トウタの新魔法03
ゲンキから呼び捨て扱いされてもトウタさんは気にせず質問に答えてくれた。
「実は俺も魔法をずっと練習してたんだよ。その成果を見てもらいたくてね。だから、今日ここに来たんだよ」
「師匠〜‼︎ 私に会いに来てくれたんじゃないんですね。……ショックです」
「……え、ええと、ミストさん。一応、ほぼ完成に近い状態まで仕上げました。見てもらえますか⁉︎」
「……あ〜ぁ、いいよ。でも、ここじゃ危ないね。例の修練場で見してもらおうか」
「修練場⁉︎……そんなところがあるんだ」
「そしてアギト‼︎ お前の記憶魔法【レコード】はもういいから、私と一緒についてくるんだ」
「え⁉︎ あ……はぃ」
「え〜〜‼︎ 大師匠〜私も行きたいです〜」
「オレも」
「モモちゃんも」
「私もやっとパパに会えたんだから、絶対行く〜〜」
「いや、ダメさ。あんたらには悪いが、未知数魔法のお披露目をするには、ここでは危険すぎる。流石の私もいざという時、全員を守れる自身がないんだよ。……この魔なび舎にはそこまで強い防御設備は整ってないのさ」
「そ、そんな〜」
「つか、トウタの魔法ってどんだけ強いんだよ⁉︎ この建物は見た目の構造に騙されやすいけど、ボクの解析魔法【ワイヤーフレーム】では相当な魔法耐久力があるよ」
「そ、そうなの、スバル⁉︎」
「私は最近のトウタの魔法を見ていないから不安なんだよ。こんなところで知らない魔法でもぶっ放してごらんよ。新築の魔なび舎が、ひとたまりもないよ」
「そんな、えぐい魔法なんですか⁉︎」
「と、ともかくカミュール‼︎ 特にあんたはそんな暇あったら、もっと精度を上げなさい。そしてこの際だから、はっきりみんなに言うよ‼︎ 今出来る事をちゃんとやるんだ。いずれ、みんなの力を借りる時が来る。そして、その時はもう近くまで来ているんだよ」
「……」
「なんだって⁉︎」
「マジか⁉︎」
……なんとなく雰囲気ではわかってはいた。ミストさんがカミュールさんだけでなく、急に俺たちの魔法練習まで真剣に見てくれるようになった理由を。『その時』っていうって事は……『危険』は本当にすぐそこまで来ているのかもしれない。
「……き、聞いてないけど」
「もう隠しきれなくなったってことさ。だから、急かすようだが今は自分達の出来る事をやっておくれ。……ではトウタ、修練場へ行こうか」
しかしミストさんの提言にトウタは丁寧に反論した。
「ミストさん、ここで大丈夫です。みんなの安全は俺が絶対に保証します。せっかくだし、むしろみんなには見て欲しいんだ。この『俺の新しい力』を。そして、役に立てて欲しい。俺の魔法を見ることで、みんなならどういう連携が出来るのか⁉︎ みんななら俺をどう活かすか⁉︎ そういうことを知るのが急務なんだ。なので、この場所での魔法発動許可をください」
「……わかったよ。そこまでいうなら、許可しようじゃないか。ただし、手加減するんだよ!!」
「わかっていますよ」
「ちょ、ちょっと、待ってよ‼︎……背中にラルがいるんだけど‼︎ その状態で魔法使うの⁉︎」
「……そうだよ」
「危ないよ」
「大丈夫なんですか⁉︎」
「大丈夫、この魔法はラルを守る魔法でもあるんだ」
……いったいトウタさんは俺たちに何を見せようとしているんだ⁉︎
俺はこれまで以上にサブイボ(鳥肌)が止まらなかった。それどころか全身の震えが止まらなかった。そして、その俺の震えを心配するようにモモちゃんが俺の手を、その小さい手で握ってくれた。
「アギトおにいちゃんはへいきでちゅか⁉︎ モモちゃんもいますよ」
「あ、ありがとうモモちゃん。……んじゃ、一緒にトウタお兄さんの魔法を見ようか」
「あ〜ぃ」
……それは、今まで見た事がない魔法だった。みんながみんな言葉を失った。……不思議で切なくて、……幻想的な魔法に感じ取れた。
「きれいですぅ〜」
モモちゃんが唯一言った一言が、トウタさんの使う魔法の印象の全てだった。




