トレノのハラスメント
俺はあの後みんなが寝静まってからしばらくずっと魔力を練っては放出練っては放出を繰り返し、90回を過ぎたくらいに急激に動悸がするようになった。AIのユウコが言うにはカリホロニウムで作った人工臓器の魔力が減り、周辺の魔力を取り込もうとしてるため動悸がするのだろうと結論がでた。本当の枯渇を体験しようともう一回魔力を練っている時に俺は急に眠気に襲われて気を失った
「曹長?曹長?聞こえますか?」
「うん?ああ。ユウコか。どうしたんだ?ってあれ夢の中か?」
「そうです。あの魔力枯渇は非常に危ないので強制スリープにさせました。あれは魔力がなくなると全ての身体の細胞が急速に老化していくので二度と試さない事を提案します」
「そうか。俺も最後の魔力を練っている時にヤバイ感じがしたんだ。ならあんなのをエルフのユウコは味わっていたのか?」
「恐らくエルフという長命種だから大丈夫だったのではと仮説を立てます」
「そうだろうな。こんなの人間なら間違いなく死ぬレベルだな今後は気をつける。ユウコありがとうな。それと、もう少し寝かせてもらっていいか?」
「いえいえ、私の任務なので。ではもうしばらくおやすみなさい」
その後しばらく睡眠して目が覚めた。昨日の夜は本当にヤバかった。もう魔力枯渇は懲り懲りだな。
それから俺はせっかくユウコが作ってくれた風呂に入らなくなるのはもったいないので朝から風呂に入る事にした。ここでやはりユウコは気づくAIなんだなと思うことがあった。昨日の残り湯を捨ててドローンで洗ってくれてる感じがしたからだ。
"ユウコ?風呂洗ってくれたのか?"
"曹長が 朝から入る習慣があったため洗っておきました"
"助かるよ。いつもありがとうな"
"いえ 気にしないでください 最近私にお礼を言ってくれる事が増えました 私からもありがとうございます"
"そうか?あまり意識はしてなかったがでも俺は本当にユウコが居てくれて助かるよ。とりあえず、アグニかシルフかウンディーネ誰かが進化する時あいつらの属性の大精霊に会うらしい。その時に依代ってのに脳があるかは分からないが何かを対価に一体くれないか聞いてみようと思う"
"でも大精霊は人間界に現れないって言ってませんでしたか"
"アグニ達が精霊界に行く時があると言っただろう?転送中継機をアグニ達に持たせたら俺も精霊界に行けるんじゃないかと思ってるんだ"
"そんな事まで考えてたんですか"
"前々から言ってるがカリホルニウムは第一ミッションだがこれはまだ猶予がある。第二ミッションはユウコのアバター探しだ。魔法も素晴らしい。素晴らしいがエクセルシオの科学も負けてはいない。そうだろう?"
"たしかに科学では出来ないこともありましたが 勝っているところもあります 大丈夫です 私が曹長を死なせたりしません"
"ありがとうな。今後もよろしく頼むよ"
"了解 致しました"
あー!気持ちよかった!ユウコ達も起きたかな?
オギゴに行って金を受け取って次の街に向かうとするか。あの魔剣と賞金も気にはなるが・・・まぁなんかあれば転送で帰ればいいだろう。
"ユウコ?これから普通なら12日程の行軍になると思うが余裕を見て15日にしよう。転送で帰ろうと思えば帰れるが俺も最近弛んできてると思うからちゃんと行軍しようと思う。この家の四方にジャミングを掛けてくれないか?万が一誰かに突発されたら迷わず転送使って戻るが良いか?"
"ジャミングはかけれますが、家ならまた別に作…"
"俺は!俺はこの家が良いんだ。分かってくれるな?"
"・・・・・了解致しました"
「あっ、トレノおはようございます!寝過ぎてしまいました!すぐに、準備致しますので!」
「いや、ゆっくりでかまわないぞ?どうせなら風呂に入ってきたらどうだ?しばらくは行軍で風呂に入らないからな」
「ありがとうございます!ではそうします!」
「アグニ、シルフ、ウンディーネ?今日からしばらく森に入る。俺はまだこの星の事を知らない。俺がもしかしたら魔物に殺される事もあるかもしれない。その時は外にいるこのドローン達をユウコに託すつもりだ。これからもユウコを守ってやってくれるな?」
「なーに言ってやがるんだ!!トレノがそうそう死ぬ事なんてないだろ!!俺っちがトレノも守ってやるよ!」
「そうそう!前は人間の男女に殺されそうになってたけどユグドラシルの木を触媒にしてる奴なんてそうは居ないでしょ!?」
「私も・・・守る・・・」
「やっぱユグドラシルの木を触媒にしてる魔法には敵わないのか?」
「ユグドラシルはアシュタルト様の魔力が入り込みすぎてるから私達の精霊魔法は弾かれてしまうの」
「そうなのか。ならもしそんな奴が居たら俺の国の武器でお前達を守ってやるよ!」
「おうおう!その時はお互い様だ!がはははは」
「朝からみんな仲が良いね!何話してたの?」
「そりゃ〜!トレノがっ…」
「いや!これからの行軍の事話してたんだよ!!!」
「・・・・うん?本当に!?何か内緒話ししてたんじゃないの?」
「本当も本当だ!まっ、とりあえずオギゴに向かおう!それに宿のおばさんにも挨拶しないといけないだろ?ロイズさんにもまた行軍に必要な物資を頼まないといけないしな!ははは」
「ふ〜ん。まっ、そういうことにしといてあげるか」
そう言いながらも転送で街の入り口まできた。
「おう!トレノにシルビアか!朝から早いな!それはそうと、例の賞金が入ったからギルドに渡しておいたぞ!やったな!トレノ!お前も大金持ちだぞ!羨ましいな!」
「おはようございます。そうですか!分かりました!ギルドにいきますのでありがとうございます!」
「そんな別嬪なシルビアが居るんだ!あまりハメ外すなよ!がはははは」
"隊長とえらい違いだな?"
"そうですね あの人は最初 エルフ ユウコ様から賄賂を受け取っていた人ですね"
「トレノ・・・?その・・・トレノも男だからね・・・少しは遊んで・・・来てもいいよ?」
「いやいや!何言ってるんだ!俺はそんな事はかまわないよ!」
「でも・・やっぱ男の人はたまには遊びたいんでしょ?おばあちゃんも縛りすぎは良くないって言ってたしそれに私達は付き合ってるわけでもないんだから・・・」
「いや正直に言うと俺も遊びたくない事はないけど今はいいよ。それにこんな美人な人が横に居たら他の人に目移りなんかしないよ。だから気にしないでくれ」
"曹長 ハラスメントに相当します"
"しょうがないだろ!今のは深い意味は断じてない!"
"どうでしょうかね 脳からまたオキシトシンが分泌してますよ"
"あぁ!もう分かった分かったよ!"
「いや、ユウコ今のは言い過ぎた悪い。だがユウコが綺麗だと思うのは本当だ」
「・・・・・恥ずかしい・・・」
「なーにやってるんだか」
「アグニ!!これは人間のラブロマンスよ!ちゃんと見なきゃ!!」
「私も・・・見る・・・」