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円い十字架  作者: M.P.P
30/102

-第十二章- 影(1)

予約投稿の予定が一日ずれていました……。今気づき慌てて投稿した次第です(汗)

20:00更新とならず申し訳ありません。明日からは再び20:00更新で頑張ります!


-前回のあらすじ-

 倉庫での情報交換も区切りがつき、各々眠りにつく

私は息苦しさに目を覚ました。胸に圧迫感を覚える。寝起きで回らない頭で必死に考えた結果、昨夜は瀬奈さんと一緒に寝たという事実を思いだした。よく考えればいま私は一人ぶんの布団に二人で入っているのである。そしてこの息苦しさは瀬奈さんが私の上に覆いかぶさるようにして眠っていたからだった。


「朝早いね、くーちゃん」


瀬奈さんが寝ぼけた声でそういう。その声で起きてしまったのか、トオルや神城さんも動き始めた。


 布団からでた後も、しばらくの間みんなで話をしていた。こうしていると凛さんのことや自分が偽物であるということ、そういった不安も心なしか和らぐ気がした。


「ここにはキッチンってないのか?」


カーテンの向こうで着替えながらトオルが質問を投げかけている。さらっと見回した限りではそれらしい設備は見当たらない。


「うーん…。一応卓上コンロはあるけど…」


瀬奈さんの口調を見る限り、ほとんど自炊はしていない、というかそれができるだけの設備がないのだろう。


「よし、それさえあれば何とかなる」


トオルは自信満々にそう言うと、倉庫を出て行った。


 しばらくして帰ってきたトオルの腕には、パンや卵などの食材、そして塩、胡椒、砂糖などの調味料が抱えられていた。


「これで朝ごはんも作れるだろ」


荷物を下すと自信満々にそう言った。凛さんの家でも毎朝トオルがごはんを作っていたけど、どこで覚えたのだろう。おそらく私よりも作れる料理のバリエーションは多い。まぁ、もともと瀬奈さんがあまり料理は得意じゃないみたいだから仕方ないとも思うことにした。


「トオルはすごいな。俺は料理なんて全くできないよ」


神城さんが言う。正直なところ、私も記憶が消えてしまって以来一度も料理を作ろうとしたことはない。そして瀬奈さんも料理をしないようである。ということはきっと私も料理はできないのだ。


「適当だけどフレンチトーストを作ってみたよ」


トオルがそう言いながらテーブルへ朝ごはんを運んできた。さすがはトオルである。おいしそうな香りがする。


「すごーい。私も料理できるようにならなきゃね……」


瀬奈さんが感動している。私もはじめのころはトオルの料理上手には驚かされた。食卓に全員分のトーストが並ぶと、みな待ちきれないといった様子だ。


「遠慮なく食べて」


トオルがそう言うと、私たちはトーストを食べ始めた。甘すぎず、かといって物足りなさもない、そんな絶妙な味付けだった。さすがはトオルだ。しばらく周りの様子を気にすることも忘れ、フレンチトーストを頬張った。


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