-第二十三章- 紅ノ日記(1)
-前回のあらすじ-
警察署にて、監視カメラから隠れるように日記を開いた陸斗は、血濡れのページをめくってゆく。
俺は日記を開き、血で張り付いたページをほぐしてゆく。それでも、読めるページは限られているし、シミによって読めない部分が大多数である。
これから読むのは、その中でもとりわけ情報が多かったページである。
[●●年 一月●●]
●●は、僕を救ってくれた。まだ脚はま●もに動かないし、顔が腫れてい●●とに変りもない。けれど、少なく●●僕の味方をして●●る。手当もし●くれたし、薬も持ってきてくれる。
ただ、一つ不思議なのは、●●がど●な仕事をしているかだ。白い服を着て●●●が多いから、医者なのかもしれ●い。
[●●年 ●月十五日]
僕には不思議な力があることに気付いた。●●はよかったと褒めてくれる。
思ったものやことを他人に見せられるみたい。
[●●年 三月四日]
あれから一年と少し経った。だいぶ●の環境にもなれてきたし、●●の研究にも協力できるようになってきた。●●は僕を救ってくれたし、恩返しをしたい。
それから、僕の能力は、うまく使えば他人を洗脳できることに気付いた。これはかなり応用がききそうだ。
[●四年 四月二十日]
母が●●していた。僕を失ったことがショックだったのか。多分、ストレスのはけ口がなくなってしまったのがつらかったに違いない。
母がいなくなっても、とくに悲しみはない。どちらかというと強く感じるのは悔しさだ。できればあいつにこの力を使ってやりたかった。
[二五年 八月三日]
僕に初めて仕事が与えられた。研究者の監視だそうだ。
僕にはこの力があるから、そいつをコントロールして元から身内だったように見せかけることができる。ここ数年間は、●●とその仲間としか会話していなかったから、外の人間に興味がわく。
[二五年 九月十日]
凛さんは今日も寝相が悪い。けれど、こうして笑って生活できている自分に驚いているのも事実だ。これが家庭というものなのかもしれない。
けれど、凛さんをコントロールしているという罪悪感がぬぐえない。だからといって、素で話すのは怖いからできないけれど。やっぱり女性に会うと母を思いだしてしまう。
[二六年 十月一日]
久しぶりに●●に直接会った。ここ一年は報告書のやりとりだけだったから新鮮だ。
そして、僕に次の仕事が与えられた。とはいえ凛さんとの生活は続くのだけれど。ただ、今回の内容は重い。人を●さないといけない。でも、●●のためならば、僕はどんな指示だって聞くと決めている。だから迷いはない。
今日から数回は、日記のないようになります。今までとは少し違ったテイストの進行をお楽しみください。