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円い十字架  作者: M.P.P
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-第十九章- 幻惑(1)

-前回のあらすじ-

 カフェテラリアで、藍沢さんから話を聞いた瀬奈とくーちゃんだったが、突如お店の戸がけ破られてしまう。

 カフェテラリアは、まるで映画のワンシーンかのような惨状だった。入口の扉は破壊され、その中には臨戦態勢の人間が四人。


 何かしらの格闘術であろう構えをとる藍沢蓮と先ほどの女、その向かいにはトオルがいて、敵意をむき出しにしてにらみ合っている。さらにその隣には巨大な剣を藍沢蓮に向けて構えた瀬奈がたたずんでいた。まだこちらには気づいていないようだ。


 店の外ではおそらくカフェのマスターであろう人物と、おびえたくーちゃんが小さくなっているのが見える。


 先ほどの電話から察するに、藍沢蓮と謎の女がグルで能力者であったトオルを襲い、それを瀬奈が守っているのだろう。となると、今最も危険なのはあの女だろうか。俺はハンドガンを取り出すと、あまり目立たないよう、小さく構えた。


『86.2%』ここまで命中率を上げれば数発のうちに当たるだろう。俺は女の脚に当たるよう能力を調整する。さすがに殺してしまうのは気が引けたのだ。


だが俺が引き金を引くより早く、状況が動き始めた。瀬奈が剣を地面と水平に構えなおすと、藍沢蓮に向かって突進を始めた。それと同時に女が藍沢蓮をかばうように瀬奈との間に割り込む。


「くっ」


女が苦痛の息を漏らすのが聞こえる。驚くべきことに、回避もせず右肩部分で剣を受け止めている。否、受け止めたというより、深く刺されたというべきか。女の肩はみるみるうちに真っ赤に染まっていく。


 ことの重大さに気付いた通行人たちが、悲鳴をあげながら逃げてゆくのが見える。再び視線をテラリアに戻すと、女の肩に深く刺さった剣は姿を消していた。やはり能力で生み出した剣だったのだろう。


 血にひるんだ瀬奈に対して、女の後ろに隠れていた藍沢蓮がエルボーを腹に入れる。ドスっと鈍い音がして、瀬奈の表情が苦痛に歪む。彼女は膝をつくと、苦しそうに息をしている。


「ふざけるな!」


それが自分の口から発せられた叫び声だと気付いた。俺はハンドガンを藍沢蓮に向けると、引き金を引いた。


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