行軍開始
「はぁ〜い!みなさんお待たせ〜!!!あら!?あなたがドラゴンスレイヤーのトレノね!?話は聞いているわよ!そしてそちらの女性がドラゴンスレイヤーを育てた師だったわね?」
俺と中将が少しギルドに行き、買い物をしようかと思ったところで、暁のパーティーとエリンダガースだろうと思う女性が現れた。
「師ではないがまぁ間違いではないな。ミシェルロアークだ。エリンダガース氏で相違ないか?」
「あら?喋り方といい、所作といいあなたも貴族かしら?」
「あぁ。国に帰れば一応な?」
「そうだったのね?その話を聞かせてほしいわ!ルイン!行けるわよ!」
「はっ。馬車を用意しております。お乗りください」
へぇ〜。やはりさすが位の高い人だ。徒歩ではなく馬車移動か。俺達は馬車を囲みの行軍か。
「懐かしい。そう思わないトレノ?要人警護だ。抜かるなよ?」
「はい。大丈夫です」
「じゃあ、ドラゴンスレイヤーさん?サクソン帝都までよろしくね?」
俺達は暁のパーティーを先頭に、俺達は後方に立ち、行軍を開始した。チラッと馬車の中が見えたがかなりの物資を積んでいるように見える。
街を出て暫くは何もない。というか、俺達の集団の後方に見えないくらいの距離にかなりの人が着いて来ている事が分かる。ミシェル中将もそれは気づいているようだ。
「中将?なんとなくですが後方・・・分かりますか?」
「うむ。恐らく私達の後ろが安全だと思い着いて来ているのだろう。もし魔物やなんかがでてくれば私達が倒すし、後方に居る奴等なんかも守る事になるだろうからな。要はお溢れだな」
多分、護衛やなんかも雇えない、もしくはケチってる人達か?別に後をつけてくるなら来るでもう少し近くに居ないと何か現れても対応できないぞ。
道そのものは新兵の時に訓練した時のような道だ。道とも言えるか分からない所を走り、泥濘みなんかはみんなで馬車を押す。念の為に中将にも伝えてはいるが、ドローンにて周りは偵察させている。
小物くらいならすぐに狩れるが、極力無駄な体力は使いたくない。
「さすがドラゴンスレイヤーだね?全然息が上がってないね?」
「いや、さすがに少しはしんどいけどな。どのくらい進むんだ?」
「もう少し先に行った所に開けた場所がある。そこで、今日は野営だ」
「了解」
途中、コボルトと呼ばれる犬のような魔物が居たがドローンにて始末させた。中将にスイッチが入ると面倒だからだ。
「よーし!今日はここまで!そろそろ夜になる!」
「ほうほう。夜はやはり動かないのだな。賢明な判断だ」
「おや?ミシェル嬢は夜の行軍もお望みかしら?」
「ルインと言ったな?その呼び方は2度とするな!いいな?私は夜の行軍でも問題ないが後ろの者達はそうはいかぬであろう?良い戦士とは領民や民を守る者だ。私は良い戦士だ」
「へぇ〜!深い考えだね?報酬も頼まれてもいない人達を守るって?」
「あぁ。私とトレノはそういう訓練をしている。な?そうだろう?トレノ?」
「え、あ、まぁそうですね」
「そっか。なら僕は邪魔しないよ?」
「ちょっとルイン!この2人が守るって言うなら私達もそうしよう!正直、このパーティーなら何人でも守れる気がするの」
「ステラは充てられてるだけだよ」
「アセス!私はそんな素人じゃない!」
「はいはい!分かったから!エリンダ様?お話は聞こえましたでしょうか?」
「聞こえたわよ?私はとやかく言うつもりはない。私は自分の身すら守れないからあなた達の邪魔だけはしないようにと静かにしているの」
「ありがとうございます。では、後ろの者もエリンダ様の名の下にお守りするように致します」
「分かったわ」
なんか軽く考えていたけど壮大な作戦のようになってきたな。こんな事になって中将が静かにしてるはずなんか・・・
「よ〜し!随分と分かっているじゃないか!エリンダ氏も分かってるな!さすが人の上に立つ者だ!私は現場が多いから下の者が多くても気持ちは分からないがあんたは違う!」
ほら始まった。まっ、これが中将のいいところでもある。オレもこの人に育てられたんだしな。
「シルビア?ルクス?後ろの人達も護衛対象だ。ミラ?夜飯は簡単な物でいい。後ろの人達にも温かいスープの一杯でも用意してくれるか?」
「は、はい!分かりました!」
「オリビア!トレノに負けるなよ?」
「ミシェル様?競い合う事ではないかと思いますが?」
「そんな事分かっている!だがトレノにだけは遅れを取りたくない!」
いやいや中将!?なんで俺に負けたくないとか言うんだ!?勝ち負けじゃないぞ!?
