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最初に言っておく‼︎ 転生者はキミだけではない‼︎  作者: クリクロ
第一章『精霊指定都市ミストラル編』
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カミュールの新魔法01

 魔なびの中央廊下にある2階へと進む階段を登りながら私には一つ心残りがあった。師匠にラルを任せっぱなしで、出て来てしまった事がどうしても気になって仕方ない。こんなメンタルでは、とてもミスト母さんとの精霊契約なんて出来やしない。意を決して私はミスト母さんに聞いてみた。


「……なんで、師匠は呼ばないんですか⁉︎ やっぱり私は師匠と一緒の方がいいんですぅ〜」


「この件にはトウタは関係ないだろ。ラルも心配ないさ。むしろ後でトウタに新魔法を見せて、びっくりさせておやり」


「まぁ〜〜確かに‼︎ その方が師匠は喜んでくれるかもしれないわ。さすがミスト母さん」


「現金な子だよ。まったく」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


『契約の部屋』に私がもう一度ココへ来ることになるとは……。勿論、新校舎になっているのだから、ここに来るのは初めてだ。とはいえ、そういう問題ではない。私は先住民ネイトなのだ。だから転生者リンカーと異なり、同系の魔法しか覚えられない。おのずと精霊契約は一生に1度だけだと思っていた。……でも、こうして機会をもらったからには、きちんと自分の魔法にしないといけない。それが私のため、師匠のため、ミスト母さんのためでもある。


そして、ついに憧れのミスト母さんとの精霊契約が始まる。師匠宅では反りが合わないけど、すでに両親のいない私にとって、ミストさんはもう本当の母さんみたいな存在なの。……その方と契約出来るなんて、私はなんて幸せなのかしら、、、



「カミュール‼︎ 余計な邪念は早く消しな‼︎ どうせ、しょうもないことしか考えていないんだろうけど、今だけは、無心になりな‼︎」


「は、はぃ」(なによ!!せっかく褒めていたのに)


「んじゃ、やるよ」


「その前に、一つ質問をいいですか⁉︎」


「……なんだい!?」


「ミスト母さんは今はまだ正式には『大精霊』ですよね⁉︎ 3代目に権限を譲渡していないですよね。そんな状態で私と契約していいんですか⁉︎ 『大精霊は人間と契約してはいけない』という大前提を否定してませんか⁉︎」



「細かい事はいいんだよ。もう交代は決定事項なんだ。行事日も決定している。だから、ちょっと早めに魔法教えたくらいじゃ、処罰の対処なんかにはならないよ」


「……はぁ〜、そうですかぁ〜」


……精霊のトップがこんな調子でいいのかしら⁉︎



 私にとって精霊契約は『2度目』と言うこともあって段取りにミスはなく、時間にしてだいたい20分くらいで済んだ。わりとスムーズに進行だったとは思う。短い時間で契約が終わればその分、ミスト母さんの負担は減る。そして契約終了後、確かにこれまでの転生魔法とは若干違う魔力を身体中に感じた。……でもこの魔法は一体なんなのかしら⁉︎


ミスト母さんは何事もなかったのように、契約が終わるとすぐさま階段を降りて、オープン・ルームへ向かった。1階では、まだみんなが授業を受けている。しかし授業など気にもせず、どんどん奥の誰も利用していないスペースまで進んだ。


「……ミスト母さん、ここで始めるんですか⁉︎」


「あぁ〜。しかしその前に、倉庫へ行ってもらう。丁度その扉を開けたらすぐ目の前が倉庫さ。そこで、適当にボールとか積み木とかを、いっぱい持ってきな」


「適当、、、、でいいんですか⁉︎」


「そうさ、これは初期のトレーニングだからね。その準備さ」


「わかりました」



……私はとりあえず言われるがまま、倉庫に向かった。倉庫の扉は、、、、開いていて、中には綺麗に整頓、、、、、されてはいなかった。……まぁ〜子供達の片付け方といえば、所詮こんなものよね。半ば諦めの気持ちで、目立つ部分だけを大まかに整理をしつつ、とりあえず目ぼしいものだけを見繕って、持っていくことにした。……それにしても、これになんの意味があるのかしら⁉︎」




「とりあえず持って来ましたけど、こんなのが役に立つんですか⁉︎ 私は本当に師匠の役に立てるんですか⁉︎ 師匠と同じ前線部隊で活躍出来るんですか⁉︎……そもそも『ラルも一緒に最前線に連れて行っておやり‼︎』って本当に大丈夫なんですか⁉︎」



あたしも、結構〜長生きしているけどねぇ。……前線において赤ん坊背負って戦う戦士は見たことないね〜〜アハハハ。コレは傑作だよ‼︎」


「笑い事じゃないですよ。適当に押し付けておいて、なんでそんなに楽観的なんですか⁉︎」


「まぁ〜そうなんだけどね。……思うところがあってさ」


「よくわからないけど、だからこそ師匠には私が必要なんです。私がフォローするんです‼︎」


「わかった、わかった。……では、本題に入ろうか」


「はい、ミスト母さん、お願いします」

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