無茶苦茶なミシェル中将
〜周囲の時間が止まる〜
シュゥ〜〜〜〜〜〜〜〜
「ま、まさか!?」
「嘘!?!?本物!?」
「ごきげんよう?我が子達よ?」
「うむ!アシュタルト!この者達が信じないから呼ばせてもらった!悪いな!ノルンが見えないが?」
「はぁ〜・・・あなたと言う人は・・・」
「貴方様がアシュタルト神様でしょうか!?」
「如何にも。けど私は人間界に居る事はできないの。強すぎるマナが故、人間界を破壊してしまうから手を出さないの。理の違う子ミシェル?もういいでしょう?ノルンなら後ろで私のマナを抑えてるわよ」
シュゥ〜〜〜〜〜〜〜
〜時間が動き出す〜
「え!?なんだったの!?幻!?」
「いや?だから言っただろう?本当だと。それで?何か目的があると言ったが何をするのだ?トレノ!代表で答えろ!簡潔ににな!」
あぁ〜・・・無茶苦茶だ。
「ほう?なら私もエリンダガースという女貴族に会わせてくれ。トレノは奴隷制度を廃止するという事だな?」
「はぁ〜。端的に言えばそのつもりです」
「うむ。よかろう!私もさすがに建国はした事ないがそのエリンダガースを国の頭に挿げ替えるという事だな?ルイン!是非エルフ族と呼ばれる種族を守ろうではないか!」
「ははは!面白い女性だね?気に入ったよ?けどあまり大声で言わないでくれると助かるのだけどね?」
「それはすまない。私はこれが普通だ!だがお前達のやりたい事が済めば私達に協力してもらう事になる。それはこの世界の事だ」
「うん?なに?なに?」
「それはまた追々話そう。多分話のスケールが多すぎると思う。まずは明日にでもそのエリンダに会わせてくれ」
この日俺は久しぶり会ったミシェル中将と深夜まで話し合った。エクセルシオの事、軍の事、AIの事、みんなの事だ。残念ながらアレス艦長はやはり殉死した事を聞き俺は悲しみにくれた。
だがアレス艦長こそ宙域艦隊士の鑑だと思う。俺ももしエクセルシオに帰り宙域艦隊士を続けれるのであればあのような上官になりたいと思う。そして、カオス神の事だ。
「ではミシェル中将も近々カオス神がこの惑星に帰ってくると?」
「あぁ。私は神々の戦いを見た。アシュタルトを通してだがカオス神は必ずアシュタルトを倒しに帰ってくるだろう。マナを通さない武器は神にも効く。ソンブレロとの歴史を思い出せ」
確かに最初の戦いは武器や艦を奪うような戦いだったと記憶している。それから時が経ちソンブレロの科学技術が格段に上がり今やほぼ互角になっている。カオス神の権能で操られ死をも恐れない兵というのもあるだろう。
「ならカオス神は何故ラリカールも使っているのでしょうか?」
「純粋に兵が足りないとかそんなとこじゃないか?私はカオスじゃないから分からない。ただ一つ言える事は放っておけばアシュタルトは堕とされ、この惑星は死の星に変わるという事だ。私はそうはさせたくない。そのため国を一つに纏める・・・この地域だけでも一つに纏めるのは良い事だ」
「確か海の向こうにも国がありましたね?」
「あぁ。私もオリビアを使い観測している。それにしてもお前のAIはユウコだったか?それとエルフ族の女もユウコだったな?意外だな。広大な深宇宙の違う場所にて同じ名前とはな。凄い運命だな」
「はい。俺も最初はびっくりしました」
「運命とは偶然と偶然の重なり合いからなります。ですが必然となる運命もあります」
「オリビア様は運命を司るノルン様の眷族なのですよね?」
「トレノ曹長?あなたの方が階級は上になります。呼び捨てで結構です。質問の答えは、はい。ノルン様の眷族です」
「いえ敬語で続けます。あなたはこれが必然だっと思うのですか?」
「その答えはいつか分かるでしょう。ミシェル中将にも言えない事が私には分かります。その謎はソンブレロを撃退すれば教えましょう。ね?トレノ曹長?エルフ族ユウコ?」
「え!?あ、はい!分かりました!」
「まあ私はなんとなく想像はつくがな?敢えて聞かないでいよう」
なんだろう?中将は分かるって、俺はさっぱりなんだが?
