表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
円い十字架  作者: M.P.P
98/102

-第三十章- 円い十字架(7)

「けどよ、そんじゃチャンスは一回きりってことだよな」


藍沢さんが問う。そうだ、そういうことになる。


「それにもし、リクのリバースがそこまで強力じゃなかったら?」


瀬奈の疑問ももっともだ。一度しか使えないリバース。浩二と似たようなものだ。だからつまり、使ってみるまでその強力さは図れない。


「大丈夫よ。私が保証するわ」


電極だらけの少女が、突如起き上がって口を開いた。


「あなた、最強の能力者だから」


何の根拠があって言っているのか。


「トオルの日記を読んだのでしょう?全知全能の成功品」

「だが、それは君のことだろう?」


確か始めてあったときにそう名乗ったはずだ。


「いいえ。あの時は嘘ついてごめんなさい。すべてを可能にする最高の能力者。異能力実験の本当の成功品。それに山添徹は気づいていたのよ。あなたがそれを持っていることに。『運命湾曲』決められた未来を捻じ曲げる力」

「だとすれば俺に見えている数字は?」


そうだ、確率を操作しなければ俺の能力は発動できない。


「そんなもの思い込みよ。能力なんてそんなもの。考えてみなさい。ほかの能力者たちは、具現化する、瞬間移動する、心を読む、どれだって『今』起こることでしょう。未来を変えられるのはあなただけよ」


自分ですら気づいていなかった本当の力。そうか、俺が持っているのは確率を操作できる能力ではない。運命を変える力なのだ。


「ありがとう。本当に成功する気がしてきた」


後は瀬奈とくーちゃんに協力してもらうだけだ。


「さあ、始めましょう」


No.75Cが両手を広げる。


 その両端に瀬奈とくーちゃんが立つ。俺はNo.75Cと向かい合うように立つ。そして、各々手をつないでいく。


「これで本当に終わるんだな」


凛さんはどこか懐かしむような表情をしている。


「後は頼んだぞ」


藍沢さんもそれに同調する。


「最後に確認するぞ。瀬奈は能力の存在しない世界を強くイメージしてくれ。No.75Cはその空想とくーちゃんの能力無効化の力を拡散する。そして、そんな不可能に近い計画のたどる未来を、俺の能力で捻じ曲げる。絶対うまくいくさ」


瀬奈、くーちゃん、No.75Cが同時に首を縦に振る。


 瀬奈が目をつぶり想像を始める。まずは瀬奈の能力が安定しなければならない。しばらく沈黙が続いた後、No75Cに目で合図をする。


 それを待って、No.75Cが能力を起動する。彼女を取り巻く機械が唸るような音を上げる。そして、俺は目を見開いた。


 数字を探せ。限りなくゼロに近い、計画の成功率を。


「ふふ、まだきちんと理解はできていないのね」


どんどんと機械の唸りが大きくなる中、No.75Cが笑っている。


「数字なんてどうでもいいの。想像して。あなたの望む未来を。そうすれば、その通りに運命は捻じ曲げられるわ」


少しの間を置いて、俺は一度目をつぶる。数字など関係ない、か。


-前回のあらすじ-

 四人の力を合わせれば、異能力の存在しない世界を作りだせると気付く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