カミュールの新魔法03
正直、交換魔法にここまでのメリットがあると思わなかった。ある意味私の想像を超えていた。興奮を抑えきれず、私はミスト母さんに矢継早に質問を続けた。
「もう少し……具体的にはどうイメージすればいいですか⁉︎」
「発想は転生魔法と似てても、発動は全くの逆なんだよ」
「逆⁉︎……ですか」
「時間をかけてイメージを重ね合わせるではなく、瞬時に共通項を探す」
「む、難しそうですね」
「まずは、一番簡単な見た目が似ているモノから始めようか」
そう言うと『大師匠』は、私が倉庫から適当に持って来た物の中から色の違う2種類のボールを選んで、10mほどの間隔をあけて2つを床に置いた。
「いいかい、1度しか見せないよ……交換魔法【コンバート】‼︎」
と言い終わるか終わらないかの刹那、青いボールと赤いボールの位置が『交換』された。
こ、これは‼︎……すごいのかしら⁉︎ ……感激すべきなのかしら⁉︎ た、確かに交換されてるけど、下手したら手品扱いされてもおかしくないのでは⁉︎
……それでも、本当に実践まで使えるレベルまで極めれば……最悪、師匠の代わりに私が被弾することだって出来るかもしれない。居場所を入れ替わって師匠を守ることが出来るかもしれない。
「あぁ〜言っとくけど、人間と人間はダメだからね」
「そんなぁ〜〜」
「おおかた、トウタの身代わりとか考えていたんだろ」
「……」
「精霊なら交換出来るが、人はダメだ。」
「なぜですか⁉︎」
「人体に対する負荷が大きすぎる。転生魔法時、転生者【リンカー】の記憶はどうだった!?」
「あ‼︎ 部分的に封印されてました」
「等価交換魔法は、あくまで擬似的に等価に見せている。だから交換した際に、人体に悪影響が出る可能性は否定出来ない。私も交換魔法【コンバート】を人に試したことはないが、どんな後遺症が出るかわからないから、絶対にやれないね」
「確かに、そうですね」
「例えば、トウタの弱まった防御魔法が敵の攻撃で破壊されそうになった瞬間に新しい防御魔法と交換すれば、トウタの危機は救えるよ。自己犠牲とかいう前に、そういう事を考えな」
「まぁ〜なんて素晴らしいんでしょう‼︎ それでも十分な援護ですよね。師匠も私を見直してくれますよね」
「そんなことは、トウタに聞きな……さて、そろそろ無駄口もおしまいさ。固定観念を捨てて、2つのモノを同じにイメージする特訓を始めるよ」
「わかりました」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「……少しでも、違和感を感じるんじゃないよ‼︎」
「はい‼︎」
「無意識で『違う』とか『これはナイわ』と思ったらもうダメだからね」
「はい‼︎」
「ほれ、2つの物質の共通すべき、同等すべき、同じ部分を瞬時に見つける」
「はい‼︎」
「さすがに、コレとアレは同じじゃないでしょ⁉︎という、見た目に捉われるんじゃないよ。あくまで瞬間のイメージなんだよ‼︎ 心象なんだよ‼︎
「……はい」
「肉まんとあんまんみたいな感じだよ‼︎」
「……知りませんよ‼︎ そんなの‼︎」
「私は人間の食べ物の中でこの2つが一番好きなんだよ。大好物なんだよ‼︎」
「だから、知りませんってば‼︎ 大師匠の好みをあたしに押し付けないでくださいよ‼︎」
「そうじゃないよ。あんたも『師匠〜大好きぃ』を卒業して別のイメージ変換できるものを探すんだよ‼︎」
「師匠を誰かと比べるなんて出来るわけないでしょう‼︎ 師匠は私にとって唯一無二な存在なんですぅ〜‼︎」
「唯一無二じゃ、交換できないんだよ。2つが同じイメージのようにするんだよ‼︎」
「ん〜〜もぉ〜さっきから、意味のない事を話しかけてこないでくださいよ‼︎ 頭の中が肉まんしかイメージ出来なくなっちゃったじゃないですか‼︎ お腹減るじゃないですか‼︎ 交換出来ないじゃないですか‼︎」
「それじゃダメなんだよ。転生魔法と違って、戦場では相手は待ってはくれないんだよ。そんな悠長な時間は実戦じゃ皆無なのさ。こうやって邪魔されてダメ出しされても、ちゃんと集中するんだよ‼︎ どんな状況でも冷静にイメージ出来る癖をつけるんだよ‼︎」
「わ、わかっていますから、最初からごちゃごちゃ言わないでくださいよ‼︎。気になって仕方ないんですよ〜」
「それは、あんたが集中してないせいだよ。責任を私に転換するんじゃないよ……さ〜もう1回イメージし直しだよ。そして私のマシンガントークを聞くがいいさ‼︎」
「だ・か・ら、最初くらいマイペースでやらせてくださいよぉ〜」
ふと読み返してみて気づいたことが。作中の世界において『銃』は出てきてませんし、重火器の設定ありません。それなのに『マシンガントーク』と言う喩えを使ってしまった。
……さて、どうしたものか!?。。。o(゜^ ゜)ウーン
そうだ!!転生者から聞いた事にしよう。そうしよう(苦し紛れ)




