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精霊界に転送 

 俺はアグニに渡した中継機で転送したわけだが・・・


 「ここが精霊界か?おーい?アグニ?」


 "ユウコ聞こえるか?ユウコ!?"


 『ふぁふぁふぁふぁ。よくここで自我が保てるな?人間よ』


 声がする方に向くと、なんと表していいか分からない牙が生えた巨大な動物?違う。魔物?これも違う。とにかく怒らせると非常にマズイと分かるくらいの圧がある生き物が居た。


 「あなたがイフリート様でよろしいでしょうか?」


 『ほう。我に質問するか。いかにも我が火の大精霊イフリートだ。貴様は普通の人間ではないな?この星の理から外れておる人間だな?』


 「そうです。俺はこの星の生まれではなく別の惑星の人間です」


 『嘘ではないようだな。して何用か?我の眷属アグニに奇妙な物を持たせておったようだな』


 それから俺は俺に起きた境遇、今の事を嘘を付かず本当の事を言った。このイフリートは嘘を見抜ける技か魔法かを使ってると思ったからだ。

 何故かユウコと話しもできないし、自分で考えて話すしかないな。


 『稀人でもないとな。可笑しな事だ。貴様には目的があるようだな。だが我が叶えてやる義理はない去れ』


 「待って下さい!お願いします!」


 『くどいッ!!!!この精霊界に人間が来る事すら言語道断!それなのに人間如きが大精霊に向かって願いだと!?ふん。本来なら魔力渦で貴様は塵になるか我のマナに吸収されても不思議ではない人間風情が!』


 『ちょっとイフリートうるさいわよ?』


 『取り込み中だ!我の眷属を進化させておる』


 『ただの進化で普段寡黙なあんたがうるさいわけないじゃーー人間!?人間がいるの!?』


 『あぁ。星の理から外れた人間だ。取り込まれずにここまでこれたのも頷ける。こいつは自分自身のマナを持っておらん』


 『ふ〜ん。こんにちわ!人間!私は光の大精霊ウィスプよ!あなたのお名前は?』


 「トレノリアクと申します。実はお願いがありーー」


 『あぁー、その事なら大丈夫よ?このイフリートはあんな威圧までかけて話ししてるけど人間大好きだしあなたのお願い事聞いてくれると思うわよ?』


 『ウィスプ!何を言っているんだ!?我がそんな事有り得るはずがない!』


 『だってあんたいつも眷属に人間の観察させてるの私知ってるのよ?それに人間の言葉まで勉強してるのだって知ってるのよ?』


 一体俺は何を見させられてるのだろう。あんな厳格な雰囲気だったはずだが・・・


 『私たち大精霊は人間界には行けないの。干渉すると魔力災害が起こるから。それで・・・私にも人間の願いを聞かせてくれる?』


 拍子抜けしたが俺はこの光の大精霊ウィスプという女性?に俺の出来事を話し事の顛末を伝えた。


 『まぁ!なんて素晴らしい人間なの!?正直、理が違うから分からない事、分からない単語もあったけど要はあなたは身体が欲しいのね?』


 『おい!ウィスプ!我の件だ!でしゃばるな!』


 『何よ!?偉そうに断ってたじゃない!あんたが断ったから私が手を貸すの!あんたは眷属が多いからいいけど私は眷属があまり居ないから人間界の事が分からないからちょうどいいじゃない!?』


 『おい!小僧!此奴の言葉を聞くな!身を滅ぼすぞ?』


 『言ったわね!?あれは眷属の子を人間が酷使したから塵にしてやっただけよ!昔の事掘り起こさないでくれる!?』


 なんか光の大精霊はAIのユウコに似てるような気がする。さらりと恐ろしい事を言ってるな。


 『とにかく!あんたは下がりなさい!眷属の進化してるんでしょ!!?私も私の眷属を作るわ!それで人間?大精霊と契約するのよ?あなたは何を対価にできる?』


 「契約ですか?それはどういう意味ですか?」


 『あなたは私にお願いをした。それに私は答えてあげる。その対価よ。ただで私に働かせようなんて思ってないわよね?』


 背中がゾクゾクする感じがする。この惑星に着陸する前の死戦よりヤバイ感じだ。やはりユウコの身体だからな。人一人作る禁忌みたいな事だもんな・・・


 『そんな難しく考えないで?ほら!』


 「例えばどのような対価が良いのでしょうか?私が居た国では精霊や神は居ない者と思っていたのでこういう事が初めてで・・・」


 『あら!?信仰が希薄な世界から来たのね。けどどの世界にも精霊や神は居るのよ?精霊=神=女神=妖精 世界によって言い方は違うけど居るのよ?でもどの国も上位の者は人間界に関わらないようにしてるの』


