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最初に言っておく‼︎ 転生者はキミだけではない‼︎  作者: クリクロ
第一章『精霊指定都市ミストラル編』
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カミュールの新魔法02

「まずはおさらいさ。転生魔法の本質は『等価交換』なのは言わずもがなだね。後精霊【死間際の精霊】と別世界の死者の魂が同等かそれに限りなく近い場合、魔法条件が成立する。つまりあたしの魔法の基本ベースは交換魔法なのさ」


「はい、先代の師匠から聞いています」


「そして、今回の契約によってあたしがカミュールに伝えた魔法はまさに原点回帰げんてんかいき。それが交換魔法【コンバート】さ」


「……交換魔法【コンバート】ですか⁉︎」


「この魔法の考え方は転生魔法と似ている。基本は『同等』のモノや魔法を交換出来るのさ」


「…… A地点にあるモノとB地点にあるモノの位置を入れ替えるってことですか⁉︎……それは転移魔法ですか⁉︎」


「転移魔法はA地点にあるモノをB地点の場所に移動する時間軸移動系に該当する。移動が一方通行で、魔法のやりっぱなしに近い状態なので不確定要素が多すぎるんだよ。魔法発動時点で移転先の状況が何もわからない。障害物があるかもしれないだろ⁉︎……さらに転移先にいつ到着するのか読めない。すぐなのか⁉︎ 明日なのか⁉︎ 7日後なのかごなのか⁉︎」


「……そういうダジャレはいらないですよ」


「せっかく温めてきたネタだったのに……全く失礼だね〜。少しはウケてくれてもいいだろ」


「そういうのいいですから、説明してくださいよ‼︎」



「……わかったよ。不安的な転移魔法に対し、この交換魔法【コンバート】は同じ移動系魔法でも空間移動系に該当する。そして等価交換という、2つの位置が確保されている所からの双方向移動なので魔法としてはより安定しているんだよ」


「……全然わかりません。……というより、こんな交換するだけの魔法が実践で役に立つんですか⁉︎」


「まったく『戦い』を知らない世代はこれだから困るねぇ〜〜。いいかい、この魔法を使いこなせるようになれば、無限の可能性が広がるんだよ‼︎」


「そ、それはさすがに言い過ぎでなのでは⁉︎ 話を盛りすぎではないですか⁉︎」


「……全く、なんて想像力がないんだい‼︎ これは先が思いやられるね〜。いいかい、交換出来るということは魔法における『利点』と『弱点』を交換出来るのさ」


「……意味がわかりませんけど⁉︎」


「例えばだよ。『威力はないが、射程が長く、命中精度が高く、超高速度の攻撃魔法』が敵に命中した瞬間に『威力は絶大だが、命中精度が低く、射程が短い接近専用攻撃魔法』と交換する。すると単発魔法では矛盾むじゅんともいうべき射程が長く威力が強い魔法が完成する」



「な、なんですって⁉︎」


「2つの魔法の良い所だけを活かし弱点を補うことで、誰も知らない魔法が完成するんだよ」


「……す、すごい。それを覚えれば私でも師匠の役に立つじゃないですか‼︎」


「だから、最初からそう言ってるよ」


「でも『発動条件』が厳しそうですね。……そもそも『等価』の条件はどういう定義で行われているんですか?」



「まず2つの物体(魔法込み)をイメージしたものが対象になる。つまりあたしが、魔法Aと魔法Bを同等とみなしても、カミュール自身が違うと無意識で感じてしまえば、それは同等ではないのさ」


「共通認識ではないんですね」


「重さでも、形でも、匂いでも、温度でも、……なんでもいい。とにかく2つの共通な部分をイメージする。それが違和感なく、ほぼ完全に一致すれば交換魔法【コンバート】は成功さ」


「なんとも抽象的なイメージですねぇ」


「そうだね。後精霊【死間際の精霊】も思念体みたいなもので、目に見えるものではない。それでもあんたは、これまで後精霊のイメージを感じて転生魔法を使用してきたじゃないか。……つまり、基礎はすでに出来ている」


「なるほど〜。転生魔法と原理は一緒なんですね」


「ただし、転生魔法のような成功率60%ではダメだ。さらに詠唱時間のかけ過ぎもダメだ。使いものにならないよ。失敗は逆に味方の死に繋がるからね。さらに実戦の雰囲気や、場の流れ、相手からの威圧、味方のピンチなど刻々と戦況の変わる様々なトラブル要因が、あんたのメンタルを揺らしにかかる。あんたは、そのどんな状態化の中でも常に100%成功させないといけないのさ。……この意味がわかるかい⁉︎」


「……責任重大ですね」


「トウタはおまえの新魔法をすぐ理解するだろう。そして瞬時に応用する。それも練習なしに無数な引き出しで活用し、実践で即座に使いこなすだろう。カミュール……おまえはそれに全部受け止めて、対応しなければならないのさ」


「はい、わかっています。それが、私である『意味』です。師匠を助けることが、私の全てです」


「……あんたがそこまでトウタのことを考えている理由は、敢えて聞かないでおくよ。……おそらく『恋愛感情』以上の理由がなければ、ここまで親身にはなれないだろうからね」


「……ミスト母さん」


「今は『大師匠』だよ‼︎ さて、これからイメージトレーニングを行う。このトレーニングに近道はない。……カミュール、これが最終通達さ。トウタの為に、この魔法を覚える気はあるかい⁉︎」


「もちろんです。でも、師匠のためではありません。私自身の為にこの魔法を習得します。……ミスト母さん、よろしくお願いします」


「だから今は、大師匠だよ‼︎」

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