表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

慟哭

作者: Telu

 全てを失った。

 積み上げてきた仕事も、五年ほど付き合っていた彼女も。


 同時期に全てが消えた。



 仕事は業務量含めちゃんとやっていたつもりだが、同僚達の裏切りにあった。

 真面目に数年営業として足を運び、契約を取り、一貫して行っていたがそれが仇となった。



 あいつは俺等と組んでやる気がない。


 チームワークというものを求めない。


 あいつの契約をここまで運んだのは俺だ。


 そんな内容を一人の同僚からきいた。

 飲み会にはあまり出席しない俺なので、そこでの愚痴大会が行われていたらしい。




 当然上からの目もつけられる。

 それでもよかった、それだけならよかった。


 一人の支えがいたから。



 俺はなんとも脆い、仕事と彼女の二本の支えで立っていた。

 どちらかが崩れれば直ぐに崩れてしまうほどの脆さ。



 唯一の救いだった彼女は最近態度が変わった。

 俺のこんな状態に気づいていたのだろうか。


 前は支えてくれていたと思っていたが、俺だけがそう思っていたのかもしれない。



 気が浮つくというのは何となく気付くものだ。

 素っ気ない態度から掘り下げてみればこれだ。

 

 人を裏切れるというのはこんなにも容易いことだったのだろうか。




 仕事にも影響が出てしまい、挙げ句の果てには俺が潰れる始末。

 休職を一度出してしまえば辞めたと同じ。



 

 自分の余裕の無さが世界に見透かされていたのだろう。





 誰に叫べばいい、どこに何を放てばいい、嗚咽と化した声は何処にも誰にも届かない。


 空を見て天を仰ぎ喚き叫ぶ、支えが無くなった表情と渦巻く感情、声にならない声が慟哭となる。



 無となった人はまた一歩成長する。

 


 

 

読んで頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] マイノリティーな人間の心理描写がリアルでした。 共感できるポイントが非常に多かったです。 負の感情の震えのようなものが伝わってきました。 [気になる点] 最後の 「無となった人はまた一歩成…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