ミストの思い出
「ミラ?今日はここで野営するから目が覚めるまでソフィーを見ててくれるか?俺は亡くなった人達を埋めてくる」
「分かりました。トレノ様?ソフィーを助けてくれてありがとうございます!」
「いいよいいよ。俺も少し距離を置きすぎてた気もするし。それにしてもミストは残念だっな。話しを聞いた限りでは男の鑑だ」
「そうなんです!ミストは優しくて強くて、遺跡に行く前に私達を強くするって言って冒険者になったんです」
「ミストに親は居ないのか?」
「ミストの親はもう死んでいません」
「そうか・・・。どこか墓とかあるのか?あるなら俺も一度手を合わせたいと思うのだが」
「オギゴの集団墓地に埋葬してもらいました。実はその埋葬でお金を使い果たしてしまいましてそれで準備金がなかったのです」
「そうだったのか。分かった。じゃあソフィーを頼むぞ」
そこから俺は少し離れた所に2メートル程の穴を6つ程掘って亡くなった人達を埋めた。この初老の人とどういう関係かは分からないがみんなこの人を守ろうとしてた感じだったので恐らく護衛か何かだとは思うがこんなに大勢の護衛がいるってこの人は何者なんだ?
「シルビア?少し休んでいいぞ。交代しよう」
「いえいえ、トレノはさっき埋葬して穴掘って疲れてるでしょう?私はこの人を見てるだけなので大丈夫ですよ!」
「少し話した後また寝たか」
「はい。ここはどこだ!?と周りを見て亡くなってる人を見たらパタンとまた寝ました」
「まぁ、千切れそうな所ももうほぼほぼ治ってきてるし潰れた足も再生が始まってるからもう大丈夫だろう」
「このクリームは本当に凄いですね。トレノの国はかなり進んでるんでしょうね」
「まあその分魔法がまったくなく俺達が火を使う場合は機械を使ったりしないといけないがな。どっちが良いかとは言えないが薬や人間の倫理感は今の所は俺の国の方が上かな」
「そのようですね。トレノを見てたら分かります。見ず知らずの人をちゃんと埋めてあげるなんか普通はしないですからね」
「相手に慈悲の心は忘れないようにしている。ただあの倒した魔物は別だけどな。今日は簡単スープでかまわないか?あの硬っいパンがだいぶ余ってるんだ」
「大丈夫ですよ!トレノが作る料理はなんでも美味しいから!」
「はは!ありがとうな!また落ち着いたらたこ焼きでもしようぜ」
「はい!またお願いします!」
「ミラ、お疲れ様。簡単に作ったからあまり美味くないかもしれないが食べてくれ」
「あっ、ありがとうございます!」
「ソフィーはまだ目が覚めないか?」
「まだです。あの・・・よければ見張りは私がやりますのでトレノ様は少しお休みになった方が・・・」
「いや大丈夫だ。ミラも飯食べたら少し休むといい」
「分かりました。ありがとうございます」
"あの初老の人は誰だと思う?"
"それなりの人でしょう 見た感じ護衛の人だと思いますがあんな人数の 護衛があんなに必要でしょうか たしかにオーガロードが現れ亡くなってしまいましたが あんな魔物そうそう居ませんよ"
"まあ明日直接聞いてみるよ。敵が侵入したら教えてくれ。少し寝る"
"先程は誤魔化しで言いましたがちゃんと横になって寝た方がいいと 提案致します"
"いや座ったままでいい。もしなにかあった時初動が遅くなってしまう可能性もある。エクセルシオ時間4時くらいに起こしてくれ"
"了解致しました"
そのまま俺はみんなから離れて寝たがユウコに起こされる前に目が覚めた。
"おはよう。何か変わった事はないか?"
"エルフ ユウコ様が寝ずにあの男性を看病してました"
"何やってるんだよ! 早く寝かさないとばててしまうよな"
俺はエルフのユウコの元へ急ぎ寝るようにと、午前中はこの場で待機しておく事を伝えた。
今日はエルフのユウコを休ませてから出発しよう。
「ここはどこだ!?」
「気がつきましたか?俺は冒険者をしているトレノと申します。怪我の方は問題ないですか?」
「あなたが治してくれたのですか!?ありがとうございます!このお礼は必ず!」
「いや、治したのはちょっと今は離れて居ますが私のツレの女性が治しました。今寝かせたばかりなのでまた起きてから挨拶でもしてください。それと昨日俺が作った行軍飯です。あまり美味くはないかもしれませんがどうぞ」
「いやありがたいが・・・ワシは足が潰れ、手も千切れかかってたと思うのだが・・・それに他の者は居ませんでしたか!?」
「他の方は残念ながら・・・そのままにしておくわけにもいかず、私の独断で埋めさせてもらいました。掘り返す事はできませんがこちらへ・・・この下で眠っております」
「すまない・・・。ワシは生き残った。ありがとう。許せ」
"なんかあまり感情がこもってないな。実は護衛対象じゃなかったとかか?"
"聞いてみましょう"
「よければ事情を聞いてもよろしいですか?」
「すまん、悪いが先に作ってもらった飯を食べてもよろしいか?」
「あぁ〜、これはすいません。どうぞ。ミラ、ソフィーは大丈夫なんだろう?」
「ん?ソフィー?」
「トレノ様おはようございます!ソフィーも起きましたよ!」
「トレノ昨日はありが・・・・バルおじさん!!?バルおじさんなの!?」
「おおぅ!やはりソフィーなのか!?こんな所で何をしてるんだ!?」
"二人は知り合いだったみたいだな。後で関係を聞こう"
"はい その方がいいですね"