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最初に言っておく‼︎ 転生者はキミだけではない‼︎  作者: クリクロ
第一章『精霊指定都市ミストラル編』
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大精霊祭03

……とうとう『大精霊祭』当日の朝が来た。すでに全員は揃っていて、みんな少し緊張気味だった。こういう時、頼りになるのはカミュールさんとモモちゃんだ。二人はまるで、姉妹のように息のあった掛け合いでみんなの緊張を溶かしてくれる。


「……みんな、おはよぉ〜。今日は普段と変わらない日なんですよぉ〜。そして明日もまた、普段と変わらない日にしたいよね〜」


「当たり前でしょ」

「そうだよな〜。明日も普通でいたいよな」

「いいこと言うね〜」


「モモちゃんもいつものとおりがんばるのでみんなはあんちんですよ」


「ボクがモモちゃんを守るんだ」

「オレだって!!」


「は〜い。みんなでみんなを守りましょう。そしてアギト君!!……トウタさんがいない今、君がこのチームのリーダーだよ!!」


「わかっていますよ!!……みんな、俺じゃ頼りないかも知れないが、『今日だけ』は、俺の言う事を聞いてくれ。それがみんなを守る事につながるんだ!!」


「そんなベタなセリフを今、言うかぁ?」

「アギト以外に、ここの連中任せられる人いな、、、、、、あ、モモちゃんの方がよくね!?」

「確かに、モモちゃんの方がいいよね〜〜。俺、モモちゃんに1票!!」




……まぁ〜こうなるとは予想していた。


「フフ……大丈夫ですよ。みんなわかってくれています。アギト君の魔法の凄さを。みんなふざけているに決まっているじゃないですかぁ〜」


みんなが無理にでも元気な方向へテンションを持って行こうとしている中、オサムだけが真面目モードだった。


「オレは、、、、、、カミュールさんの方が、、、、、好き」


「あ〜〜、オサム!!なに、いきなり告ってるんだよ!!」


「だ、だって、これから戦うんだろ!?死ぬかも知れないんだろ!?だったら、最後に言いたい事を言わないと後悔するじゃないか。俺はもう後悔したくないんだよ!!後ろ向きの考え方はやめたつもりだったけど、やっぱり怖さもあるんだよ!!」


「オサム君。ありがとね。でもね……『誰も』死なせないよ!!そのために私たちは、あの練習をこなしてきたんだよ。オサム君だって、嫌な顔しないで一生懸命やってきたんでしょ。もっと自信を持ってね」


「……わ、わかってるよ。オレもこの世界に来た意味をちゃんと見せるよ」


「むしろトウタ抜きの方が、後で自慢できるもんね!」


「そうよね!!パパに褒めてもらうためには、絶対活躍しなきゃ!!」




……もう大丈夫だ。俺の叱咤激励しったげきれいなんぞ、最初から必要ないのは知っていた。後は、戦闘前に戦いにおける彼らの不安要素を全部俺が受け止めればそれでいい。そのための準備はしてきたつもりだ。


「んじゃ、南区に行く前についでにミストさんのところに挨拶しに行こうか!!」


「オーケー」

「いきましょう」

「モモちゃんもいきます」

「いこ〜ぜ」



……みんな、いつもの調子に戻ったようだった。……俺ですら前世に置いてガチ喧嘩なんて1回あった程度。そしてそれは今にして思えば、怒りに身を任せた本当に雑な戦いだった。しかし今回は入念に計画を練り、みんなで強力して戦おうとしている。『怒り』ではなく『冷静』に戦うことを優先している。みんながいるから、怒りを抑制出来ることもある。お互いがお互いをカバーしあう。それが俺たちの一番の強みだと思っている。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


魔なびを出発し、大精霊祭の本会場でもあるグリーンミストパークの敷地内、そしてそこにつながる全ての道には、もう大勢の人たちが集まっていた。人混みの中には要所要所で警備班が確認出来る。メインでもあるパーク内には仮施設として主催本部が設けられ、そこに主賓しゅひんとしてミストさんは招かれているはずだ。よくよく考えてみれば、そりゃそうだ。『ミストさん』と気安く呼んでいるが実は2代目代精霊ミストラル様なんだよな。現在においての、精霊20万のトップなんだよな。あまりに身近すぎて忘れてしまっていたが、よくよく考えればめちゃ偉いお人?……精霊なんだよなぁ〜。……全く調子が狂うよ。



遠くからミストさんを見つけることは出来たが、残念なことに、ミストさんは年配のお偉いさんらしいたちと、ひっきりなしに立ち話を続けていた。おそらくあの人たちは、行政関係と治安関係のトップ連中だろう。この大精霊祭の運営と警備に関しての内容をミストさんを交え調整しているに違いない。


「流石に、ミストさんに直接の挨拶は無理か」


「ちょっと人多すぎて、近づけないよ。これじゃぁ」


「仕方ない。昨日の最後のミーティングどおり、このまま南区に行こう。どうせ南区に行くついでに寄っただけさ。……あとは打ち合わせどおりに、みんなよろしく頼むよ!!」


「オレ、昨日緊張して、眠れなかったよ……そして今も、緊張してるよ」


「では〜モモちゃんがリラクルをかけてあげまちゅ」


「……ありがとう」


モモちゃんの精神安定系の鎮静魔法【リラクル】は、精度が飛躍的に上昇した。おそらくトウタさんの新魔法をみて影響を受けたのだろう。あれ以降の上達ぶりは、誰もが目を見張るものがあった。


ある光景が感受性の強い人にとっては、トリガーとなり急激に成長をげる瞬間がある。モモちゃんの今回の急成長はまさにこれに該当するだろう。そしてカミュールさんの交換魔法【コンバート】以上に、モモちゃんのさらなる『新魔法』が今回の戦いにおいての絶対的な切り札となる!!と俺はそう確信していた。

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