最初は友達っていう話でした。4
ただ、綾女さんほどの美形なら運命をさだめと言っても様になるんだなと、どうでもいいことも考えていました。
「と、とにかく央紀君とは友達にはなれないです」
そこまで何度も繰り返して否定されると少し傷つく。
だが、そうなると俺の役割は終わったはずである。
俺は綾女さんから「帰っていいですよ」と言われるのを待つことにした。
だが綾女さんは何か考え事をしているようでこちらに声をかけてくれることはなかった。
しばらく誰も一言も発しない沈黙が続いた。
「鳥飼さん、少しよろしいでしょうか? 」
その沈黙を破ったのは綾女さんの言葉だった。
花陽は話は終わったとばかりに本棚から本を手に取り読書を始めていた。
「はい? 」
「ここでは何ですから、こちらへ」
いったん二人で、部屋の外に出る。綾女さんが扉を閉める。出ていくときに花陽と視線があったような気がしたがすぐに外れたので気のせいだろう。
「花陽さまはあなたと友達になる気はないとおっしゃってましたね」
「そうですね、すいません、お役に立てなくて」
「いえ、それで次の策として、鳥飼さんにお願いがあるのです」
「お願い、ですか? 」
「そうです、鳥飼さんにはぜひ花陽さまの友達作りのお世話をしていただきたいのです」
「友達作りのお世話ですか? 」
「そうです、最初はあなたとお友だちになっていただけたらそれでよかったのですが、どうやら花陽さまにはその気がないようです。 ですが友達というのは先ほども申し上げたように生涯の財産となるものです。 特に花陽さまにとっては。 ですので、代わりに友達作りをサポートをしていただきたいのです」
俺にはその提案は魅力的なものに思えた。それはもちろん美少女との接点を持てるという下心があったからだった。
「でも、俺にはそっけない感じでしたよ」
俺は不安点を口にする。
先ほどの彼女の態度はあまり友好的なものに俺には感じられなかった。
綾女さんは、笑顔になり、
「その点は心配ないですよ」
「どうしてですか? 」
今回も読んでいただきありがとうございます。少しでも面白いと感じていただけたのなら、ブックマークや評価、感想等よろしくお願いします。励みになります。




