-第十四章- 安息(3)
-前回のあらすじ-
拠点へ戻った4人は、トオルの提案で銭湯へと向かう。
着いた先はいかにも「スーパー銭湯」といった様相で、お風呂だけでなく食事処やマッサージ機コーナーなどが併設されている。
暖簾の前で男女分かれると、瀬奈さんとともに脱衣所へ向かった。
「ほんと、見れば見るほどそっくりね」
鏡と私を交互に見比べて瞬きを繰り返す。左右反転していることを除けば、その差はほとんどないと言ってよいほどだ。
「でも、髪の長さがちょっと違うね」
私がそういうと、瀬奈さんは微笑みつつ返答する。
「うーん、区別がつくからいいんじゃない?」
確かにその通りだ。お風呂から上がったら、あえて違う髪型にしてみるのもありかもしれない。
浴室はとても大きいが、時間のせいもあってかそこまで人は多くない。体を軽く流すと、二人で中央の大浴槽へ向かった。
「ねぇ、くーちゃん。私たちどのくらい似てるか比べてみない?せっかく脱いだんだし」
瀬奈さんが冗談ぽく笑っていた。少し気恥しいが、どうせそっくりな体なのだ。隠すことに意味はない。
「そうだ。背比べしてみようよ」
わざわざ裸でやる必要もない気がするが、別に誰かに迷惑がかかるわけでもない。二人で背中合わせになって比べてみることにした。
「あら、あなたたちそっくりなのね。双子ちゃん?」
気付くと知らないおばさんに声をかけられていた。当の本人ですら違いが見つからないのだ。他人からしたら双子にしか見えないだろう。というより、クローンなのだから一卵性双生児に限りなく近い気もする。いつか、願わくば瀬奈さんの両親にも会ってみたいと、そう思った。