AI ユウコの仮説
「トレノさん、ワシは今からサクソンの家に戻り家の者に会ってくる。ここからちと遠いが商業区に家と事務所があるのだがこの街は貧民区、平民区、商業区、工業区、貴族街と別れておってその区に入る場合は金がかかるのだがトレノさんの事を伝えておくからソフィーの事が終わったらワシの家に来てくれるか？」
「分かりました。いきなり押しかけるのは悪いので明日、明後日くらいに寄らせていただきますね」
「分かった。今回の事は本当に助かった。ありがとうよ」
"曹長 宿より先に ソフィーの母親の容態を確認する事を 提案致します"
"そうだな。安易に考えてたらダメだな。今でも骨折して治せずに苦しんでるかもしれないからな"
「ソフィー？とりあえず母親の元に案内してくれないか？先に容態を見ようと思う」
「分かったわ。こっちよ。私は貴族街に住んでたんだけど、例の一件があってからお店で寝泊まりしてたの。お店の周りの方が人通りが多くて危ないかもしれないけどその分何かされれば目撃者も居るかもしれないから」
「そうか。なら俺もソフィーの店近くに宿を取る事にするよ。どこか紹介してくれないか？」
「え？私の家に泊まらないの？」
「いやさすがにそれは悪いからいいよ。けどちゃんと俺ができる範囲の警備はしてやるから安心してくれ」
「この話しはまた後でしましょう」
"ユウコ、攻撃ドローンをステルスモードでこちらに一機寄越してくれ。ソフィーの店付近に怪しい奴が居たら俺に教えてくれ。同じ所、付近に二日同じ顔の奴を見掛けたら要注意だ"
"了解致しました"
"それと追加任務。作業用ドローンも寄越してくれ。もちろんステルスモードでだ。こちらはしばらく待機、怪しい人物が現れたらその人物が誰と接触するか及びその背後関係の人間を全員調べてくれ"
"かなりやる気みたいですね 了解致しました"
「ここが私の実家のお店よ」
ソフィーのお店を見て驚いた。さっき貴族街に住んでるって言うから多分ソフィー家族は貴族なんだろうって思ってたがこの商業区で目立ちはしないし、落ち着いた雰囲気の感じだがなんせデカい。かなり大きい店だ。ただ所々嫌がらせを受けた影響からか明らかに生き物の糞を壁に投げられた後のシミとかが残ってている。あれは洗っても綺麗にならないんだろう。
「おっお嬢様！！！今までどちらに行かれてたのですか！？みんな心配しておりました！！！父上は今貴族街におられます！すぐ使いを走らせ…」
「いやそれはかまわない。それに私の事は大丈夫。それよりみんなは仕事に戻って！！この人達は私の大事な客です。特にこの男性はお母さんを看病しに来てくれた人です！それに私に剣を教えてくれた先生です！」
"いや、なんか恥ずかしいしここまで紹介されて治せませんでしたじゃ通じないよな？"
"いや多分エクセルシオの薬で治るでしょう 私はとある仮説を立ててる事があります"
"それはなんだ？"
"またそれは後で 言います"
「あなた方が奥様をお治しにこられた方ですか！？失礼ながらその・・・魔術師には・・・」
「クロノア！そこまでよ！トレノの悪口は許さないよ！」
「これはお嬢様失礼しました」
「初めまして。冒険者のトレノと言います。そしてこちらが私と旅をしているシルビアと言います」
「初めまして。見た目は信用ならないかもしれませんが一生懸命ソフィーのお母様を観させていただきます」
「こちらこそ失礼致しました。タルタ家の執事を任されておりますクロノアと申します。よろしくお願い致します」
「挨拶はそこそこでいいからトレノこっちに来て」
案内された場所は普通の寝室だがベッドの上にソフィーに似た綺麗な年相応恐らく40代半ばの女性が寝ていた。寝ていたが手と足が有り得ない方向に曲がっていて顔も青タン、傷だらけだった。
"これは酷い。すぐ再生クリームを塗る"
"了解致しました"
「可哀想に・・・今薬塗ってやるから待ってな」
「そこに居るのは誰！？」
「お母様！ソフィーです！今まで顔も見せずごめんなさい！お母様を観てくれる人を探してきました！」
「え？でも呪いのペンダントが・・・」
