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最初に言っておく‼︎ 転生者はキミだけではない‼︎  作者: クリクロ
第二章 『動き出した思惑編』
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親子

 ブロックフローでの激闘の後始末も終わり、ひと段落したアギト達は、ようやく精霊達や精鋭部隊と共にミストラルへ戻るのかと思っていたがそうではなかった。ミトさんいわ


「ジンカイとマスカラスに礼儀は尽くさないとね」


の一言で、オールドウッズへ向かう事になる。その中にはスタンプ先生、トウタとラル、カミュールの姿もいた。さらに、無断でミストラルを離脱したジフリーク、アミ、マサシ、タケツグも。



「おいおい、これ大丈夫なのかよ?ジフリークってジンカイさんの息子だよな?」


スバルが小声でアギトに聞いた。アギト達はブロックフローに来た時と同様、プラタナスに乗って移動し、ジフリークを含む4にんはミトさん、スタンプ先生管理の元に、移動魔法を利用していた。なので、スバル達の会話は聞かれることはなかった。


「ジンカイさんはこの展開を予想してたんじゃないかな?」


「ん?どの展開?」


息子ジフリークと、いつかはちゃんと話し合う場を作るって事」


「確か9年ぶりよね。でも会えるだけ幸せじゃない?……私たちはもう現世の両親とかに会えないんだから」


「……」


ケイの一言は、昔を懐かしむ一言だったが、みんなにそれほどのダメージはなかった。


「僕は、もう今の生活に慣れたよ」


「モモちゃんもへいきでしゅ」


いつまでも過去にしがみついてはいられない。前に進むと決めた魔なびでの生活の日々が、アギト達を精神的にも一回り大きくさせていた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 アギト達がオールドウッズに着くや否や大歓迎モード一色に染まる。ここまでくると精樹族の祭り事を好きなのが明白だ。勢いのまま祝勝会と銘打って、またもやプロレス再戦をしそうな勢いだった。流石に「それは勘弁」と全否定するのに相当な時間がかかったが、逆にいえば安堵の証明だった。それでも盛大な宴は夜遅くまで続き、『戦い』と言う緊張の糸が切れてみんなが知らずに眠りについていく。


ただジフリーク達4人は未だ緊張していた。彼らの待遇は歓迎ではなく、どちらかといえば精樹族に監視されている身。とはいえ、抵抗する気は一切なかった。ミストラルを無断離脱した4人の処遇は後回しで、まずはブロックフローの奪還作戦の功労も加味していた温情もある。なので監視はつくものの、アギト達が利用しているロッジとはだいぶ離れた場所での休息を利用していた。


今回の戦いにおいてジンカイは主戦場ブロックフローにいなかったが、ジフリーク達の所業経緯は知っていた。かたやジフリークは父ジンカイがこの場所オールドウッズにいるとは想像もしていなかった。


……そして実に9年ぶりの親子再会が実現する。




 その日は普段と変わらない良い天気だった。場所はアギト達がマスカラスと交渉の場で使った大広場。この場にはミトさん、スタンプ先生、トウタ、カミュール、そしてアギト達のミストラル陣営。精樹族側は精樹王マスカラス、プラタナス、トネリコなどの精鋭陣と多くの精樹族が周囲を囲んでいた。アミ、マサシ、タケツグの姿も輪の内側にはいたが拘束はされておらず、普通に同席を許された。閉鎖された密室とは異なり、この場所は360度開放的な空間ではあるが、ここまで囲まれていては嘘やハッタリを言えるような雰囲気ではない事は、容易に受け取れる。それだけこの場にいる全員の緊張が張り詰めていた。


そしてその輪の中心に、ジンカイとジフリークが対面していた。



会話の切り出しはジフリークからだった。


「本当に……父さん……なのか?」


「いや違う。私は、マスク・ド・ジンカイだ」


すかさずスバルがツッコむ


「もぉ〜そうくだりはいいから‼︎ ツッコムのもめんどいわ‼︎ だいたい9年ぶりに実の息子に会って第一声が『ボケ』かますってどういうことだよ⁉︎ 僕らの時もそうだったけど、誰かれ構わずボケるんじゃないんよ‼︎」


「そう言えば、かあさんも喉が痛い時はいつもマスクをしていたっけ」

負けずにジフリークもボケをかぶせる。


「それはマスク違いだろうが‼︎  風邪ひいただけだろうが‼︎ だいたい風邪で覆面マスクするわけないだろう‼︎ 親が親なら子も子だなぁ〜」


ツッコみたくなる気持ちは充分わかるが、流石にこれでは話が進まないのでアギトはスバルを抑えた。


そしてしばらくの沈黙の後、ジフリークは感情的に叫んだ。



「一番大事な時に……母さんが大変な時に、ジンカイ(あんた)がいなくなって……こっちは大変だったぞ」



「まぁ〜父親としては失格だね」


「そんなやつに説教されたくないわ‼︎」


「まぁ〜そうだろう……でも、これは父親としての意見ではないんだ。転生者リンカーとして……しいてはミストラルを守る先人せんじんとして、お前達には伝えないといけない事がことがある」


「……」


「この世界で生きていく身として、お前達には聞く義務がある」


今までふざけた態度で接していたジンカイが急に変わった。それはこれまでアギト達にも見せた事がない物凄い圧で、ジフリークだけでなく周囲にいた全員の身動きが出来なくなるほどだった。



「ジフリークよ。お前は0(ゼロ)から1にする苦労を知るべきなのだ」


「?」


「お前達の希望や理想を問う前に『開拓』を知る事が必要なんだよ」


「?」


「お前の理想の源はリンカー達から聞いた前世の情報だ。しかし現世とこの世界とでは根本的に歴史が違う」


「そんなことはわかっているさ。そもそも開拓ってことは、いつまで経っても進歩しないじゃないか? 進んで戻っての繰り返しじゃないか? 今の生活を今以上に良くすることに、なんで反対するんだよ⁉︎」


「それは手順を色々と、すっ飛ばしているからだ」


「そんなことはない。現にみんな(リンカー)の同意を受けている」


「お前の仲間も目先の利益しか見てないんだよ」


「どういうことだよ?」


「お前の今現在の理想論はこの世界では向かないって事なんだ。精霊も精樹族もお前の理想では生きていけない」


「それは後で調整すればいじゃないか」


「まさかここまでこじらせているとは思わなかったよ。……全く親の顔がみたいもんだね」



ジンカイのそっけない返事に「そもそも親はあんたで、顔は覆面マスク被っているから誰も見れね〜よ!」と、心の中でツッコミを入れた奴はスバルだけではなかった。

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