川田 ケイ(カワダ ケイ)01
「うーん、」
「次の方、どうぞぉ〜こちらへ」
「もう少し、寝かせて〜ママぁ」
「……師匠〜今度の方は、完全に寝ぼけてますよ。完全に朝の気だるいモードと勘違いしてますよ」
「そうだね。この期に及んでマイペースを崩さない。……なかなかの資質かもしれないね。伸び代があるかもしれないね」
「成長過程が早いってことですか⁉︎」
「まぁ〜それは、本人次第だと思うよ。さぁ、無駄話はこの辺で早く呼んであげて」
「あ、はい。次の方〜起きてください〜。」
「ん!?あっ、あと5分〜」
「起きたら、すぐそばに着替えがあるんで、服を着てこっちに来てくださいなぁ」
「……」
……師匠は、なんでこんなに冷静なのかしら⁉︎ 転生者がいきなり『寝坊』って、とんでもないことよ。今度の人は相当に神経が図太いか、天然かどっちかね。
しばらく待っていると、女性がこっちに歩いて来た……のだが、
「きゃ〜‼︎ なんであなた、裸なの⁉︎ 『服を着てきて』ってさっき、私言ったわよね」
「ふぁ〜〜、眠ぃ。あ〜そういうの気にしないで‼︎ 朝は着ない派なの」
「朝じゃないわよ‼︎ そして、いますぐ服着てよ‼︎ 師匠からも何か言ってくださいよ!!」
と言いながら、師匠の方を向くと、鼻血を出してる。
「師匠〜何見てるんですかぁ〜‼︎ そこは目をつぶってくださいよ‼︎」
「あぁ〜ごめんごめん。……伸び代があると思って、」
「伸び代って、胸のことですか〜‼︎ あの反則的な巨乳にまだ伸び代を感じているんですかぁ⁉︎」
「いや、そういうことではなく、これは男の性みたいなもんで」
「師匠は巨乳好きなんですかぁ〜⁉︎ 私の胸は興味ないんですかぁ〜⁉︎ ……どうせ私は巨乳じゃないですよ‼︎」
「胸で張り合わないでくれるかな。そ、その前にこの子に服を着させてあげて。多分一人で行かせると、このまま裸で森の迷子になるから‼︎ そのまま森の天然妖精になりそうだから‼︎」
「わ、わかりましたから、そして師匠はもう胸を見ないでください‼︎ 見るなら私の胸を見てください」
「そういうのいいから、早く‼︎」
……もぉ〜いつも師匠は私のアピールを誤魔化すんだから〜。でも、ともかくこの子に服着せないと、話が前に進まないわ。……それにしても、なんて子なのかしら⁉︎ 場所も相手もおかないなしでマイペースを貫くこの神経。只者じゃないわねぇ〜……マイナスな意味で‼︎
私は多少のジェラシーを感じつつこの子の手首を掴み、そのまま着替えがある元の場所まで誘導してあげた。……それにしてもあらためて間近で見ると本当に胸が大きわねぇ〜。悔しくけど、そこは負けを認めるわ‼︎でもね。でもね女は胸じゃないのよ‼︎
「え〜。かわいい服がないじゃない。センスないわね〜あ・な・た」
「いちいち、突っ掛かってくるんじゃないわよ。なんでもいいから、早く着なさいよ」
全く、もう〜。なんなのかしら、この子は‼︎ そして、嫌な予感がするわ。これから本当に嫌な事が起こりそうな気がするわ。これは女の勘よ‼︎
危機感を募らせながらも、急かしてなんとか服を着させ、ようやく師匠の元に連れて行った。
「……あなた、よく見るとなかなかのイケメンね。ちなみに年いくつ⁉︎」
「え⁉︎ ……あ、21ですけど」
「……う〜ん。ギリオーケーね‼︎ 決定〜‼︎ あなたは私の恋人ね‼︎ パパね‼︎」
「い、いきなり、なに言っているの‼︎ 師匠は私とラブラブなのよ。なんであんたなんかの恋人にならないと行けないのよ‼︎ なんでパパなんて呼ばれないと行けないのよ。……って、そんなことより、あなたに説明しなきゃいけないことがあるのよ‼︎ 黙って、聞きなさいよ‼︎」
「だって、もぉ〜パパって決めたんだもん。関係ない人は黙っていてよね」
「関係ないのはあなたの方でしょ‼︎ いきなり師匠をパパ呼ばわりってどう言うつもりよ⁉︎」
「パパは私のパパなんだもん‼︎ パパにパパって呼んで何が悪いのよ⁉︎」
「あなたのパパじゃないわよ‼︎ むしろ師匠は私のダーリンなの‼︎ パパでもないのにパパって呼ばないでよ‼︎」
「……パパパパうるさいんですけど〜……こんなに『パ』の言葉を連続で聞いた事ないよ。……とりあえず、二人とも一旦落ち着こうか⁉︎」
「あ〜ぃパパ。大好き‼︎」
「師匠〜〜〜こんな邪魔者ほっといて、向こう行きましょう」
「あんたこそどっか行きなさいよ。この年増‼︎」
なんですって‼︎ついに本性出したわね。このファザコン‼︎」
「ファザコンじゃないわよ‼︎私は彼氏をパパって呼んでるだけ。勘違いしないでよね‼︎」
「私だって、年増じゃないわよ。女性の魅力が華が一番ある年齢なのよ。そんな事も知らないお子ちゃまが‼︎」
「もうピーク過ぎてるわよ‼︎」
「なに言ってるのよ。これからなのよ‼︎ ガキは黙ってなさい」
「大人気ない言い争いはもういいかな〜。とりあえず、二人とも落ち着こうか⁉︎」
「パパは黙ってて」
「師匠は黙ってて」