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最初に言っておく‼︎ 転生者はキミだけではない‼︎  作者: クリクロ
第一章『精霊指定都市ミストラル編』
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転生してきた赤ん坊05

 グリーンミストパーク。都市ミストラルのシンボルとも言える公園であり、メインロードの行き着く地点でもある。誰もが癒しを求め、安らぎを求め、ふれあいを求め、この公園に訪れる……らしい。



 ネスザック次長と別れた俺たちは、その足でグリーンミストパークを目指した。主要な行政棟が立ち並ぶこの区画から公園へは、わりと目と鼻の先なのだ。おそらく歩いて15分もかからないだろう。とはいえ、赤ん坊は背中におんぶして行く事にした。『おんぶ紐』というのがあるのだが、もちろん使用したことはなく、カミュールさんに手伝ってもらい、なんとか形にはなった。……正直いえば恥ずかしい。



「師匠〜お似合いですよ。ウフフ」


「……ありがと。素直に受け取るよ。そして恥ずかしいついでに言えば、この公園には実は1回も来た事がないんだ」


「え〜師匠、勿体無いですよ。今度私とお弁当を持って『デート』と言う名目で来ましょうよ」


「カップルとか家族連れが大勢いるイメージが強くてね。休日ともなると自分は場違いかと」


「だから師匠〜、これからは私と何度も来ましょうよ‼︎」


「しかし、今は赤ん坊を背負っているんだから、自分もれっきとした『家族』だね」


「キャ〜‼︎……だとすると、はたから見たら私達は恋人ではなく、もう『夫婦』じゃないですかぁ〜‼︎ 師匠〜〜〜私もう、感激です‼︎」



……カミュールさんのいつもの妄想は置いといて、、、

パーク案内図を見たって、ミストさん家の場所なんて当然書いてあるはずもなく、仕方ないので適当に公園内を歩く事にした。


「さて、ミストさんはどこにいるんだろうねぇ〜。ちょうど昼時だからなのか、こんなに多くの子供達が遊んでいる広場や、親御さんが集まって世間話をしている休憩所みたいなに所に本当にいるんかだろうか⁉︎」


「夫婦、、、私と師匠が夫婦、、、キャ〜‼︎……でも、恋人という関係も捨てがたいですわ〜。でも、『旦那さん』というひびきも捨てがたいですわ〜」


「……ネスザック次長は『行けば会えるよ』と、ミストさんの情報を一切教えてくれなかったし……なんでそんなクイズ形式にするかなぁ〜。あの人は完全に俺たちで遊んでるよなぁ〜〜。……ね〜カミュールさん、この公園内にミストさん専用の隠れみたいな場所は知らないかなぁ〜⁉︎」


「……『あなた〜朝ですよ。朝食の時間ですよ』……キャ〜〜〜‼︎ 恥ずかしいわ‼︎ どうしましょう。でも『トウタさん』っていうのも……ャ〜〜〜〜‼︎」


「……(聞いちゃいないよ)」




「……呼んだ⁉︎」


「え⁉︎」


「だから、あたしを探しているんでしょ⁉︎」


 いきなり、声をかけて来たこのお方がミストラルさんなのだろうか⁉︎ いやいや、どう見ても人だ。子供達と遊んでいたのか、スウエットみたいな動きやすい上下の普段着にエプロンというラフな格好なので、とてもじゃないが大精霊には見えない。絶対に女性の保育士さんだよ。つか、この場に馴染みすぎているよ。違和感がないよ。自己申告されなければ、絶対に正体わかんないよ‼︎ というか、ネスザック次長も人が悪いなぁ〜。何が『おばあちゃん』だよ‼︎ 見た目でいえば30才くらいの健康的でスレンダーなお方じゃないか‼︎


「あのぉ〜失礼ですが、ミストラル様でしょうか⁉︎」


「そうだよ」


「随分お若く見えるので……そ、その、びっくりしました。自分は神木カミキ 淘汰トウタと申します」


「あら、お世辞でもありがと。よろしくね、トウタさん」




「……あ、あのぉ〜何度も確認してスミマセン。大精霊のミストラル様ですよね⁉︎」


「だから、そうよ。……どこか、おかしいかしら⁉︎」


「いや、失礼ながらもっと神聖でおごそかな場所でたたずんでいるのかと。まさかグリパ(略)のメイン広場で子供達の引率いんそつをやっていらっしゃるとは……どう見ても保育士さんにしか見えませんでした」


「……全く、どうして転生して来た人間は、あたしに対してそういうイメージ持つのかしらねぇ〜⁉︎ みんながあたしの事を、一人寂しくどっかの部屋に幽閉されているイメージを持っているのよ。今度から、本当にそういうキャラにしちゃおうかしら‼︎ ここにでっかい塔を立てて、各階に用心棒つけて、最上階の玉座に鎮座しようかしら‼︎」


「いや、そんなバトル形式にしないでくださいよ‼︎ 辿り着けませんよ‼︎」


「いやねぇ〜冗談よ。精霊ギャグよ‼︎ だって一人でそんな閉所にいたら、息苦しいじゃない。あたしはこうやって、精霊、人間の別け隔てなく一緒にいるのが好きなのよ。子供たちが大好きなのよ」


「あの〜大精霊ミストラル様、お話があります」


「『さん』でいいわよ。もしくは呼び捨てでも」


「……あ、はい。で、では、ミストさん。この赤ん坊を見ていただけますか⁉︎」


俺はおんぶしていた赤ん坊をカミュールさんのフォローで抱っこに持ち替え、そのままそっとミストさんにゆだねた。


至って当たり前なのだが、あきらかに俺より赤ん坊の扱いに慣れている振る舞いだった。そして、ミストさんは赤ん坊を優しく抱きしめ頬をすり寄せ目を閉じた。


「……ほぉ〜たまげたね。この子は‼︎」


あきらかにミストさんの表情が変わった。ここに至るまでの赤ん坊の情報は、伝達魔法【ネクストコール】を経由して当然ミストさんにも伝わっているはずなのだ。それなのにこの驚き方……やっぱり、ただ事ではないと確信した。


「これは……ちょっと待っといてくれ」


そういうとミストさんは、一度、赤ん坊を俺に渡し、元々引率していた子供達とその親御さんのところへ行き、なにやらにこやかに挨拶を交わしていた。そして手招きで俺たちを呼んで、この広場から少し離れた池のそばに移動し始めた。

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