ミシェル中将の手柄
「お、おい今の魔法はなんていう・・・・」
「ミシェルさん!!今の魔法はなんなの!?教えて教えて!!!」
「お、おい!ちょっ!離れろ!!私はそんな趣味はない!」
「ミシェルさん?ずっと森の中に居たのよね!?すごくいい匂いがする・・・」
いやそれはお前達が不潔なだけだろうと思う。毎日風呂に入らなくともタオルで身体を拭けば汗の臭いくらいは取れると思うのだがな。
"ミシェル中将 今のはハラスメントにあたります 惑星により風呂に入らない惑星もあります"
"いや、すまない。特に他意はない"
「それなりに身体には気をつけているつもりだ。不快な環境で過ごしていれば肝心な時に自分が持つ最大のパフォーマンスが発揮できないからな」
「いやそんな匂いの事より今の魔法はなんだった・・のですか?」
「さっきも言ったが喋りやすい言葉でよい。無理に敬語を使わなくてよい。さっきから魔法、魔法と言っているが魔法とはなんなのだ?」
「「「「えぇぇぇ〜〜!?!?」」」」
「なに?そんなに驚く事か?」
「いやいや・・・誰言うとはこの事なんじゃないのか?」
「そうそう!ミシェルさんがさっきコカトリスの変異種を一撃で倒したのが魔法じゃないの?それとも魔道具なの!?」
「うん?これか?これはチャージライフルと言ってだな・・・」
"あまりエクセルシオと関係ない惑星に しかも科学が根付いてない惑星に見せびらかすのは良くないと思いますが"
"手渡したりするわけじゃないから構わないだろう?それにトレノを見つければすぐに帰るから現地民と交流するつもりもない"
"了解致しました"
「見せて!見せて!」
「お、おい!?」
「へぇ〜?こんな風になってるんだ?鉄?いやその割に均一な形みたいね?ミスリルかしら?この光ってる液体はなんなの?やっぱり魔道具!?」
"聞いたか!?この惑星にはミスリルがあるのか!?"
"確かに今の口振りでは実在するように聞こえます"
"これは本国エクセルシオにお土産も渡せそうだぞ!そう思わないか!?"
"中将は軍隊規約に違反しております いくら部下の救出とはいえ エクセルシオに帰れば牢屋に よくて蟄居になるでしょう"
"はは。それはビクトリアにお願いするさ"
"そうやってまた大将に軍規違反をさせるのですか"
"なっ!人聞きの悪い!私はそこまで違反はおかしてないぞ!?"
"どうだか 7年前のーー"
"だぁー!!もう良い!!すまん!!"
「ミシェルさん?」
「あっあぁ。すまん。魔道具とかも分からないのだ。逆に魔法とは何か教えてくれないか?」
「いいけどこのコカトリスの変異種はどうするの?」
「そうだな。珍しいからサンプルに血液と羽と骨が少し欲しいな。構わないか?」
「え!?それだけ!?」
「うん?他に使い道があるのか?肉は焼けば美味そうには見えるが毒とかあるかもしれないから食う事はできそうにないが・・・」
「まぁ!?コカトリスの肉はかなり高く買い取ってくれるのよ!?確かにこれは変異種だけどギルドに持っていけば分かるはずよ!?」
「そうか。ならやるよ。私はさっき言ったのを少しくれればいい」
「え!?そんなの悪いよ!?なら半分にしない!?そのサンプル?ってのがどのくらい必要か分からないけど欲しいだけ取ったら私達がサクソンで売るからそのお金を半分渡すよ!」
「サクソンという街があるのか。分かった。ならそうしてくれ」
「本当はオギゴの方が近いんだけど今はお偉いさん達が多くて私達5等級冒険者は迷いの森の魔物退治の任務なの」
「迷いの森と言うのか。ふ〜ん。それでさっきのような鳥を倒せとの任務か」
「そうそう。本当はドラゴンが見たかったんだよね〜」
"やはりドラゴンは間違いない!私も見たいぞ!"
