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最初に言っておく‼︎ 転生者はキミだけではない‼︎  作者: クリクロ
第二章 『動き出した思惑編』
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幼き日々06


 ギガバビルの位置と、そこから向かおうとしている保養所とのほぼ中間にホウセツはポジション取りをした。しかし足場がここまで酷いとは思わなかった。氾濫した泥水が膝下まで冠水している。これでは機動力において相当なマイナス要だ。それはギガバビルにも同じことが言えるが、子供を見失った事で興奮している状態なので、あまり関係なく突進してくる。もはや弱体魔法を何度かけても効果がなかった。


そこへネイフールがギガバビルの子供を持ってやって来た。


「ホウセツさん〜『原因』を持ってきましたぁ‼︎」


「ダメだ、今来ては‼︎」


我が子の匂いを感じ取ったのか⁉︎……瞬時にギガバビルは突進進路をホウセツからネイフールの方へ急に進路を変え向かっていった。予期せぬ行動にネイクールの対応は遅れた。ネイクールの移動系魔法、特に加速移動【ブースト】は圧縮した空気を地面にぶつける反動で、移動補助を行う魔法である。つまり、膝下まで冠水しているこの状況では魔法力は半減するし、効果そのものを期待出来ない。


それでも魔法による少しの浮力でとっさに体をひねり、ギガバビルの直撃は避けれた。しかしかすっただけでもその衝撃は酷く、10m以上吹き飛ばされ、保養所の穴のあいた壁に衝突した。唯一、直撃を食らう瞬間にギガバビルの子供をホウセツさんの方へ投げたのが機転だった。その為、被害はネイフールだけだった。


しかし、その光景を先ほどの少年が破壊された壁の穴から見ていたのだ。少年は、私が約束を破ったのだと思ったのだろう。「嘘つき‼︎」と言って、穴から飛び出し、冠水した道をかき分け、投げ出したギガバビルの子供の方へ向かった。


ネイフールは全身を強打し、意識が飛びそうだったが、少年の動きは視界に入った。そして、残りの力を振り絞り、少年を追いかけた。


放り投げたギガバビルの子供を受け取ったホウセツは、瞬時にそして意図的に親のギババビルの方へ向かった。同時に拘束魔法【ロックロープ】で、まず手前の瓦礫がれきを一巻きし、その先をギガバビルに放った。ロックロープはギガバビルの特徴的な鋭い牙にくくる事で進路を変更し、少年の方へ突進するのを一時的に封じた。


「長くは持たない。ネイフール‼︎ 急いで、少年とこの場を離れるんだ‼︎」


大ダメージを受けながらもネイフールはブーストを水中から真下に発動し、一次的に水上にジャンプした。続いて丁度流されていた丸太に飛び乗り、再度ブーストで丸太ごと移動し少年を捕まえた。そして少年をさとすように、気力を振り絞り言葉を伝えた。


「……勘違いしないで……くれたまえよ。……別に約束を破ったつもりでははないんだ」


そういうと、少年を抱きかかえたまま、反転しこの場を撤退しようした。

その瞬間、ギガバビルは鋭い牙を少年に向けて発射して来たのだ。どうやら、少年に我が子の匂いを感じたのだろう。そのせいで、ホウセツでもなく、ネイクールでもなく、少年が標的ターゲットにされた。



ホウセツがロックロープを引っ張っぱり照準をずらそうとしたが間に合わなかった。ネイクールはありったけの魔法を慣れない水上ブーストにつぎ込んでいたために、防御魔法まで手が回らなかった。もはや考えている時間はなかった。少年を抱えるように背中で牙を受け止めた。その勢いで吹き飛ばされ、そのまま少年と共に濁流に飲み込まれ流されてしまった。


「ネイクール‼︎」


ホウセツの叫びは届かなかった。そして拘束魔法を解いてすぐ追いかける事すら出来なかった。ギガバビルの子供をネイクールから預かった時点で、今度のターゲットはホウセツに移行した。周囲を見回してもギガバビルの子供を安全に置く場所が周囲には見当たらない。膝下まで冠水している状態では下ろすことも出来ない。つまりネイフールを助けに行きたくとも、その手段を封じられてしまった。



両足は冠水した水に封じられ、左手はギガバビルの子供を抱いている。いくら天才と言われたホウセツでさえ、思うように魔法が出せる状態ではなかった。



ホウセツの不利状況とは裏腹に、親のギガバビルは相変わらず怒りで正気ではない様子だ。そして冠水の抵抗など関係なく迷わず突進して来る。そして衝突する次の瞬間、ホウセツはギガバビルの子供を宙に投げた。そして両手で水面を弾き、足を水から抜け出した勢いで、ギガバビルの頭を蹴った。さらにその反動を利用して、宙へと飛んだ。その流れで空中で子供をキャッチし、今度は先ほどのロックロープを倒れかけている屋根の先端に引っ掛け、ロープを縮める事で、冠水の届かない平屋の屋根に移動し、ギガバビルの突進を回避した。


ネイクールと少年の消息不明という動揺がある中、ギガバビルの子供も守りつつ危機を最善の一手で瞬時に回避する。……まさにギリギリの立ち回りだった。しかし無傷とは行かない。ギガバビルが突進してくる頭を蹴る際、その衝撃を完全に受け流す事が出来なかった。


……両脚に力が入らない。もうこの技は使えない。というか、立つのがやっとな状況に陥ってしまった。

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