再びの試験
「それはよくありませんね」
二日目の学校が終わった後、またまた訪れた光堂寺の別宅で、綾女さんに昨日の夜思ったことを告げると、そのように返された。
「やはり一緒にいる時間が減ってしまいますと、サポートもしにくいでしょう」
そこで、と綾女さんは切り出し、
「鳥飼さんにはたびたびお願いをして申し訳ないのですが、Sクラスに入ってもらいます」
「Sクラスですか? だって俺Aクラスって決まりましたよ」
「鳥飼さん、レヴィンのクラスが成績によって振り分けられるというのはご存知ですか? 」
「はい、昨日先生から説明を受けました」
「実はそのクラス分けというのは、定期考査ごとに行われるのです」
「そんなに頻繁にあるんですか? 」
「レヴィンは機会をいくらでも提供してくれる場所ですから」
「でも、確か試験って」
「そう、10日後ですね」
「間に合いますかね? 」
俺はそう聞いたが本心では無理ではないかと思った。レヴィンに入る時も時間がなかったが、今回はただ入るだけの実力をつければいいのではなくて、その中でずっと学んできた生徒たちのさらに上をいかなければならないのである。
「間に合います。鳥飼さんは覚えがいいですし、私もまた微力ですがお手伝いさせていただきますので」
Sクラスの定員は他のクラスとは違い、約20人程度で一定水準を超えることができれば入ることができるらしい。
だからと言って、チャンスが広いという話ではなく、いくら綾女さんの力を持ってしても、テスト範囲の授業も全部受けていない俺にとっては無謀なようにも思えたが、綾女さんの講義は楽しいのでできるだけ頑張ってみることにした。
こうして、レヴィンに入るため綾女さんに教わった日から、そんなに日が経つことなく、再び今度はトップ20をかけての勉強が始まった。
綾女さんの講義は、相変わらず学ぶ楽しさというのを存分に味わえるようなものであり、俺は毎日ワクワクしながら学ぶことができた。
そして前回と違うのは、綾女さんの講義を、俺、花陽、万梨の3人で受けているということである。いつもテスト前や普段の時にも二人は綾女さんに教わっているらしい。
綾女さんは俺のために、お互いに教えあったりする機会も講義の中に取り入れてくれた。
その中で気づいたのだが、万梨の教え方も綾女さんに非常によく似ている。
それに、二人の集中力はすごいものであった。
なるほどこれがレヴィンのトップに君臨する才女たちの才能かと俺は感心する。
というか、クラスメートの話では万梨は学年三位という話であったように思う。
ここまでの実力を持った万梨で三位ということは二位になる人物もよほどの学力はどんな生徒だろうと俺は気になった。
とにかく、勉強会の第二弾の会は順調に進んで行った。
一方、花陽の友達作りのお世話の方は、クラスも違うし、帰る時も俺、花陽、万梨の三人で帰ることが続いたので特にというか、何も進展はなかった。
というか、万梨は上手く花陽と他の生徒の距離を埋めることが苦手らしく、つい保護者のような立ち位置で花陽のそばにいてしまうという癖があることが、隣の席の女子生徒の話や、俺ができる範囲で二人のことを見ている中で分かったことだった。
だが、やはりクラスが違うので、接触も限られるため、出来ることもこれと言ってなく、ただ綾女さんが講師を務める勉強会を三人で受ける日々が続いた。
そして迎えたテスト当日、レヴィンのテスト問題はやはり凝っていて、勉強というより学問の基本を問うような問題が多いように思えた。
俺も、綾女さんに教わっていく中でかなりレベルアップはしてきたつもりだったが、やはりというべきか、編入試験の時よりも難しく、中々に苦戦をした。
ただ何とか、大幅に崩れることはなかったように思うが、果たしてこれでSクラスに行けたのだろうか。
「よく、頑張りました」
テストが終わった日、綾女さんに自己採点をしてもらって、最初にもらった言葉がこれであった。
綾女さんはいつもの微笑みを絶やさず、ほめてくれたが実際のところはどうなのか聞いてみた。
「そうですね」
真剣な顔になって綾女さんが続ける。
「鳥飼さんの今の実力なら、この問題とか、後この問題とかにみられるように、何問かは拾えたと思える問題もありますが」
と、俺に問題用紙を見せながら指摘をしてくる。
「今回の難易度からすれば、おそらくはSクラス入りの水準は超えているかと思われます」
そう笑顔に戻って言ってくれる綾女さんの言葉が、俺はとても嬉しかった。
「本当ですか? 」
「はい、ですが結果を見るまでは分からないということも覚えておいてくださいね」
「分かってます」
「おめでとう、央紀君」
「鳥飼さん、おめでとうございます」
一緒に自己採点をしにきてもらいに来ていた、花陽と万梨もそう言ってくれる。
ちなみに二人の自己採点はというと、いつも通りの出来だったらしい。
編入試験に限らず、この学校はテストが返ってくるスピードがとても速い。
試験が終わった日の翌日には、テストの返却と順位の張り出しがなされていた。
一位は花陽、三位は万梨で、俺はというと、何とか17位という順位をとることができたため、新たに発表されたクラス分けでは無事Sクラスへ行くことが決定した。
ちなみに、気になったので二位を見てみると、涼音綾という名前であった。
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