新しい家族
「やっと・・・戻ってきたな」
『ふははは!俺っち参上!!!』
「トレノ!!無事だったのね!!良かった!!おかえり!!!」
ドンッ!!!!!
「痛っ!!おいおいどうしたんだよ!?」
「一緒に連れて行くって言ってくれたのに・・・言ってくれたのに・・・」
"曹長 無事で良かったです サポートも補助もできなくてすいません"
"良いよ。なんとかユウコの身体が手に入ったから作業用ドローンのチップを移植するか?"
"それでお願いします 私は作業用ドローンをフォーマットして私のメモリを上書きしますので少し離れます"
"了解"
それから俺はエルフのユウコを慰め、ミラはだいぶ良くなったようで精霊界の事、光の大精霊ウィスプ様に身体を作って貰った事を言った。
「俺達が精霊界に行ってどのくらい時間が経ったんだ?」
「3時間くらいでしょうか」
「時間の流れは同じなんだな」
「そんな事より光の大精霊ですって!?」
「あばばばばーー」
ミラもユウコもかなりビックリしてるな。俺もさっきはそれなりにビックリしたけど。
「けど思ってたより大精霊は優しかったぞ?イフリート様だって実は人間が好きで人間の言葉まで勉強してるみたいだったぞ?けど、大精霊が人間界に来れば魔力災害が起こるらしく来れないんだってさ」
「大精霊様が優しいの!?普通に話ししたの!?信じれないんだけど・・・」
『ねぇねぇ!?トレノ?光の大精霊ウィスプ様に会ったなら風の大精霊ジン様にも会ったの?』
『水の大精霊・・ポセイドン様にも・・会った?』
「いやその二人には会ってないな。今度ウィスプ様とかイフリート様に会ったら聞いておこうか?」
『うん!お願い!アグニが上級精霊になったのが悔しいの!!』
『私も・・・お願い・・・』
『おうおう!俺っちが上級精霊になったのがそんなに悔しいってか!?悔しかったらお前達も早く大精霊様に言って進化してもらえよ!?はははは』
『・・・アグニが・・いじめる・・グスン』
「アグニ!そんな言葉使いいけません!みんな仲良くして!もうアグニはウンディーネを泣かしたから今日は魔力なしよ!」
『そ、そんな・・・』
この感じ・・・こんな平和がずっと続くといいな。私は精霊様を感じれないけどトレノ様もユウコ様も精霊様とお話ししてるんだろうな・・・楽しいんだろうな・・・
『ⅣÅ⊿∟⊃@+※∵⌒¢-⌘▽〜』
「うん!?何!?」
「アグニ何してるの?」
『イフリート様がこの人間の女にプレゼントがあるんだって!』
「アグニ!?ちょっと待ちなさい!その魔力の塊をどうするの!?」
「何か・・そこに居る気がする・・うへ・・気持ち悪い・・」
「ミラちゃん!?大丈夫!?アグニ!今すぐやめなさい!ミラちゃんがしんどそうなの分かるでしょ!?」
アグニ様・・たしかユウコ様の・・火の精霊の名前だったよね・・私・・・ユウコ様の精霊様怒らせてしまったのかな・・・
「アグニ!いい加減にしないとーー」
「ユウコ?確かにイフリート様がプレゼントと言ってたから大丈夫だ。それが何かは俺も分からないが大丈夫だと思う。ミラ?しんどいかもしれないが頑張ってくれるか?」
「・・・はい・・・」
火の大精霊様が人間の私なんかに・・・私何かしましたか・・・そこで私の意識はなくなった。
それからアグニが魔力の塊?をゆっくりミラの胸の中に入れていって、ミラは気絶した。アグニも意識朦朧になっていた。
『さすがの・・俺っちでもしんどかったぜ・・イフリート様・・・ちゃんと契約は果たしましたよ・・』
「アグニ!?大丈夫!?魔力がなくなったの!?はい!これ!食べて!?」
『ユウコ・・魔力は確かにないけどこれを受け取ったら本当の上級精霊に・・俺はなれないんだぜ。イフリート様との契約で・・今の作業が終わり・・自然に魔力回復したら・・・・俺っちは真の上級精霊に・・・なれるんだ』
「そうなの!?無理させてごめんね。アグニは休んでて!」
『ユウコが謝る事・・・じゃない・・・悪い・・少し休ませてもらう・・・』
『あーあ。これで本当にアグニが上級精霊になってしまうよ。つまらなーい』
『・・・悔しい』
「二人ともそう言わないの!シルフもウンディーネも悪いけどしばらくアグニ見ててくれる?私はミラちゃんの横に居てあげるから」
『ほーい』『はーい』
俺もAIのユウコのアバターに着いておこう。俺はエルフのユウコにそう伝え、家の横に埋めてある脱出ポッドに向かった。
"ユウコ大丈夫か?何か手伝おうか?"
"・・・・・・・・・・・・"
作業中か。しばらくここで待とう。今まで起きた事が嘘みたいだな。フーバーは無事エクセルシオに着いたか?怪我は治ったか?もう会う事も連絡も取れないが俺は名も知らない惑星で神や精霊に会ったぞ!神や精霊は居るんだぞ!?
AIは無限の成長をするんだぞ!?軍内だけじゃなくプライベートな事も仲良くしてたら感情を持つんだぞ!?
お袋、親父も元気にしてるか?碌に孝行なんてできなかったが今頃俺の年金で楽できてるか?親父お袋にももう会えないがあなた達の息子は知らない惑星 とてつもなく遠い遠い惑星でなんとかやっていけてるぞ?
ウィスプ様に作って貰った身体とドローンを眺めてたらふと昔の事を思い出し届く事のない言葉を俺は発していた。
二度とエクセルシオに帰る事ができない。
二度と家に帰る事ができない。
二度と友達と会う事もできない。
二度と親父お袋に会う事もできない。
そう思うと自然と涙が溢れてきた。すると急に眠くなってきた。その眠気に抗おうとするが・・・優しい声が聞こえる・・初めて聞く声なのにそれはなぜか懐かしくも感じる・・・
「曹長、無理させてすみません・・寂しい思いをさせてすいません・・これから私がトレノ曹長の家族になります・・・あなたをこれからもずっと守ります・・どうか今は・・・おやすみなさい」
目の前で聞こえるのに頭の中でも聞こえるこの優しい声の主を考えながら俺は深い眠りに付いた。
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