ミシェル中将のAI オリビアの知識欲
私はこの惑星の事を・・・現地民達の事をみくびっていたようだ。科学がないから惑星レベルが下とは限らない事をまざまざと見せつけられた。
まずはマジックバックというやつだ。
「サンプルはもういいですか?」
「あぁ。これくらいでいいだろう。それは手で運ぶのか?手伝うぞ?」
「まさか!?こんな重たい物運べないよ?じゃじゃ〜ん!!パーティーのお金で買った中級のマジックバックだよ!」
「うん?ただの布袋に見えるがさすがにそれには入らないのではないか?」
「う〜ん。本当は装飾されてる可愛いデザインのが欲しかったんだけだ生憎5等級冒険者だからそこまでお金がないの。だから中古のやつだけど便利なんだよ?」
リリーがそう言った後私は目を疑った。
「収納!!」
リリーがそう言うとなんと!あの鳥の肉が消えたのだ。
「は!?なんだ!?何故鳥が消えたのだ!?」
「おいおい・・・本当か?これは俺達を試しているのか?」
「ヨハン?そんな言い方は悪いわよ?」
「いやだが・・・」
「ねぇ!?それはどういった原理なのだ!?教えてくれ!!」
「え!?ただのマジックバックだよ?気になるならサクソンに普通に売ってるからミシェルさんも買うといいよ?」
"おい!オリビア!今の原理分かるか!?物理の法則を無視している!これは世紀の大発見だ!"
"確かに私の予想の範疇も 超えています 少し調べさせていただきたい これは由々しき事態です エクセルシオ第16世代軍用AIチップの私が 知らない事象がこの惑星に二つもある事は許せません"
"その探究心には脱帽だ。まあトレノは無事と分かったんだ。作戦日数は15日前後と予想している。トレノを回収した後、直ちにエクセルシオに帰る。後、綺麗な女性と言っていた1人は現地民だと分かるが曹長と敬称を付けて呼んでいるのは誰なんだ?"
"もしかすると他の隊員と同じなのかもしれません"
"そんな綺麗な女の部下なんか居たか?私の記憶では居なかったぞ?"
"それは人間の美的感覚による差異と思います 今のもハラスメントに相当致します 容姿に能力は関係ありません"
"いやすまん。以後気をつける"
"ハラスメントに関してはもう数えきれないくらい言ってます そろそろ本当に気をつけないとAIの監査会にて情報部にバレると降格させられますよ"
"ははは!それこそ階級なんか関係ない!現場に出てこそ軍人の華だ!"
まあ関係ないオリビアとの会話もあったが驚く事がいっぱいだ。食料に関してはさすがにエクセルシオより劣っていると言わざるえないが、それでも見た感じ水分のないパンに干し肉らしき物のように思う。
私が持って来た物はヘイゼルが『1日の野外活動に疲れた身体の栄養を即座に補給できる!』と豪語して開発した軍用レーションだ。不味いの一言である。寧ろ私は乾燥パンや干し肉の方が美味しく見える。
「ミシェルさんのご飯はなんなの?」
「うん?私はレーションという奴だ。不味いんだ」
「え?何それ!?」
「う〜ん・・・クッキーみたいな物と言えばいいのか。とにかく栄養的には申し分ないが食べた気にならないし飲み物なくして食べれない物だ。よければ食べてみるか?」
「いいの!?やったぁ〜!!代わりにただのボアの干し肉と乾燥パンだけどあげるよ!」
「おっ!それこそいいのか!?一度乾燥パンってのを食べてみたかったんだ!」
「おい?ミシェルさんよ?あんたは本当にどこの出身なんだ?乾燥パン食べた事ないって相当良い所の出身じゃないのか?」
「ジョン?お前は私がどこの出身か予想してると思うけど・・・いやすまん。あなたは私がどこの出身かーー」
「ははは!初対面でお前呼ばわりの別嬪な女か!気に入った!好きに話してくれていいぜ!」
「すまん。部下と似ていてな?親近感が湧いてしまった。それで、出身を予想しているだろう?」
「あぁ。俺の予想では元バイロ公国か元アキロス公国だと予想している」
「うん?元とは?」
「チッ。外れたか・・・。というかそもそも歴史を知らないのか?どこの箱入り娘だよ!?」
「悪い。教えてくれ」
それから暫くこの国の歴史を聞いたがなんともまあ・・・サハリン帝国という国は野望に満ちた国だなと思う。エクセルシオの歴史に照らし合わせればまず間違いなく内乱の後滅亡する国だ。
暴力で国を制圧しても禍根が残るのみ。国の礎は民だ。上の者だけが喜ぶ国は長続きしない。それを体現してるかのような国だな。
"酷い国もあるのだな"
"確かにエクセルシオ史では相当古い国であったかのような事ですね"
"それよりオギゴ?は見つかったか?"
"いやそれがスリープモード故に使える装備は限られてますが見当たりません"
"は!?人が集まってるのだろう!?分かるはずだろう!?熱感知は?"
"それが反応ありません"
"まあいい。もう少し広範囲に探してくれ"
"了解致しました マテリアを3錠飲んでください"
"はいよ"
「そんな事よりれーしょんだっけ?これ凄く美味しいね!ミシェルさん!ありがとう!こんなもの初めて食べたよ!異国のお菓子みたい!」
「は!?それが美味いと思うのか!?」
「え!?かなり美味しいと思うけど・・・」
「おい!ジョン、サーシャ、ヨハンも食べてくれ!本当に美味いのか!?」
「お、おう・・・すまん。実は気になってはいたのだが飯を強請るのは冒険者としてあるまじき行為で言いにくかったのだ・・・」
私は耳を疑った。いや何もないよりはマシだし食べ物を粗末にする事はない。だが美味い美味くないは別だ。
「なんだこれは!?ただの焼き菓子のように思うが味がしっかりするぞ!?」
「本当ね?フルーツのような味がするわよ?食べた事ない味だけどどことなく懐かしく感じるわよ!?」
「俺のは肉を焼いたような味がするぞ!これは美味い!」
ヘイゼル!聞いているか!?お前の作ったレーションはこの惑星では大受けだぞ!?帰ると教えてやろう!
おかしいですね 一向に街らしきものが見当たりませんが私が見落としているのでしょうか それに魔法と呼ばれる物はなんなのでしょう 急に不明な物質らしき物があの現地民の女に集まっているように感じましたが 私ですら分からない物とはなにか
あぁ トレノ曹長は確実に生きてる事が分かりました 早くに本国に帰らねばならない事は承知してますが調べたい あれもこれもこの惑星は未知に溢れている
まずあんな巨体の生物が何故空を飛んでいたのか あそこに居るのは他の現地民の人間達でしょうか 何故身体が緑色なのでしょうか あぁ知りたい知りたい