続科学部再始動パーティー。1
次の日の放課後、俺たちは部活を早めに切り上げて、光堂寺の別宅へと向かっていた。
「それにしてもわざわざお祝いしてくれるなんて、さすがは光堂寺ね」
と縷々が感心したように言う。
「……嬉しい」
と涼音さんも続く。
「綾女はみなさんに自分の料理をふるまいたいんですよ」
と花陽は少し恥ずかしそうに言う。
縷々が尋ねる。
「その、今更なんだけどその綾女さんって誰? まさか万梨さんの事じゃないでしょう? 」
そうだ、俺はもうすっかりなじんでいるから、疑問に思わなかったが、初めて聞いたらそりゃそう思うよな。
花陽が、
「綾女というのは私の世話をしてくれる人で、万梨の兄ですよ」
と説明するが縷々はさらに驚いた様子で、
「世話をしてくれる人までいるなんて、光堂寺さんって本当にお嬢様なのね」
「いえ、ぞんなことは」
花陽は謙遜するが、花陽さん、あなたは本物のお嬢様ですよ。
縷々が話を戻す。
「それでその綾女さんが料理を作ってくれるの? 」
「ええ」
そんな話をしているうちに光堂寺の別宅へとたどり着いた。
玄関を開けると綾女さんが出迎えてくれていた。
「みなさん、本日はお越しいただきありがとうございます」
そう言って一礼する姿は、相変わらず様になっている。
案内された部屋では、いくつかの大皿を中心にテーブルの上に料理が並べられていた。
「この量を綾女さん一人で作ったんですか? 」
俺は思わずそう言う。
綾女さんはなんてことのないように、
「はい、お祝いということで張り切ってしまいました」
というが、張り切ってこの量が一人で何とかなるものなのか、俺は改めて綾女さんの凄さを知った。
各自料理を取り分けて席へと着く。
「本日は光堂寺にお越しいただきありがとうございます。綾女凜と申します。みなさん今後ともよろしくお願いします」
その後、綾女さんに対して初めて会うメンバーが自己紹介をする。
科学部再始動のパーティ(2回目)は始まった。
相変わらず、綾女さんの料理はプロをも超えるような出来であり、特に初めて綾女さんの料理を味わう二人はしきりに感心していた。
「ところで」
と食事も半分程度進んだくらいに綾女さんがそう切り出す。
「花陽さまは学校ではどのような様子でしょうか? 」
まるで三者面談の時の保護者のようなセリフを口にした。
「ちょ、ちょっと綾女」
花陽が恥ずかしそうに止めようとするが、
「光堂寺さんは最近では以前と違ってクラスメートとともに話している姿もよく見かけるようになりました」
と縷々が最初に反応する。同じだというように涼音さんも縷々の言葉にうんうんと頷いている。
「そうですか」
綾女さんは嬉しそうにその言葉を聞いている。
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