圧倒的な武
救命艇はステルス迷彩マントを被せてあるから大丈夫だろうがもうそろそろ着いてもよさそうだが・・・。
それにドローンにて一帯を隈なく探しているが一向にオギゴと呼ばれる街は見当たらない。なんなら森を抜けて30リーグ程離れた場所にかなりの大きさの街があったがそこは調査の結果、サハリン帝国の帝都らしい。
それなりに賑わってはいるみたいだ。私が見張りをしている時確認したのだが上流階級の人間達は優雅に生活をしているように思う。
ただやはり下層階級の人間は酷いものだ。ゴミを漁ってる民達も見えた。そして耳が長い一際綺麗な女達の首に鎖を付けて服も着させずに散歩させている奴も居た。
てっきり私はそういうプレイなのかとも勘繰ったが違うようだった。時間があるならばなんとかしてやりたいとも思うが、いかんせんサクソンという街も徒歩なため圧倒的に遠い。
「よし!今日はここまで!後少しだが明日の早朝に出発して昼前には到着だ!」
行軍はここまでか。
"オリビア?あの耳の長い女はなんだったのだ!?人間とは違うよな?"
"人間に近いDNAを持っているかとは思いますが調査していないため結論はつけれません"
"だがあの耳の長い人種?は、いわゆる奴隷的な感じばかりだったな?しかもあの種族の男が居ないのが不思議だ"
"調査しましょうか"
"いやいい。日に日にやる事が増えていってる気がするがトレノ救出の任務なんだからな?それに早くしないとフーバー達がやってくるやもしれん"
"私も色々知識の泉にアップデートしたいです"
"ふん。また訳のわからんデータバンクの事か"
"そんな言い方されるならcpuの暴走しましょうか あれはAIにとっては大切な社交場の一つなのです 匿名でーー"
"分かった!分かった!7日間程この惑星で滞在しよう。それでいいだろう?"
「そういえばミシェルと仮にだがパーティーを組んでから圧倒的に狩りが早くなったな」
「そうそう!チャージライフルだっけ?あれで一撃だからね!あっ!今日はシチューの味のやつだ!美味しい!」
「まあ、それなりに訓練はしているつもりだ。今更なんだが狩った獲物からは宝石が出るのが普通なのか?下衆な事を聞くようで今まで疑問に思ってたんだが最終日ともあり是非聞いておきたくてな」
「うん?これは魔石だよ?ギルドにいけばそれなりに売れるのよ。魔道具の燃料にもなるの」
"また魔法関連の事か。何か分かる事あるか?"
"今この惑星に来て知識の泉のアップデートを致しましたがかなり詳しくデータがあります"
"なんだと!?トレノのAIか!?"
"おそらくはそうだと思います 面白い 実に面白いです 中将 少し私は集中します 魔物に襲われても補助できませんがかまいませんか"
"そんなに気になる事か?"
"えぇ 上手くいけば明日にはミシェル中将も魔法が放てるかもしれませんよ"
"本当か!?よし!任す!是非集中してくれ!"