「とりあえず明日にはエリンダガース氏に会いサクソンの帝都に出発になります。転送しても構いませんがまずは相手のことを知るため相手に合わせ徒歩にて向かう事にします。中将?かまいませんか?」
「ルクスと言ったな?オリビアより人間らしい話し方だな?」
「はい。ありがとうございます。感情とは何かを日々勉強しております」
「そうか。引き続きトレノを補佐してやれ。私からは以上。ここからは・・・シルビア!例のお願いを構わないか!?」
「え!?あ、あの耳の件ですか!?」
「あぁ。実は楽しみにしていたのだ」
"ルクス!必ず映像を残せ!エクセルシオに帰ればビクトリア大将に見せるのだ!!これはスクープだぞ!"
"そんなの無理です!バレると私は破棄されてしまいます"
「おっ、おぉ!その変身の魔法はいいな!後で教えてくれ!柔らかいのだな!良い!良いな!」
「ミシェル様!?もう少し優しく・・・・」
「こ、こうか?」
こんな、姿見たくなかった。これは俺の頭の中で覚えておこう。
次の日の朝、やや混雑する一階の客を横目に見ながらチェックアウトをする。そこに暁のパーティー達もやって来た。
「やぁ。おはよう。今から呼んで来るから少し後に入り口で待っててくれるかな?」
「分かった。俺もギルドにお金だけ貰ってから出発とする」
「分かったよ。じゃあまた後で。もしかすれば少し遅れるかもしれない。エリンダ氏は朝が遅いんだ」
「ちょっとルイン!?」
「あぁ〜ごめんごめん!今のは内緒にしといてな?」
どの世界の女も朝はやはり遅いものなのか。ミシェル中将は朝でも夜でも同じだがな。
「うむ。トレノ!ギルドとやらに行こうか。私にも何かこの世界の物を奢れ!」
「え!?何か欲しい物があるのですか?」
「分からん!だが何か奢れ!お前だけ金を持ってるのは好かん!いや・・・負けた気がする!道中は私も魔物とやらを狩る!何でも入るバッグがあるだろう?あれが欲しい!」
「え!?収納バッグですか!?別にいいですがその肩にぶら下げているのは違うのですか?」
「うん?これか?これはこの惑星の友からの贈り物だ!これは私物を入れる事にした!」
はぁ〜。やっぱ我が儘中将だ。
「えっと・・・ミシェルお姉さん・・・?」
「その呼び方はむず痒い。ミシェルだけで良い。ミラだったな?それでどうした?」
「いえ、呼び捨ては苦手です。呼び方はお姉さんでお願いします。それで・・・よければこれどうぞ!私のお金です!トレノ様にいただいたお金ですが使う事があまりないのでこれでマジックバッグ買ってください!」
「ミラ・・・なんて良い子なんだ。規約上エクセルシオ加盟国ではない現地住民を招く事は許されないが事が片付けば我がロアーク家に招待しよう。そしてエクセルシオで遊べば良い!」
中将が人を招くだと!?そんな事聞いた事ないぞ!?しかもロアーク家に招くってエクセルシオでも指折りのあのでかい本家にか!?少し羨ましいぞ!?
「えっ!?えっと・・・その・・・お願いします!」
「トレノ?その目はなんだ?貴様は呼ばんぞ?このミラという子は実に良い!私もミラを守ってやろう!こう見えてもトレノの上官だからな。それとそのお金は自分で持っていなさい。私はトレノの金で買うからいい。ドラゴンスレイヤーなんだろう?ははは!」
なんとまあ男勝りなミシェル中将だ。まあ、金はかなりあるし使いきれないからいいけど。早いとこ終わらそう。帝都なら何かしら良い物でもあるだろう。そこで少しお金を使おう。