慟哭
全てを失った。
積み上げてきた仕事も、五年ほど付き合っていた彼女も。
同時期に全てが消えた。
仕事は業務量含めちゃんとやっていたつもりだが、同僚達の裏切りにあった。
真面目に数年営業として足を運び、契約を取り、一貫して行っていたがそれが仇となった。
あいつは俺等と組んでやる気がない。
チームワークというものを求めない。
あいつの契約をここまで運んだのは俺だ。
そんな内容を一人の同僚からきいた。
飲み会にはあまり出席しない俺なので、そこでの愚痴大会が行われていたらしい。
当然上からの目もつけられる。
それでもよかった、それだけならよかった。
一人の支えがいたから。
俺はなんとも脆い、仕事と彼女の二本の支えで立っていた。
どちらかが崩れれば直ぐに崩れてしまうほどの脆さ。
唯一の救いだった彼女は最近態度が変わった。
俺のこんな状態に気づいていたのだろうか。
前は支えてくれていたと思っていたが、俺だけがそう思っていたのかもしれない。
気が浮つくというのは何となく気付くものだ。
素っ気ない態度から掘り下げてみればこれだ。
人を裏切れるというのはこんなにも容易いことだったのだろうか。
仕事にも影響が出てしまい、挙げ句の果てには俺が潰れる始末。
休職を一度出してしまえば辞めたと同じ。
自分の余裕の無さが世界に見透かされていたのだろう。
誰に叫べばいい、どこに何を放てばいい、嗚咽と化した声は何処にも誰にも届かない。
空を見て天を仰ぎ喚き叫ぶ、支えが無くなった表情と渦巻く感情、声にならない声が慟哭となる。
無となった人はまた一歩成長する。
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