 「そうだったのですね・・・私も信仰がまったくないわけではありませんがあまり・・・」


 『いいのよ?理が違う世界から来たんだから。このウスノロのイフリートは別だけど。短気だけど許してあげて?根は優しい火の大精霊だから』


 『ウィスプ!!!言うな!!!!』


 『えっと・・・それで例えばの対価は何に・・・』


 『そうね・・・あなたの記憶・・なんてどうかしら?』


 「記憶ですか!?それはどんな風になりますか!?」


 『あなたの居た世界を見てみたいわね。どのような世界になっているのか、どんな種族が蔓延ってるのか、どのような物を食べてるのか良い所は真似しないとね?こう見えて私、アシュタルトと仲が良いの。だからアシュタルトとたまに違う世界を見に行ったりしてるの』


 「そうなんですね。それでその記憶を対価にすれば私は私の記憶がなくなるという事ですか?」


 『何バカな事言ってるの?そんな事したら面白くないでしょう?私は私の眷属のつもりで身体だけ作ってあげるの。もちろん私の眷属だからマナも人間より強くしてあげるわ。今は使命はないけどもし何かあれば今から作る子を通して神託を与えるからその時は言う通りにしなさい?』


 「その神託?に背けばどうなるのですか?」


 『面白い事言う人間ね?私あなた気に入ったわ!この世界ではアシュタルトは神、私は精霊、そこの脳筋も辛うじて精霊だけど元は一つなの。世界を創る時に別れただけだから私も神と言えば神。アシュタルトも精霊と言えば精霊なの。呼称はこの星の人間が勝手に区別して呼んでるだけなの。だから都合上神と言うけどあなたの世界の神が神託するかは分からないけど神託を受けないと言う事は星の終わりよ』


 「星の終わり・・・」


 聞くと、神託は滅多な事ではしないらしい。その惑星が消滅の危機や何かしら起こる時にそれを防ぐために神託をするらしい。

 事前にこのウィスプ様やイフリート様が人間界や世界の理を変えようとしたら歪みが出来それこそ世界の終わりになるらしい。

 だからそれを見守るために中級精霊や初級精霊などが居て、魔力の波長が合うエルフや魔力の高い人間に魔法の補助をしてあげる代わりに世界を見回りしているらしい。

 それでもし中級精霊でも手に負えない事が起これば今から進化するアグニみたいな上級精霊が赴き、それでも解決しない場合はドラゴンが動く。

 ただドラゴンは言葉こそ理解すれど、差が激しい個体が多いらしく言う事聞かない個体も居るらしい。それで最後に神託を出すらしい。これがこの世界で言う顕現と言うみたいだ。


 『だからあなたが生きてる間では神託なんか出ないかもしれないけどどうする?かなり好条件だと思うけど?本当なら寿命とか美味しいわね!』


 「ならそれでお願いします。寿命は勘弁してください」


 『楽しくないわね。あなたの性格なら寿命でも良いと言いそうだったのにね』


 このウィスプっていう光の大精霊だったか?は怖い事普通に言ってくるな。けどこれでやっとユウコの身体が手に入る。


 "ユウコ?聞こえるか?身体が手に入るぞ!!?"


 『頭に問いかけたわね?ユウコって名前だったかしら?健気な人間の男ね。もう少し待ってね』


 「何で分かったのですか?」


 『そりゃ私があなたの頭に直接マナを送り会話してるからよ?じゃないとあなたは私を認識する事も会話する事もできないのよ?あの脳筋は違う優しいプロセスで会話してたみたいだけど私はそこまで優しくないの』


 『いい加減にしろ!脳筋とはなんだ!脳筋とは!』


 『あんな馬鹿は放っておいて。だからあなたは頭のこれから私の眷属になる子と会話できなかったんじゃないかな?少し会話してみる?』


 ウィスプがそう言うと急に周囲に何も見えなくなった。


 "曹長 曹長 聞こえますか 曹長"


 "ユウコ!大丈夫だ!"