だが、このエリンダガース率いる俺達が後ろに居る商人や下級冒険者達を手厚くした事により更に評判が上がり名前が売れる事になる。
「おい!フーバー!早くしろ!」
「あっ、ちょ!大将!待ってください!食料と飲み物が大変なんですよ!」
「馬鹿!酒なんか持って来てどうするのだ!?貴様は遠足にでも行くつもりなのか!?」
「そ、そんな事言ったって・・・もしミシェル中将を回収すれば必ず『酒も持ってきてないのか!?』と言われるのは目に見えてます!」
「ふっ。まぁあいつが言いそうな事だ。まぁいい。ライアン!ミハエル!ニカ!お前達も来てくれるのか!?親御さんには!?」
「はっ。秘密作戦と伝えました!俺の家も、ロアーク家ほどではありませんが軍人一家です!分かってくれました!むしろ親父は喜んでいました!」
「私も母親に暫く遠征に行くと伝えました!」
「俺は家族はいません!妹が居るだけですが、独立しています!」
「そうか・・・私の我が儘に付き合わせて悪い。この作戦が上手く片付けば一度ロアーク家に招待する。それだけでは足りぬとは思うが私も立場上、他の部隊所属の者を手厚くすれば・・・」
「はい!大丈夫です!分かっています!」
「馬鹿!フーバー!貴様は呼ぶつもりはない!勘違いするな!」
「そそそ、そんな・・・」
「まぁいい。私がお前達は必ず守る!よろしく頼む!」
「「「「はっ!!」」」」
「これから出発か?」
「ろ、ロズベルグ元帥!?」
「うっそ!?げげげ、元帥様ですか!?ら、ライアン!ミハエル!ニカ!敬礼だ!!」
「いや〜、結構結構。今日は公休日だ。敬礼は不要。君はフーバー君だったね?そして、ライアン君に、ミハエル君、ニカさん、確かみんなアレスの艦に乗っていたのだったな?」
「な、何故私達の事を!?」
「当たり前だろう?私はエクセルシオ航宙軍の元帥だ。正確には第一宙域艦隊に所属ではあるがな。今は内勤だが、これでも現場の心は忘れているつもりはない」
「ロズベルグ元帥・・・お見送り申し訳ない」
「構わない。ビクトリア!必ず連れ戻せ!お前の事だから大丈夫だとは思うが、もしソンブレロやラリカールの軍に囲まれ、身動き取れなくなればこれを押しなさい。秘密、秘匿回線だ。私と、マーカス大元帥にしか渡されていない物の一つだ。お前に託すぞ」
「な、なんですかこれは!?」
「元帥以上になると国から渡される物だよ。これを押せば必ず全艦隊で向かう事になる。最大有事が起こる時に押されることになるものだよ」
「初めて聞きました!そもそも大元帥・・・マーカス大元帥とは私もお会いした事ございません!」
「ふっ。大元帥とはつまらぬ肩書きだぞ?とマーカス大元帥も毎日ぼやいている」
「そんな方なのですか・・・」
「まぁ、ビクトリアの事は褒めていたぞ?まぁとりあえずこれをお前に託す。必ず戻って来い!俺からは以上だ!」
「はっ!」
元帥だけでもなくマーカス大元帥って誰だ!?初めて聞いた名前だぞ!?
「ちょっと!フーバー!顔!顔!」
「あ、あぁ。ニカすまん」
「みんな!ベルトをしろ!噴射させる!飛ぶぞ!」
「「「「オーッ!!」」」」