大精霊祭02
この回、誤字脱字、表現不備が多すぎました。失礼しました。
毎年恒例の収穫祭や生誕祭と異なり、大精霊祭は今回が2回目だという。ちなみに1回目は150年前くらいに行われた。つまりこのミストラル生誕の時に同時に行われたらしい。この時に二代目大精霊を受け継いだのがミストさんなのだ。つまり大精霊祭とは、先代大精霊の貢献と功績に対して全員が感謝を伝える祭なのだという。
その流れで言えば今回は二代目大精霊ミストラルさんの功績を称え、かつ三代目大精霊に敬意を表する為に祝う正式な儀式にあたる。
ただ目線を精霊側に移してみれば、20万もの精霊が頂点を目指すサバイバルレースである。決して楽観視出来るものではない。言い換えれば『大精霊祭』という名の振い落しで3代目大精霊が決まる。正直なところ、精霊と契約をしている人間側はどういうリアクションをとればいいのかよくわからないでいた。そもそも大精霊祭の主役でもあるミストさんが俺たちと関わっている事自体、よくよく考えてみれば驚きなのだが、折角なのでいくつかの質問をしてみた。
「前にも言ってましたけど、どんな試験をするんですか⁉︎」
「その前に、大精霊になるには条件があるんだよ」
「なるほど〜……誰でも立候補すればなれる訳ではないんですね」
「こんなことは少し考えれば分かるだろう」
……そうなんだけども……確かにそうなんだけども、相変わらず俺に対してミストさんは容赦ない。
「……なにしろこのミストラルは精霊と人間の共存が条件なんだから人間にも認知してくれないと色々困るのさ」
「確かにそうですね」
「大精霊の条件の1つ目は、視認タイプの精霊であること」
「まぁ〜出来れば誰もが見たいですもんね」
「2つ目が、人に具現化出来る精霊であること。もしくは限りなく人間に近い姿になれる精霊であること」
『……今、結構インパクトあることサラッと言ったけど‼︎」
「何か問題でもあるかい⁉︎」
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!!……んじゃミストさんの今の姿は仮の姿なのですか⁉︎」
「精霊に本当も仮もないよ。見た目とは『見た側の印象』であって、精霊に取っては元々見た目も言語もそこまで重要視してなかった。でも人間と共存するにあたり、色々不都合が起きて、こういう姿にしたんだよ。あんたらもその方がいいだろう」
「まぁ〜見えることに関しては文句はないですけど、流石に若すぎませんか⁉︎ その見た目、どうみても30才くらいのスタイル抜群の女性ですよ‼︎ 声と話し方さえスルーすれば、どストライクですよ‼︎」
「あんたの年上好みの話なんかは聞いちゃいないよ‼︎」
「す、すみません。……調子に乗りました」
「……話を戻すよ。最後の3つ目が先住民【ネイト】語と転生者【リンカー】語(旧日本語)を理解出来でき、かつ会話出来ることさ」
「確かに、コミュニケーションする上で直接精霊伝達魔法【ダイレクトコール】を使う精霊と違い、人は言語ですもんね」
「お互いが寄り添い合う事からこのミストラルは始まった。だからこちらの言い分を通す代わりに、相手の言い分も受け入れる。……それは精霊と人に限ったことだけじゃないけどね」
「まぁ〜そこがクリアーになれば争いなんて起きないんですけどね」
「ちなみに条件を満たしたその後は、どうやって決めるんですか⁉︎」
「ん⁉︎ 人気投票だよ」
「はぃ⁉︎」
「全員投票による選抜だよ」
「選挙みたいなもんですね〜」
「候補者はアピールあるの⁉︎ 公約とか言うの⁉︎」
「いや、ただの見た目の人気投票」
「ちょっと待って〜〜。だからミストさんの見た目は、そんな若い設定なんかい‼︎」
「私は当時の行政のトップから主婦から子供から、前もってリサーチをしていてね。子供から大人まで満遍なく評価が高いのは30代の母性本能をくすぐる『保育士キャラ』というのを知ったのさ。その後、当選した勢いのまま行政ほっといて保育士さんをやってみたら、やみつきだったんだよ」
「つか誰だよ、ミストさんに保育士さんのキャラ設定を仕込んだお偉いさんは⁉︎……誰だよ、自分の偏った性癖をミストさんにゴリ推ししたお偉いさんは⁉︎」
「結果的に、大ウケして大精霊になれたんだから、いいじゃないか」
「聞きたくなかったわぁ〜〜〜‼︎ そんな理由でミストさんが大精霊になれたなんて、聞きたくなかったわ〜‼︎ つか、どんだけ保育士さん大好きなんだよ、50年前の先住民【ネイト】‼︎」
「実際は人気投票に残るまでに試験があるんだよ」
「……本当に試験やるんだ」
「そりゃそうだろ。いくら条件でふるい落としたと言ってもまだ半分くらい、つまり10万位は残る。そんな数では投票は無理だろう」
「さすがに、多すぎますよね」
「だから精霊の数を15〜20位【位は精霊の単位】まで厳選するために、試験があるんだよ」
「どんな内容なんですか⁉︎」
「精霊同士による、力勝負だったりスピード勝負だったりだね。空中やら、池の中やらで派手に行われるのさ」
「……そんな勝敗を誰が審査するの⁉︎ つか、そんなの人間が判断出来るの⁉︎」
「無理だろうね〜。動きは見えても勝敗の判断は無理だ」
「んじゃ、どうするんですか⁉︎」
「何度もいうけど精霊は伝達魔法【ネクストコール】を使える。それで少しでも敗北の意思があれば、自動的に負けを認めて身を引くのさ」
「礼儀正しいというか、律儀ですね〜」
「この戦いは、ざっくりなら誰でも見れる。でも人が精霊の正確な攻防を知るためには視力魔法【ズームズーム】や解析魔法【ワイヤーフレーム】など、魔法を使わないとダメだろうね〜」
「そうなんだぁ」
「……そういえば、当時の先住民【ネイト】は空中で飛び交う我々精霊の動きを見て『綱引き』とか『玉入れ』とか言っていたよ。……なんか懐かしいねぇ〜」
「運動会かよ‼︎ つか、ネーミングセンスださっ‼︎ どんだけ昔の人はセンスないんだよ‼︎ 『精霊指定都市』にしても『魔なび舎』にしてもダジャレだし、酔っ払いが酒の席で言うような親父ギャクじゃん‼︎ どんだけボキャブラリー持ってないんだんだよ‼︎ 本当に偉い人は真面目に行政の仕事をしてんのかよ‼︎」
「私に文句を言わないでおくれよ。その当時はまだ言語を覚えたてで、そんな名称の意味とかダジャレとか知らなかったんだよ」
「いやいや、別にミストさんに、文句言ってるんじゃないですけど、、、なぜか釈然としない‼︎……なんだ、このモヤモヤは」




