部員探し。2
その後も隣の席の生徒の言った通り、遠慮しているのか部員勧誘は上手いこといかなかった。
「あと3日ですね」
放課後、4人で科学部でお茶を飲んでいると花陽がぽそりと言った。
確かに今週の金曜日の期限までは今日を入れて後3日に迫っていた。
「どうしましょうか? 」
万梨が俺たち3人に意見を求める。
「どうするも何も今まで通り勧誘を続けていくしかないでしょう」
俺がそう返すと、
「でもそれをやって今のところ上手くいっていないのですが」
「でも他に方法もないと思うけど」
「そうなんですよね。どうすればいいのか? 」
「……みんな、せっかく入ってくれたのにごめんなさい」
涼音さんはそう言うがその言葉を花陽が否定する。
「そうですよ、涼音さんが悪いわけではないんですし。でもあと3日というのはやはり厳しいですね」
「先生に期限を延ばしてもらうというのはどうでしょうか? 」
「そうね、万梨。それも考えたほうがいいわね」
「では、早速行きましょうか? 」
「そうね、じゃあ私と涼音さんで行ってくるわ。涼音さんは実績もあるんだし先生がたも少しは考えてくれるかもしれないし。涼音さん、行きましょうか」
「……うん」
そう言うと花陽と涼音さんは職員室へと向かっていった。
残された俺と万梨はしばらくの間、お互いに話すこともなくただ座っていた。
先に沈黙を破ったのは万梨の方だった。
「鳥飼さん、どう思いますか? 」
「どうとは? 」
主語が見えず、俺は聞き返す。
「この部活の存続のことです。今花陽さんたちが交渉に行っていますが、もしうまくいったとしても期限が伸びるだけでしょう。それではやはりまた同じ問題が起きてしまいます。人を集めるために他にどんな手があるかということです」
「手っていっても、やっぱり地道に勧誘を続けていくしかないような気が」
「果たしてそれで人が集まるでしょうか? 」
万梨はそこでいったん会話をやめる。続きを話すべきか迷っているようだった。
だが、やがて意を決したようで続きを話し始める。
「昔からそうなのです。花陽さんは人よりも多くの能力を持っています。それに光堂寺の家の人間だということもあり、遠くから見られることはあっても近づいてくる人間はあまりいなかったのです。それが最近はクラスでもクラスメートたちと話す機会も多くなって少しは良くなったと思っていたのですが、やはりそう簡単に物事は進んで行かないようです」
その内容は最近新聞部だという、隣の席の生徒から聞いたものと似ていた。
それに、と万梨は続ける。
「今回はそれに加えて、もう一人の花陽さんにも劣らないような能力の持ち主が花陽さんの近くにいています。余計に近づきがたいと思われているかもしれません」
そう語る万梨の顔は悲しそうだった。
「だからこそ、花陽さんには友達が必要だと思うのです。その場所を守るためには私は全力でできることをするつもりです。それに、花陽さんと涼音さんは友達になれそうだと思いませんか? 」
それは俺も思っていたことだった。能力が花陽と近い涼音さんなら今までで一番友達になれる可能性が高いともいえる。
「そうだな、じゃあもう少し方法を考えてみるか」
その俺の言葉に反応して、万梨は鞄からノートをとり出して何やら書き始める。
そのノートを覗いてみると、「部員募集案」と書いてあり。その下にいくつかの項目が書いてあった。
「何か今思いつくものはありますか? 」
「やっぱりチラシやポスターとかかな」
万梨がノートにチラシやポスターと書く。
「でも後3日で効果ありますかね? 」
万梨が疑問を口にする。
「まあ、やらないよりはあると思うし、どのみち3日でやれることなんて限られているんだから、やれるべきことをやるべきだと思う」
「それもそうですね」
「万梨は何か意見とかある? 」
俺がそう言った時、モニターから音がした。
そっちの方を向くとモニターには花陽と涼音さんの様子が映っていた。
扉の向こうから声がする。
「モニターに映っている緑のボタンでドアが開くそうです」
緑のボタンはすぐに見つかった。
そうか、これで管理しているんだな。
俺がボタンを押すと扉が開き二人が入ってきた。
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