片腕の男は賞金首だった
「おい!なんだなんだ!?その片手がないうす汚い奴は!?」
「ギルドの任務の途中にこの女性二人の悲鳴が聞こえ駆けつけた所襲われていて、俺達も襲われそうになったんで止むなく制圧した。生きてるのはこいつだけだが森に六人死体がある」
「私達は3等級冒険者パーティースピカのミラとソフィーです。トレノ様が背負ってる人がリーダーのミストです」
「そうか大変だったな。それでこの男を連れて来たと・・・うん?何か見た事ある顔だな?おい!手配書を持ってこい!」
「汚いんで分かりにくいが多分こいつは泥棒集団の黒虎のヨシュアだと思う」
「待ってくれ!俺は形は悪いが怪しい者じゃない!この腕の事だっていきなりこいつらに切られたんだ」
「隊長!ありました!こいつで間違いないです!」
「どれどれ?ほ〜う。ロドリゲス男爵とヘルナンデス準男爵とペレス子爵と・・クラーク公爵もか!おい!ヨシュア!?お前一体どんだけ貴族を襲ったんだ?かなりの賞金がお前の首に掛かってるぞ?」
"なんとなくこいつが偉そうだったからこいつを残したが殺さなくて正解だったな?"
"曹長の目利きのおかげですね"
「すまんが、貴族達からも手配が掛かってるから賞金は時間がかかるがかまわないか?」
「ああ。別に俺達はこんな奴に賞金がかかってるとは思わなくてな」
「だが黒虎のヨシュアって言えば魔法剣の使い手でかなり有名なんだがお前達は怪我してないのか?」
「隊長さん!よくぞ聞いてくれました!このトレノの剣技はとても早く何も見えないし一瞬で敵を…」
「シルビア!辞めろ!」
「え!?あ!私ったらまた・・・トレノすいません」
「分かってくれればいい。今後あまり俺の事は恥ずかしいから言わないでくれ」
「なんだなんだ!?シルビアが他人を褒めるのは珍しいな。彼氏か!?兄ちゃんも中々やるじゃないか!遅くなったが俺はオギゴ見回り隊 隊長のスミスだ」
「5等級冒険者のトレノだ。しばらく街を拠点に動くから何か進展があれば言ってくれ」
「良ければ宿を教えてくれるか?分かれば部下を向かわせるが?」
「すまん。助かる。木漏れ日亭って所だ」
「あそこか。分かった。また何か進展があれば伝える。よしお前らこいつを止血だけして牢に閉じ込めておけ!」
「それで、このミストだったか?どうすればいい?」
「ここからは私たちで運び火葬します。本当にありがとうございます!もしよければ落ち着いたらお礼をしたいのですが・・・」
「いや別にお礼なんかはかまわないんだが」
「ミストには悪いんだけど・・・ソフィーごめん!!!!トレノ様お願いします!私に剣を教えてください!!!」
「うん!?なんだ!?ごめん、なんて言った!?」
「剣を教えていただけませんか!?人の剣をジロジロ見るのは失礼と存じますがその剣は紛れもなく魔法剣。その魔法を使わずあの剣技・・・トレノ様が只者ではない事が分かります!」
「ちょっとミラ!?何言ってるのよ!?たしかにトレノ様の剣技は私も見えなかったけどあまりに失礼よ!」
「シルビア様!お願いします!シルビア様の魔法も撃つ所は見てませんが魔力を練ってる時間が異常に早いのも分かりました!どうかお願いします!」
「いや待ってくれよ。俺はあなた達より下の階級なんだぞ?それに俺は剣の達人でもなんでもない男だ。教えれる事なんか何もないぞ?悪いが他をあたってほしい」
「ソフィー!あんたからもお願いして!このまま私達二人ならとてもじゃないけど冒険者続けられないよ!?」
「いやそうだけど、なにも助けてくれた恩人に言わなくて・・・・」
「そんなにまでして冒険者続けなくても良いんじゃないか?何か理由があって冒険者をしてるなら謝るが?」
「私達二人は…」
「ミラッ!!!!!!そこまでよ!トレノ様すいません!私の方から言い聞かせておきます!お礼は近いうち必ず致します。木漏れ日亭でしたよね!?今日は本当にありがとうございました。ではまた近いうちに!」
"なんなんだ?あの二人は?"
"何か理由がありそうでしたけど でもエクセルシオの剣を広めれるのは良い事ですよ"
"何言ってるんだ!?あんなホログラム授業を齧ったくらいだぞ!?それに今更剣なんか使わんだろう?"
"たしかに宙域艦隊での決戦はディスラプター銃 チャージライフル テルミットグレネードが主流ですが 剣はメンテナンスさえすれば 永遠に使える武器ですよ"
"いや俺は永遠に使いたくないぞ?確かにこの状況なら無駄弾は使えないから剣が良いと思うが"
"エクセルシオ銀河加盟国全てに剣のホログラム科目は必須となっております それに一部の愛好家達も古代戦士が使った剣などを収集して博物館に展示したりするくらい人気ですよ"
"いやだから博物館に展示するって事は普段使わないって事だろう!?"
"そうですね ただ私はエクセルシオの剣が名も知らない惑星に広まるのは喜ばしい事だと思いますよ"
なんだよ!そうですね って確信犯かよ!俺は絶対剣なんか教えないぞ!!
「私達はどうしましょう?依頼のゴブリンも角ウサギも見つからないままだし魔法も途中でしたよね」
「とりあえず俺は返り血は浴びてないが汗を流したい。早いが拠点に戻らないか?それにまた魔石の色が普通の石に戻りそうだ」
「そうですね。私も汗を流したいです。ではユウコ様が作った家に行きましょう!」
クソしまった!たこ焼き作るって言ってたんだ・・・ちょっと面倒くさくなったんだけど・・・あのユウコのルンルンな顔・・・断れないよな・・・
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