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最初に言っておく‼︎ 転生者はキミだけではない‼︎  作者: クリクロ
第二章 『動き出した思惑編』
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精樹大国オールドウッズ05

ミトさんは、その質問が来るのを予想していたかのように理路整然りろせいぜんと語り出した。



「元々は精霊が木々を新しい『生命の器』にすることで、精樹族が生まれたのさ。精霊にも年数は大きく異なるが人間同様に寿命がある。そして精霊自身は死期がわかる。それを『後精霊【死間際の精霊】』と呼ぶ」


「後精霊の詳細は以前に魔なびの講義で習いました」


「後精霊はなにも転生魔法のためだけの交換対象ではない。相性のいい『器』があれば憑依ひょうい魔法が出来るのさ。そうして精樹族が誕生した。本来は、余命幾ばくもない精霊が『精樹』に生まれ変わることで新たに生命の復活をとげ寿命が伸びたんだよ」


「そうだったんですね。でもそれって人と樹の違いはありますけど、転生魔法も憑依魔法も似てますよね⁉︎」


「転生魔法と憑依魔法との絶対的な違い。それは精霊の記憶は転生魔法では残らないのに対し、憑依魔法では残るのさ。つまり精樹族として新たに生命を宿しても、それ以降も精霊時の記憶は残っている」


「……ミストラルで生きてきた精霊の記憶がある。だから環境がミストラルに似ているですね」


想像していた以上に密接な関係だった。これは友好国レベルではないのか⁉︎ しかし、そんな事実は一般的にも浸透していないし、魔なびの講義でも一切教わっていない。


「いや、正確にはミストラルの前さ。つまり精霊族が人間と共存する前、単種族で生きていた時代の生活スタイルをそのまま継承している。ミストラルも当然その流れを組んでいるのさ。いわゆる両者は『枝分かれ』ってヤツだね。……木だけに」


「な、なるほど(ここはツッコミを入れないといけないのか⁉︎)」



「ちなみに、あたしのこのナイスバディー姿は人に憑依したわけじゃないからね。これは人のイメージを具現化した魔法だからね」


「そんなことは聞いてませんよ‼︎ つか、自画自賛でナイスバディーとか言わないでください‼︎」


流石に我慢しきれずにアギトはツッコミを入れたが、それに意にも介さずミトさんは説明を続ける。


「ただし、せない点もある」


「え⁉︎ ミトさんが納得いってない点があるんですか⁉︎」


あたしが以前ここにきた時、……約9年前だと言ったよね。その時は、こんなコテージなんかはなかったよ。当然、人間用の風呂も食事なんてものは存在しなかった」


「では、9年の間に精樹族と人間との関係が緩和されたのでは⁉︎ 何処かの他国との交流が出来たのでは⁉︎」


「いや、それはない。なぜならこの森の入り口付近、そしてこのコテージには知らない人間の痕跡はなかった。ましてあたしを誤魔化せるほどの痕跡除去魔法を使う人間がそうそういるとも思えない」


「だとすると、今日出された夕食の料理はどういうことなんでしょうか⁉︎ 自分はミストラルの料理しか知りませんが、今日の料理は違和感なく頂けました。ちなみにこの世界では国によって調理法とか味は大きく変わらないのですが⁉︎」


「全ての国を知っているわけじゃないからなんとも言えないが、ミストラルの食事は他国よりは独創性があり味がバラエティーに富んでいて、つ繊細だと思っている。なにせ監修が『リンカー』なんだからね」


「そうか‼︎ 前世から馴染みのあるレシピの記憶を引用すれば、俺たちリンカーの口に合うのは当然ですね」


「一番大事なことは、アギトが指摘した点『精霊同士での交流があったのか⁉︎』……これに関しては、交流はほぼゼロだ」


「え⁉︎」


ここだけはアギトの予想はハズれた事になった。


「後精霊問題に関していえば、ミストラルは自国だけで解決した。それがリンカーの登場に繋がる。つまり交流する必要がないんだよ。数百年前に人間と共存する為にミストラルを作る際に、精霊たちは今後の生き方を選択出来たのさ。人間との距離を置く後精霊を含む精霊たちは、オールドウッズでの生活環境で生きる決断をした。人間との共存に寛容な精霊たちはミストラルを選択した。同じ精霊族でも、そこで『生き方』に差が出来たのさ」


「なるほど」


「実際に両国間を移動してみてわかったと思うが、移動魔法を要してもこれだけ時間がかかる。とても道中が安全だとは言い切れない。つまり長距離移動というリスクを負ってまで、精霊同士が情報を共有する理由がない。ましてオールドウッズに移住した精霊は人間を信用していない。だから人を受け入れる体制を取る事自体が考えられないんだよ」



確かに、おいそれと簡単に移動出来る距離ではないし、昼間の惨劇を体験した身でいえば、道中のどこに危険がひそんでいるかわからない。この結果を踏まえ、アギトは別のアプローチで質問をした。


「では、迷い込んだ旅人が人間の生活スタイルを伝えたとかでは⁉︎」


「ここに来る途中でも言ったけど、森の外周りは様々な罠魔法を仕込んでいて侵入をこばんでいる。それをい潜って人間が大深林のメイン部分に入り込むのは実質不可能さ」


「それじゃ〜どう解釈すればいいんですか⁉︎ このコテージとか食事とかは⁉︎」


「……まぁ〜可能性としては、一つしかないんだけどね」


ミトさんは、自分だけが納得するかのように微笑んだ。


「それは、なんですか⁉︎ 教えてくださいよ‼︎」



「明日になれば、精樹王マスカラスと会える。その時にでも真相を聞けばいいじゃないか。さぁ〜もう遅い。アギトもトモミも、もう寝な」


そう言うと、ミトさんは奥の寝室部屋の方へ行ってしまった。



 明日の精樹王マスカラスとの対面を前に、ミトさんは今どういう心境なんだろうか⁉︎ そして、ミトさんがオールドウッズに来た目的とはなんなのだろうか⁉︎


その答えがわかれば、必然とミトさんが正式な護衛班ではなく俺たちラストリンカーをココに連れてきた本当の真意もわかるかもしれない。……そんな気がした。


何にせよ明日だ。どんな人物かはわからないが、精樹王マスカラスに直接問うてみるしかない。焦る気持ちはあるが、寝る前にアギトにはどうしてもやらなければならない事があった。

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