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シルビアの悲しい目

 遅い・・・。普通に眠り、普通に自分で目が覚めた。もう夜だ。だがあの2人の男と女は帰って来ない。


 「オリビア?何で戻って来ないのだ?」


 「それは分かりません」


 「いい加減腹が空いたんだがレーションを食べないといけないのか?」


 「この惑星のお金をお持ちしていますよね?ここの宿も酒を提供する施設と併設してるようですがお飲みになりますか?ちなみに私も飲めるようになりました!」


 「そうか!オリビアも飲めるようになったのか!なら共にこれからは飲めるな!せっかくだから下の階に行こうか。総じてこの世界の飯は一々そそられる物が多いのだ」


 「畏まりました」


 ガヤガヤガヤガヤガヤガヤ


 「まあまあ客が多そうだな。うんッ!?まさかッ!!!オリビア!!トレノを見つけたぞ!呑気に酒なんか飲んでやがる!!」



 「本当にこの酒は美味い!ルクス!本当に良くやってくれた!この酒をエリンダ女史に贈り物にしようと思う」


 「畏まりました!雅な瓶を見つけ少し装飾して木箱にでも入れておきましょう」


 「ほう?散々探し回ったがそんな美味いと言う酒を飲んでいるのか?」


 「そうなんだよ!これはルクスが作りーー」


 俺は上機嫌になりすぎていた。そしてあまりにも迂闊だった。久しぶりに聞く中将の声だが気付けなかった。それに助けが来るはずないと思い込み束の間の休息を満喫していたがどうもそれは許されないようだ。


 そして以前アシュタルト神様が言っていた来訪があるという意味が分かった。中将は挨拶に厳しい人だ。既に少し注目されてるが敬礼をしなければ後でどうなる事やら・・・。


 バシッ


 「エクセルシオ軍 ソンブレロ調査艦 巡洋宙域艦 第8艦隊所属 トレノ・リアク、先の艦内決戦にて脱出ポッドの故障にてこの星に不時着しておりました!」


 「直れ!楽にしろ!エクセルシオ軍 第8艦隊所属 ミシェル・ロアークは、トレノ・リアクの言に偽りなしと判断する!証人はアバターを持った私のAIオリビアだ!」


 「はっ!私はエクセルシオ第16世代軍用脳内チップAIオリビア。証人となりトレノ・リアクが寝返ったわけではないと断言します」


 パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ


 「おう!おう!何かの劇か!?」「酒の余興にゃいいな!」


 「「「はははは!!」」」


 知らない客は何かの余興に見えただろう。だが横目に見て分かる。シルビアは・・・エルフのユウコの悲しそうな目を俺は忘れない。


 俺も含め、シルビアもミラもさっきのような雰囲気ではなくなり部屋に戻る事にした。心なしかアグニ達も厳正な顔になってる気がする。


 「運命とは凄いな。私はお前達がこの惑星に不時着したと、ごく僅かな痕跡にてエクセルシオから向かって来た。そして、たまたま出会った冒険者と呼ばれる者達からこの星の事聞き、たまたま出会った別の冒険者が宿のない私を憂いて案内されたのが3部屋隣の部屋だった」


 「ぐ、偶然もあるのですね!?本国エクセルシオではどうなっているのでしょうか!?それにソンブレロの事も分かった事があります」


 「除隊したわけではないが今はその口調は辞めろ。公休日と同じでいい。それにお前と共に居る者を紹介してくれ」


 「シルビア?ミラ?たまに話に出ていただろう?俺の国の上官だ」


 「私の国の者が迷惑をかけたようだな?綺麗な女の子二人さん?私はミシェル。こっちはオリビアだ」


 「は、は、初めまして!み、ミラと申します!!!」


 「ミラと言うのか。良い名前だ。トレノから何を聞かされたか分からないがそんな驚かなくていいぞ?」


 「私は・・・ユウコと申します。そして・・・」


 シュゥーーーーーー


 「おぉ!?まさか!?エルフと呼ばれる種族か!?」


 「おい!?ユウコ!?」


 「トレノの上官でお国の方ならかまいません。私はエルフです。この国の事どこまで知ってるかは分かりませんがーー」


 「あぁ。帝国はエルフ狩りを推奨されてるんだろ?知っている。実はな・・・頼みがあるのだ。私も目ぼしいエルフは見つけてはいたのだが少し距離があってな・・・」


 「は、はい!なんでしょう!?」


 「耳を・・・耳を触らせてくれないか!?いや!ただでとは言わん!何か狩ってほしい魔物がいれば狩ってこよう!どうだ!?」


 「中将!?なに言ってるのですか!?」


 「べ、別にいいじゃないか!私もこの星の事が気になるのだ!そうだよな!?オリビア!?」


 オリビア・・・って事はミシェル中将のAIか!?何で身体持ってるんだ!?