"ではトレノ曹長救出が終われば確認しましょう"
「っていうかこの武器、あのドラゴンスレイヤーの人も似たようなのを持っていたよな?」
「なに!?まさか!?おい!お前!」
「ちょ、ちょっとなんだよ!?」
「ヨハンだったわね!?あなたはその持ち主の事知ってるのか!?どんな服装だった!?私と同じこの紋章のある服を着てたか!?金髪だったか!?」
「いや待て!待て!俺は知り合いではないし、遠目でしか見てないから分からない!ただ、金髪は間違いない!知り合いなのか!?なら今度話しさせてくれと言ってくれないか!?」
「おい!私をその場に連れていけ!」
「ちょっとミシェルさん!?そんなの無理よ!今は偉いさん達が来てるって言ったでしょう!?しかもミシェルさんは冒険者プレートとか商業者プレートとか持ってるの!?なければ今はオギゴには入れないよ!?」
「チッ。ならどうすればいいのだ!!?」
「何をそんなに興奮してるか分からないけどとりあえずサクソンに行き商業者か冒険者に入りプレートを貰ってからオギゴに向かうといいと思うよ!」
「分かった!ならばすぐにサクソンに向かおう!案内してくれ!」
"オリビア!一機ドローンを呼び寄せてくれ!乗せて行く!"
"さすがに無理です こんな人数乗せれば燃料が足りません さっきも言ったように不必要な装備を見せるのはよくありません 私がドローンにて確認致します それに特徴がトレノ曹長と似ているとして 仮に曹長本人ならば生きてるという事になります"
"だが何故問いかけに返事しないのだ!?古い規格だが短波送信なんかもしたのだろう!?"
"そこは曹長が何かしらの理由でビーコンを切り送受信できないようにしてるとしか思えません ですが賢明な判断とも言えます 仮にもここはエクセルシオ本国は何も手出ししていない惑星 しかも生きてる星です ソンブレロと距離が近いためバレないための判断だと私は思います"
"いやすまん。取り乱してしまった。分かった。ならスリープモードでオギゴという街を探ってくれ"
"了解致しました"
「本当にどうしたの?あぁ!分かった!実はドラゴンスレイヤーさんと仲良くなりたかったの!?だからこんな遠くに来たんだ!?」
「は?違う違う!そのドラゴンスレイヤーがなんて奴か気になったのだ。もしかすれば同郷かと思ってな」
「へぇ〜?本当にそうかな?けど残念!あのドラゴンスレイヤーさんは綺麗な彼女が2人も居るし近づけないかもしれないよ?」
「リリー・・・だったかしら?あなたはやけに詳しいのね?」
「話した事ないけど少し前にギルドに魔石を売りに来た時に居たの。ジェネラルオークの魔石とか初めて見たからビックリしてたの。しかもそれを持ってきたのが私達と同じ等級の冒険者でね?」
「名前は分かるか?」
「えっと・・・相方は分かるんだけど・・・シルビアさんって人で、確か・・・トイノ?トエノ?だったかな?」
「トレノか?」
「そうそう!それよ!トレノさんだ!たしか綺麗な女性の方が曹長?とか言ってたと思う!だから元軍人さんか何かかな?と思ってるの!」
"当たりだ!オリビア!トレノは生きてる!しかもドラゴンスレイヤーという奴になっているらしいぞ!!良かった・・・本当に良かった・・・・"
"ミシェル中将 前頭前野からプロラクチンが出ております 間も無く涙が流れます 堪える事を推奨します"
"しょうがないだろ!無事だったんだぞ!!"
「お、おい!?なんだ!?何で涙流してるのだ!?」
「ちょっとミシェルさん・・・・」
"言った通りになりました"
"チッ!オリビア!覚えておけよ!!"
良かった。本当に良かった。トレノは生きてた!早く迎えに行くから待ってろよ!