミラは魔法練習でいつも魔力枯渇気味でしんどそうだがここで頑張らないと魔力が伸びないらしく毎日苦しそうだが頑張っていた。
「マスター?今よろしいですか?」
「あぁ。カエラか。何か分かったか?あいつは剣の先生らしい事は分かった。あのダルカスをあいつの弟子の女が打ち負かしたんだ」
「え!?ダルカス様をすか!?信じられないっす!」
「本当だ。しかも奴の必殺の剣技をダルカスも覚えちまってダルカスの野郎も更に強くなりやがった」
「信じられないっす・・・それで私が近辺の街を調べましたがシルビアさんの事なら分かりましたがトレノさんの事はまったく・・・」
「そうか・・・海の向こうからって事も有り得るな」
「すいません、海の向こうはさすがに無理すよ?」
「そこまでは調べなくていい。それでシルビアとの関係性は?それと先に報酬だ。受け取れ」
「こんなにいいんすか!?ありがとうございます♪それでシルビアさんは恐らく元奴隷です。
とある街の狩人が森で人間の男女とエルフが争ってるのを見て助けようとしたら人間の男がウィンドバレットを撃ってきて逃げてしまったらしいのですが逃げる直前に隷属の首輪を嵌められると顔がエルフになったそうなのですが、首輪を嵌められる前までの顔がシルビアさんの似顔絵とまったく同じと言ってました。あんな綺麗な人を見間違えるわけないと」
「なんだと!?シルビアがエルフだと!?」
「でもエルフだとしてもエルフは魔力が高い事が有名ですが何故3級なんでしょうか?それにその隷属の首輪を付けた男女は?とも思いますが」
「この事は少しずつ調べていこう。カエラ?この事は他言無用だぞ」
「分かってますって。ただあの二人は急に見えなくなるってオギゴの門番達が言ってますね」
「足が速いんだろう」
「あの人達がどうやって任務をこなしてるか確認しますよ」
「頼んでないぞ?それにもう報酬は出せないぞ?」
「これは私が個人的に気になってるだけっすよ。獣人を見てもあの二人は侮蔑した目じゃなかったっすからね」
「ふん。前金だ。これは個人的に渡す。何か分かったら教えてくれ」
「マスターが珍しく太っ腹すね!ありがとうございます♪」
「はよ行け!」
「ゴブリンやオークが溜まってきたからギルドに売ってくるな?」
「トレノ!?今日は私の番だよね!?」
「いいえ。私の番です」
「でも四日前はルクスが・・・」
はぁ〜・・・またこれかよ。毎回毎回言い争って・・・
「たまには二人で行ってくるか?俺はミラと飯でも食ってーー」
「「いけませんっ!!!!!」」
二人揃ってなんなんだよ!?
ボワンッ
「ミラ?私は光の上級精霊ルクスです。これはライトボールといって対象の目を眩ます光属性魔法です。曹長と二人でご飯を食べる事は許しませんよ」
「ストップ!ルクスやめろ!ミラを怖がらせてどうするんだよ!そんな事するルクスとはもう街には行かん!ユウコ!ミラ!二人で行くぞ!」
「曹長!私も行きます!」
「ダメだ!ルクスは留守番!」
「あの・・・私が留守番するから・・・」
「あら?ミラ?あなたはやはり私が見込んだだけはありますわね?いつか光属性究極魔法の極意を教えましょう。曹長行きしょう」
「・・・・・・・・・・・」
「曹長?」
「ミラと仲直りして留守番がちゃんとできるなら・・・お土産を買って帰って来ようかと思ったんだけどな?(チラッ)」
「あっ!!!お土産!?曹長!私はミラに魔法を教えつつ留守番を致します!ユウコ?手を繋いだりしたらいけませんわよ?」
「そ、そんな事しません!!」
「ミラはまた今度一緒に行こうな?夜までには帰る」
「はい。いってらっしゃいませ」
街の入り口に来た二人・・・
「ルクスが悪いな。感情がまだ分かってなくて勉強中なんだ。許してくれ」
「いえいえ。ああ言いつつルクスは優しいよ。多分トレノと一緒に?今まで居たから離れたくないのだと思う」
「そうなのか?まあ分からないけど、悪い奴ではないから仲良くしてくれ」
「分かりました」
それから俺達はギルドに向かいミラの魔法練習で狩ったり倒した魔物を売った。