 「トレノ・リアク曹長?あなたは私に疑問を抱いていますね?それに、ルクスでしたか?」


 「はっ!エクセルシオ第18世代軍用脳内チップAI ルクスにございます!」


 「お互いアバターをもらった身。それにあなたでしょう?知識の泉の投稿は?いえ・・・知識の泉は匿名での投稿、アップデートがマナーでしたね。失礼した」


 「いえ!私は18世代の新人です!16世代様には敵いません!」


 AI同士が身体を持ち話すのはこんな風になるんだ?初めて知ったよ。


 「まあAI同士仲良くしてくれ。この星の事はトレノの方が先輩だ。色々教えてくれ」


 「え!?あ、はい!任せてくーー」


 「とでも言うと思ったか!?あん!?私達がどれだけ心配していたか分かっているのか!?それを見つければ酒なんか飲んで可愛い現地住民の女達と飲んで!ドラゴンスレイヤーらしいな?あん?私も冒険者なんだぞ?トレノは5級だったな?私は3級から始まったのだぞ!?凄いだろう?」


 「え!?それはその・・・今日は公休日と決めてまして、たまたまです!」


 「ちょ、ちょっといいですか!?冒険者になられて始まりの等級が3級からですか!?」


 「うん?あぁ。そうだが?サクソンのギルドマスターが特別に3級にしてくれたのだ!いやぁ〜!彼の者は見る目がある男だった!それより・・・この先はどうするつもりだ?」


 ここが本題だよな。俺を迎えに来てくれ、帰りません!とは言いにくいし、カオス神の事もシルビアの事もある。


 「トレノ?私の事は気にしなくていいよ?やっぱ自分の国に帰りたいよね。私でもそう思うと思う」


 「ミシェル中将?本音で申し上げます」


 「あぁ。私は回りくどいのは嫌いだ。直属の上官として聞く」


 俺の中では既に決めていた事だ。絶対にあり得ないが元帥が第一艦隊の軍団で救出に来てくれたとしても決めていた事だ。


 「中将。わたくしトレノ・リアクはエクセルシオ軍から除隊願いを申し上げます。赴任地での突然の出来事にエクセルシオ軍探索任務は困難を極め、現地住民に恋をしてしまいました!恥ずべき感情ですが変えられない事実にございます。お借りした装備、残っているエクセルシオ関連の物資は全てお返し致します」


 「そのユウコと申す女の事か?」


 「トレノ・・・・」


 「はい。できるならばエクセルシオに連れて帰りたい、故郷を案内したいとおもいますが叶わぬ事と思い、私がこの星の住民になる事と致します。それに中将も気付いてるとは思いますがこの星の運命を変えてみたく思います」


 「ソンブレロの事か?」


 「はっ。その通りにございます」


 「トレノ・リアク!貴様の願いは一旦保留にしておく!」


 「え!?」


 「実はな・・・私も除隊させられるかもしれないのだ!なんせ宇宙ゴミのデブリと一緒に発射され、アマンダが作ったふねでここまで来たのだ。あわよくばビクトリアにお願いして揉み消してもらおうかと思ったがだいぶ日が経ってしまっている。連絡もソンブレロの事を思いしていない。ビーコンも消しているのだ」


 「なんと!?わざわざ俺のためにそこまでしてくれたのですか!?早く!早く中将はお戻りください!ソンブレロの事はオレがどうにか致します!」


 「ふん。私が敵前逃亡すると思うてか?部下を・・・仲間を置き去りにしてまたノコノコ帰ると思うてか?答えは否!私は逃げない!なんなら終戦の報を国に持って帰り、その功績にてチャラにしてもらうつもりだ!そうすればビクトリアも認めてくれるだろう!」


 なんていう人だ・・・やっぱりこの人は変わらないな。それでこそミシェル中将だ。俺はこの人の部下だった事を誇りに思う。


 「では共に戦っていただけると!?」


 「当たり前だ!そのためにアシュタルトとも会った!ノルンとも会った!オリビアのアバターは運命神が作ってくれたのだぞ?」


 「アシュタルト様!?ノルン様!?はぁ〜・・・・バタンッ」


 「おい!?ミラ!?大丈夫か!?」


 「いかん!何か病気かもしれん!オリビア!エリクサーを出せ!」


 「え、え、エリクサーをこの人も!?バタンッ」


 「おい!?シルビア!?シルビアまでどうしたのだ!?」


 さすが中将・・・俺達が半年掛けて行ってきた事を数日で終わらせたのですね。しかもアシュタルト神を呼び捨てにしてるって・・・

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