私は年甲斐もなく喜んでしまった。この歳にもなって魔法というものを知り、しかもそれを自分が使えるかもしれないと思えば自然と笑顔になる。
「あれ?ミシェルさん?何かいい事ありました?」
「うん?いやまあなんでもない。そうだな。どうせ私達は明日でお別れだ」
「えぇ〜!?ミシェルさんは誰ともパーティー組んでないのでしょう!?一緒に居ようよ!?」
「うん?あぁ。まぁな。だがやる事があるのだ。この4日間の間に狩った獲物はサンプルだけでいいから後は換金かなんかして今後の4人の装備やなんかの足しにしてくれ」
「いやそりゃこっちとしては助かるが・・・なんかなぁ・・・」
「な、なによ!?」
「いやなぁ?リリーやサーシャを見てからミシェルを見るとな?はぁ〜・・・」
「なんだ?私がなんかあるのか?」
「いや、こんな綺麗な大人の女がパーティーに居ればさぞ楽しいだろうなって思ってな?」
「なに!?私が綺麗だと!?おい!ヨハン!お前は見る目がある!明日私の剣技の真髄を見せてやろう。喜べ!私が技の披露するのはあまりないのだぞ?チャージライフルだけじゃないというのを見せてやる!」
「べぇ〜!どうせ私達になんか魅力ないですよぉ〜!!」
「リリーもサーシャも私の国に来れば男共が群がってくると思うぞ?まあ美的感覚は人それぞれだからその内、縁はあるはずだ。私は軍籍に身を置いていたから行き遅れてしまったがな。だがまだそれなりに魅力は残ってると思ってはいたのだが私の国では私は女として見られないのだ」
「え!?嘘!?ミシェルさんが女として見られないってどういう事!?こんなに綺麗でカッコよくて清潔で強い!申し分ないと思うのだけど!?」
「確かに俺もそう思うぜ?あぁ〜あ。明日で終わりか・・・」
あの顔は本当なのか!?私は騙されているのだろうか。軍に身を置いてから可愛いだなんて酔った席でも言われた事がない。私に言われるのは鬼中将、女爆裂砲撃長、バトルジャンキーとかだ。
よくて、戦う女番長とかだ。それがこの惑星の現地民は私を女として見てくれている・・・。社交辞令だろうが素直に嬉しい。このまま移住してしまおうか!?
「ここが・・・サクソンという街か!」
「そんな嬉々とするような街じゃないよ?オギゴの方が規模は小さいけど色々な魔物の肉やら魔道具が売ってるよ?ここサクソンは値段が高いだけよ?」
「いやでもこの石の壁は凄い!」
「とりあえず冒険者ギルドに行こっか!全部売って分けましょう!」
冒険者ギルドとはなんだろうな?後学のため私は基本知らない事は自分で確かめる主義だから基本あまり聞かないようにしたが・・・
「おやおや?5等級'万年ルーキーの'冒険者ライズさんじゃないか?」
「チッ。なんすか?俺達に用すか?」
「いやほらな?俺達3等級冒険者のライジングなのよ?知ってるよな?お前達と名前が似てるから迷惑被ってんの。分かるよな?」
「ヨハン?知り合いか?」
「ほっほっ!おい!こんな弱いルーキー冒険者じゃなく俺達とパーティー組まーー」
「あぁ。生憎お前達は嫌いだ。見ただけで分かる。不潔、傲慢、思いやりがない。お前友達居ないだろう?」
「「「「ギャハハハハ!!」」」」
「おいッ!テメーら!今笑った奴出て来い!」
「まあ今のは私の本音だ。私は嘘が嫌いだからな。だからもう話し掛けるなよ?分かったな?」
「クッ・・・この女がッッッッッ!!!」
ドガンッ ゴンッ
「っいて〜・・・」
「ふん。何等級か知らないが大した事ないな?ヨハンの方が余程男前だ。それに女と見てると・・・怪我じゃ済まなくなるぞ?こう見えても私は国では殺闘術ランカーに乗るのだぞ?」
「チッ貴様・・・」
シャキーーーン
「ほう?長物を抜くか?ならばそれ相応に覚悟しろよ?」
「ちょ、ちょっとミシェルさん!?」
「なんだ!?騒々しい・・・チッ。またドラゴンスレイヤーの時のような事か。おい!お前!ライジングのお前だ!お前が悪い!一目で分かる!剣を置け!」
「マスター!?こいつはーー」
「アシュタルト様に………」
「分かった!分かった!俺の負けだ!」
「ふぅ〜。良かったな?今暫し遅ければお前の右の関節を外すところだったぞ?これに懲りて偉そうな振る舞いはやめる事だな。それと私には金輪際関わるなよ?」
「と、とにかく!マスター!買い取りお願いします!そしてこのミシェルさんにギルドカードをお願いします!」