「良くまぁこんなに狩りましたね?レッドボアの市場が値崩れしてしまいますよ」
「ははは。運良くたまたま群れを見つけたもので」
「レッドボアは群れないんですけどね」
「やっほー!シルビアさん!それにトレノさん!」
「あぁ、たしかカエラさんでした?」
「名前覚えててくれたんすね!?今日も依頼受けるんすか?」
「いや、今日は買い出しだけですよ」
「ならトレノさんとシルビアさんのデートすか!?」
「そそそんなででデートだなんて・・・」
「シルビアさんの動揺っぷりは図星っすね!?」
カエラが話して来たのはたまたまだと自分で言ってきて、気付けばカエラも買い出しに付き合う言い、特に付き合いのある店がないんだったらカエラの知り合いの店で購入して欲しいと言われ、俺は紹介してもらう事にした。
「ここっす!私と同じ獣人族が経営する商店っす!」
獣人族とかは奴隷になるって聞いたがそこまででもないのか?ここら辺は犬ぽい人間とか猿人ぽい感じの人が多いな。
「いらっしゃい、おう!カエラか!今日はどうしたんだ?って人間か?」
「初めまして。1級冒険者に先日なりましたトレノと申します。こちらが私の仲間で3級冒険者のシルビアです」
「俺は犬獣人のバーンだ。何か用か?」
「バーンさん!そんな冷たい事はなしっすよ!今日は買い物してくれるんすから!!」
「おっおおう。客か、すまんすまん。狭いが見ていってくれ」
「シルビア?欲しい物あるなら何でも買っていいぞ」
「ありがとう!!分かったよ!!」
「カエラが人間と連むのは珍しいな?どうしたんだ?」
「あの二人は獣人族見ても何も変な目で見てこないっす。あの男性トレノさんは最初は興味津々で私を見てきてましたけどそれだけでした。今日は少し調査があるっす。バーンさんも何も言わないで欲しいっす」
「そうか。確かに良く見られる目とは違う感じがしたが。少し安くしてやるよ。調査が何か分からないが人間は油断するなよ?オギゴでは大丈夫だろうが帝都に近ければ危ないぞ?」
「大丈夫っす!」
「店主!会計頼む」
「おいおい!こんなに調味料や干し肉、小麦まで購入するのか!?」
「買い過ぎたか?」
「いいえ、これくらいは毎回購入してますよ?」
「と言う事だ。頼む」
「86万3千ギルだが・・・カエラの紹介だから85万ギルで良いぞ」
「ありがとうございます。ギルドカードからでいいですか?」
「あぁ。そんなに俺の耳が気になるか?」
「え?いやいや、そんな事はないですが獣人族と言う種族を余り見た事がないもので失礼でしたら謝ります」
「お前は珍しい人間だな。別に失礼でも何でもないが俺は男に興味がないからな。触りたいならカエラに触らせてもらえ」
「ちょ!バーンさん何言ってるんすか!?」
多分話しかけては来ないがルクスもこの事は興味津々だろうな。帰ったら俺の口からも教えてやろう。もしこの場に居たら勝手に友達になってそうだ。それにすぐにデータバンクに・・・知識の泉だったか?にアップデートするだろうな。
その後お土産に何かの肉の串焼きを購入し、マジックバックもギリギリに物資を購入したので一度拠点に戻ろうとしたが中々カエラが離れてくれないのでどうしようか悩んだ。
「カエラさん?そろそろ私達帰ろうと思うのだけど?」
俺が言いにくいのを察してかユウコが言ってくれた
「すいません!気づきませんでした!宿はどちらにお泊まりすか!?」
「私達は常宿とかないの。宿に泊まる事もあるけど森で泊まったりしてるわ」
「森にすか!?危なくないすか!?」
「トレノが居たら安全なの。強いし夜番もしてくれるしご飯も美味しいの。私はお腹空いたから早くトレノのご飯が食べたいの」
「私も食べたいっす!」
「ふふ。それはまた今度ね?じゃあね?カエラさん」
いや最後の言葉は少し棘があるような言い方だな?俺はカエラに作る気はないぞ!?
「じゃあまた今度に!カエラさん今日はありがとうございました!」
「はーい!また買い出しの時はバーンさんの店でお願いっす!」
猫獣人の追跡能力を侮らないでくださいね?トレノさん?シルビアさん?どんな身体能力魔法かけようが逃がさないすよ!