「お母さま、私冒険者をしておりますトレノと申します。辛いと思いますので寝たままで結構です。私の見立てでは傷は治せると思います。薬を塗らせて頂いてもよろしいですか？」
「もう誰も信用できない！！どうせ治らない！！ソフィーももうほっといて！！」
「そんな事言わないで！治療してくれる人精一杯探したんだよ！？そのために剣も私覚えたんだよ！？」
"傷は治っても心のケアが大変そうだな"
"心的外傷性ストレス及び恐怖の記憶になんらかの影響があると思います あまりおすすめしませんが MD1錠剤がドローンに少し常備しております"
"MD1だと！？なんでそんな高価な薬まで持っているんだ！？"
"これは曹長のもしもの時の為に言わずに隠しておきました これはこの惑星では絶対作れない及び数に限りがありますので言いませんでした 申し訳ありません"
"傷が治ったら迷わず飲ます！いいな？"
"ですが MD1は直近数ヶ月の嫌な記憶を無理矢理消去する薬です 事前の行動が不明な人に飲ませるのはこの事件の犯人も忘却させてしまう事になります"
"かまわない そのサハリン帝国が経営してる商会だったか？俺が潰してやる。胸糞悪すぎだ"
"そう言うと 思ってました 全力でサポート致します"
"俺の我が儘ですまん。では治療始めるからエルフのユウコに耳打ちするからMD1をエルフのユウコに渡してくれるか？"
"了解致しました"
それから俺はユウコにドローンから薬を受け取ってもらうようにお願いして他にも傷がないか確認した。やはり手の骨折、足の骨折、顔の擦り傷がかなり痛々しく感じる。
「トレノ？お待たせしました。これでいい！？」
「あぁこれだ。ありがとう」
「お母さま？今薬を塗ります。もしこの薬で治らないなら私がエリクサーを提供致します。約束しますので信じていただけないでしょうか？」
「そもそもあなたは誰よ！？うちのソフィーに何を教えたのよ！？」
"これは治療どころじゃないぞ？"
"曹長 根気よく お願い致します"
「いや私はただの冒険…」
「誰！？エルフ！？」
「シルビアさん！？クロノア！早くドア閉めて！！」
「はっ」
「いきなりこんな姿になり申し訳ありません。見ての通り私はエルフです。お母さまの事を私もトレノも治してあげたいと思ってます。もし治せれなかったら私を奴隷として売ってくれてかまいません。だからこのトレノを信用してあげてくれませんか？」
「・・・・・・・ほんとうに・・・治りますか？」
「はい。治してみせます」
「分かったわ。もう体が痛くて動けないし喋ることも辛いの」
それから俺は再生クリームを骨折箇所に塗り顔にも塗った。
"MD1は少し待とう。治った後に後遺症が酷かったら飲んでもらう"
"了解 致しました"
「多分怪我自体は20分もしない内に完治すると思います。クロノアさんでしたか？この事は他言無用でお願い致します」
「トレノ様！私はなんて失礼な事を・・・・」
「いや、まだ治ってないので待ってください」
"やはり私の思った通りです"
"うん？どういう事だ？"
"私は魔力を発動してできた怪我や呪いの類ならこの星の薬とかは効かないと仮説を 立てました"
俺は意味が分からなかったので詳しく待っている間に聞いたら、AIユウコが言うにはこの星の人間は少なからず魔力が出ているらしく魔法攻撃は当たり前だが打撃にも魔力が微量乗ってるんじゃないかと仮説を立てたらしい。
その攻撃にこのペンダントの呪いみたいなわけの分からない攻撃をされたらその呪いより強力な魔法、もしくは薬じゃないと解除できないのではと思ったらしい。だが生憎俺達は魔法がない国から来て、この再生クリームには魔力はもちろん入ってないし俺からも魔力は出ていない。だからこの呪いを無視して怪我を治せるとユウコは思ったらしい。
"ですが単純にエクセルシオの軍用再生クリームが素晴らしい品という事も あり得ます"
"まあこれはエクセルシオ生体衛生医療技術局局長のマリン中将が開発したからな。この薬ができて本当に軍の死亡率が下がったらしいからな"
"確認しないまでも 治ってる事が分かります 顔の傷も治りました 後少しでも動けるようになると思います"
ドンッドンッドンッドンッ！！
「開けろ！！！私だ！！イルマ！？大丈夫かっ！？」
