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最初に言っておく‼︎ 転生者はキミだけではない‼︎  作者: クリクロ
第二章 『動き出した思惑編』
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パワーバランス04

 雑談で少しは気が晴れたのか、誰彼ともなく目の前にある料理に手を伸ばし始めた。そうしてみんながようやく食事をし始めたのを確認して、プラタナスはみんなに対してマスカラスからの通達を伝えた。


「先ほど、会合においての時刻と場所が正式に決まりました。申し訳ありませんが、場所が遠いので朝食後すぐの出発となります」


「そうかい」


ミトさんは驚きもせず淡々と返事をする。


「場所は『森林大会場』で行われます」


「モグモグ……さすがにドームじゃないみたいだな〜。せっかく覆面マスクのリベンジだと思ったのに」


ゲンキが食べながら、つぶやいた。


「いつも言ってるでしょ。食べながら話をするのはよしなさいって‼︎ ここは魔なびじゃないんだから、もう少しマナーとか気をつけなさいよ。私達まで行儀悪いと思われるじゃない」


ケイが慌てて注意した。


「モグモグ……わかったよ」


「わかってないじゃない。というか、今のはわざとでしょ⁉︎ なんで喋る前に食べ物を口に詰め込むのよ⁉︎」


「ケイもそのくらいにしな。」


ミトさんは、ゲンキではなくケイに言葉をかけた。今のゲンキに何を言っても無駄だよと言わんばかりな表情で、ケイをなだめる。


「だって……」


ケイの歯痒い表情を理解しつつ、ミトさんはここにきて本題に入る。



「食事の最中だが、今、言っておく。あたしがオールドウッズに来た『本当の理由』は、この交渉の為なのさ」


「 僕たちを戦わせるためじゃないの⁉︎」


「それはついでさ」


「……」


「交渉はあくまで『話し合い』で行う。本来は精樹王と元精霊王との国家レベルの話なのだが、この話はあんた達にも無関係な話ではないんだ。だからみんなにも同席してもらう」


「難しい話をされてもわかんないけど、それでもいいの⁉︎」


「それほど難しい話をするつもりはない。実にシンプルな話さ」



 ミトさんの話に耳を傾けながらみんなは食事を行った。そして早々に食事を済ませ、すぐに出発の準備に取り掛かる。ただしゲンキとモモちゃんだけは朝食後にプラタナスから再度診断を受けた。1日経過し、体調変化がないかの簡易的な診断ではあったが、結果的にいえば特に問題がなかったので一緒に会合へ連れて行くことにプラタナスからOKが出た。


一方で、唯一アギトだけは今尚ベッドで眠り続けている。鎮静ちんせい魔法が効いているのせいなのだろうか……一向に目覚める気配はなかった。アギト一人を残すわけにもいかず、プラタナスDがこの場に残り、プラタナスCが森林大会場へのナビゲートをする手筈てはずとなった。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




「到着しました」


 移動魔法が消され、全員が広場に降り立った。辺りをぐるりと見渡せば、ほぼ芝生が敷き詰められている広大な敷地。それこそ野球やサッカーが同時に何箇所も出来るくらいの広さだ。しかし建物らしいモノはなく、もう見慣れた高木群が芝生エリアの周囲を取り囲む外壁のようにおおっていた。



「またなんもないとこで降ろされたけど、どこに『森林大会場』があるんだ⁉︎ もしかして、ここからまた暗闇の道を進んで、サプライズみたいな仕掛けがあるとかなのか〜⁉︎」


スバルが文句を言いながらプラタナスに登り始め、顔付近まで近づく。


「いえ、今日はそのような趣向しゅこうではありません」


「んじゃ、どこに会場があるんだよ⁉︎」




「ココがそうじゃよ‼︎」


「え⁉︎」


振り向くといつの間にか、精樹王マスカラスがみんなの背後に立っていた。そしてその横には、当然ジンカイも同行していた。


「どっから、現れたぁ〜⁉︎」


速攻で、スバルがプラタナスに捕まりながらツッコんだ。


「ここは、ワシの庭みたいな所じゃ。気配を消すなんぞ朝飯前じゃ」


「そんな事出来るのかぁ〜⁉︎ これでも移動中から今までずっと解析魔法ワイヤーフレームをしてたんだぞぉ‼︎」


「あら、スバルにしては珍しいわね」


ケイが珍しく本当にスバルを見直している。


「今日はアギトがいないから、……その代わりなんだょ」


スバルは少し照れているのか、最後の方は小さい声で誤魔化した。


「それより、なんで今日も二人して覆面マスクかぶっているんだよ‼︎ 今日は話し合いじゃないんかよ⁉︎」


「そうじゃったな。今日はプロレスではなく、交渉だったな」


そういうとマスカラスは覆面マスクを脱ぎ出した。それに合わせてジンカイさんも同じタイミングで覆面マスクを脱ぎ始める。



お〜これでマスカラスとジンカイさんの素顔が見れるんだ。みんなは緊張しつつ、ドキドキが止まらない。特にゲンキはマスカラスの覆面マスクに執着していたので、なおさら興奮しっぱなしだ。


ところがマスカラスもジンカイさんも覆面マスクを脱いだのに、まだ覆面マスクをかぶっていたのだ。


「ふざけんなよ‼︎ そういうオチはいらないんだよ‼︎」


「ふざけてはおらん。これは交渉用の覆面マスクなのじゃ。その証拠に、ほれ、ちゃんと口の周りが大きく開いているじゃろ。これで会話もスムーズに出来るというわけじゃ‼︎」


「どうでもいいわ‼︎ 素直に全部脱げばいいだろうが‼︎ どんだけ覆面マスクが好きなんだよ⁉︎」


「だから、言っているじゃろうが。覆面マスクこそ我が命じゃと」


「時と場合があるだろうが‼︎ そうだよね、ミトさん」


そう言いながらミトさんの方を見ると、いつの間にかミトさんも口の周りが開いている覆面マスクをかぶっていた。


「ミトさんもお約束は、いらないんだよ‼︎ つか、なんなんこれ⁉︎ 国のトップ同士が本当にこんなのでいいんか⁉︎」


「んじゃ僕も」


「モモちゃんも」


そう言いながらゲンキとモモちゃんが喜びながら覆面マスクをかぶり始めた。

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