 "良かった 脳波から遮断され復旧しようとしても弾かれて どうしようかと思い 問いかけ続けてました 記憶も前後見えなくて状況が分かりません"


 "とりあえずアバターではないし条件付きだがなんとかなった。もう少し待ってくれ詳しくは後で言うから"


 "無理したんじゃないですか 大精霊の魔力が巨大すぎで私ではどうーー"


 "大丈夫だ。大精霊は巨大でとてつもなくヤバイが優しい精霊の親玉だ。安心してくれ"


 『どうだった〜?会話できたでしょう?』


 「出来ました。ありがとうございました。助かりました」


 『いいのよ〜?私は眷属には優しいの。それで身体なんだけどあなたの世界の記憶ではアバターと言ってるのね?希望はあるの?』


 「もう記憶見てたのですか!?」


 『当たり前じゃない。気になった事は早く確認する性格なの』


 どうせなら夢で見た仮想アバターと同じように言ってみるか・・・。俺は細かい指示をウィスプという大精霊に言って面倒くさがれるかと思ったが案外色々逆に細かい堀りや口角など聞いてきて、俺の想像のアバターそっくりに出来上がった。人間の綺麗な死体にも見えるが・・・


 『できたわよ?私は人間が言う芸術の神ムーサとも仲が良いからこんな事簡単なの』


 「さすがです。ありがとうございます。これだけじゃ足りないくらいの事をしてくれました。正直イメージと違いビックリもしてますが」


 『私達のイメージは所詮人間が作り上げたものだからね。神も精霊も人間も持ってる能力が違うだけで営みは同じよ?ただこの精霊界は何もないところだから面白くはないわね。だからたまに眷属を通して人間界を見るのが楽しみなんだけど私に現在眷属は居なかったから助かったわ』


 「なんで眷属が居なかったのですか?」


 『私は光属性なの。光属性は他の属性よりマナの消費が激しいの。だからこの世界で比較的魔力があるハイエルフでも中々同調できないの』


 「これからウィスプ様の光魔法私も頑張って覚えようと思います」


 『嬉しい事言ってくれるじゃない?あなたも私の眷属になる?あなたになら同調できる中級精霊くらい居ると思うわよ?」』


 「そんな無理矢理呼んでもらいたくないので、もし人間界に居る光の中級精霊が私に着いてきてくれるならその時はお願いしようと思います」


 『本当面白い人間ね?これからあなたの記憶を見てあなたの世界の神に掛け合ってみようかしら?あなたが死んだら魂の輪廻はこちらに寄越して欲しいわ』


 なんか宗教的な話しみたいになってきたぞ・・・魂の輪廻って・・・


 『脳筋イフリート!?あんたはまだ眷属の身体作れないの!?』


 『待て待て!我はこの作業が苦手でどうすれば強くカッコ良く見せれるかーー』


 『どうせ普通の人間は見れないんだから見た目はそこそこでかまわないの!こっちはもう終わったんだから早くしてよね?』


 『うるさいメスだ!ほら我もできたぞ!』


 『俺っち参上!!!このマナ・・・イフリート様!ありがとうございます!!!・・・ておい!トレノ!?来てたのか!?早くイフリート様に頭を下げてーー』


 『火の上級精霊君?その事はもう良いのよ?』


 『げっ!?光の大精霊ウィスプ様!?!?』


 『アグニ良き身体になった。これからも人間界の観察を頼むぞ。それと人間、我の眷属アグニを進化させておる時アグニの記憶を見た。人間界に戻ればアグニに聞けば良い。我からのプレゼントだ』


 『なーにがプレゼントだ。よ!?ほらやっぱり人間が好きなんじゃない!』


 『黙れ!ほら行け!』


 「イフリート様、ウィスプ様ありがとうございました。また縁があればお会いしましょう!」


 『トレノ戻るぞ!イフリート様ありがとうございました!ウィスプ様・・・失礼します』


 『火の上級精霊君?私の眷属をこの人間に着いて行く事になったから悪さしたら許さないわよ?』


 『ははははい!!だだだだいじょうぶでです!!』


 アグニがあれ程ビビるウィスプ様って・・・大変な事になったのか!?そう思いながら転送する前の場所に戻った。

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