-第二十三章- 紅ノ日記(3)
[二六年 十月二十日]
あまりにもひどすぎる。ついにこの順番が回ってきてしまったのかと思う。僕はこの能力で、凛さんを能力者に仕立て上げなければならない。それに、●せという命令もきている。
僕にできるか。それに、事件となれば●●がやってくる。どうしたらいい。
自分に自分で能力を使って、コントロールすることができないか。鏡を使って自分の目を見つめれば可能かもしれない。そうだ。そうやって自分をコントロールしよう。
[二六年 十月二十●日]
ほかの能力者と合流した。この日記は是が非でも隠し通さなければいけない。
大丈夫だ。僕ならできる。注意するのはくーちゃん(今まで瀬奈だと思っていた)だけだ。彼女以外はコントロールすればなんとかなる。
[二六年 十月●●日]
●●の本当の計画を知った。絶対に止めなければならない。くーちゃんは●させない。なにがあろ●●、僕が●●ってみせる。
[●六年 十月●●日]
どうしたらいい。●●は思考を覗けたのだ。僕が反乱を企てていることも、すべて筒抜けだった。この日記にも気づかれ●いるかもし●●ない。
[●六● 十月●●日]
ついにくーちゃんが●的と●った。もう準備はできている。僕は●さない。この日記は気付かれていないらしいことも分かっ●。
これからのことは詳細にここに記そう。そして自分の能力で、そのつど記憶をきれいさっぱり消し去ろう。そうすれば●●に気付かれることもない。
[●六● ●●●●日]
この日記を●んでいるということは、僕はすでに●んだの●●う。
●●に●●た。僕が●されるのも時間の●●だ。それに、劣●●写が●●の元に●たのだ。僕の●力を●ピーされた。
とは●え劣化しているから、速攻性はない。じわじ●思考が犯●ていくのが分●●。
僕は●ぬ。●される。でも、●●でさえ気付かない罠を仕込んだ。どうか生き延びて、●●の計画を●●てくれ。成功品を探●。
最後に。僕はずっとくー●●んのことが、●きだ――
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そこで日記は途絶えていた。きっと思考が犯されきってしまったのだろう。このあと彼がたどる運命を俺たちは知っている。このまま舌を噛み切り、この日記を口に押し込んで死ぬのだ。
だが問題はそこではない。真に突き止めるべきは、名前のわからない主犯の存在だ。現状では素性は愚か、その動機さえわからない。
それに、とても重要な何かを見落としている気がするのだ。すでに答えは示されているのに、それに気付けていないようなもどかしさが頭を支配する。
そして、「成功品」とは何を意味しているのか。おそらくトオルは俺たちにその「成功品」を探してもらいたいのだろう。けれど、現時点でそれが何か分かるようなヒントはない。
警察署という限られた状況の中で、答えを探さなければならないというのが、ここまで苦痛だということを思い知らされた。