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カラーイヤーズ  作者: 兎鳥
1/1

01.序章:コトノハジマリ(前編)

はじめまして、兎鳥と申します。

仕事がなかなか忙しくて今まで投稿が出来ませんでしたが、

この作品はどうしても投稿したく、本文を多少変更し、投稿しました。

私にとって10代最後の年に作成した作品なので思い入れが強く、成人してから一度もこの作品の登場人物を忘れることはありませんでした。

ですが、やはり仕事が忙しいので次話までの投稿の期間がかなり空いてしまう事も予想しています。

なので、暖かい目で見ていただけると幸いです。

それでは、本文をお楽しみください。

夢を見た。


ただ真っ白い世界にただ一人、取り残される夢。


どんなに歩いてもなにもなくて。


どんなに叫んでも返事がなくて。


ただただ「白」が広がるだけの世界。


寂しくて。


ただ寂しくて。


「苦しい世界」だった・・・。



《ピピピピピピピピピピピ―――――…》



携帯のアラームでゆっくりと目を覚ます。

辺りを見回すが、何も変わりない。よく知った自分の部屋だ。


「…またか……。」

最近夢をよく見る。

その夢はいつも似たような夢だが少しずつ違っている。

どんな夢だったか…。今はもう覚えてはいないが。

手元にある携帯を取り、時刻を見る。

6:30。


「今日は2講時目からだしな…。」

今から準備をして学校に行くのには十分すぎるくらいの時間だ。

二度寝を考えるが、そんな気分になれなかった。


(まあ、早く学校に着いてまずいこととかないし…)

ベッドの上でぐっと伸びをして床に足を付ける。


「ぅあっ!冷たっ!」

今は寒い時期だから床が冷えていて当然なわけで。

分かってはいたが想像を超える冷たさに一気に目が覚めた。


「…絨毯敷いておけばよかった…。」

少し後悔し、床の冷たさを我慢しながらリビングへ向かう。


「あれ、姉ちゃん。おはよう。」

リビングへ行くと、弟のみつるがトーストを貪りながらテーブルの前に座り、天気予報を見ていた。


「おはよう。早いねミツル。…っと、ムツキは?」

「ムツキならまだ寝てるよ。この時間に起こすのはまだ早いかと思ってさ、起こさなかったんだ。」

「ああ、まだ六時半だもんね。」

とりあえずテーブルの空いている場所に座る。

テレビでは元気なベテラン司会者とニコニコしている女性アナウンサーが今日の朝刊であろう記事の一部をピックアップしてボードに貼ってあるものを一つ一つ順番に紹介している。

その様をボケッと見てたら唐突に充が話しかけてきた。


「あ、姉ちゃん。今日さそり座1位だったよ。今まで体験したことのないようなことが起こるかもだって。」

「へぇ、体験したことのないようなことか。それが吉と出るか凶と出るか…。」

「姉ちゃん。とりあえず1位なんだからせめて吉として考えようよ。」

「そうだね。とりあえずは吉として考えておくよ。」

テーブルの上に肩肘をついて頬杖をつき、ふぅっと一息、軽くため息を吐く。


「姉ちゃん。」

「何?」

「朝食。食べないの?元気でないよ?」

ミツルはじっとこちらをみて言う。なので、こちらもじっと見つめ返してから返事をする。


「…あぁ、そうだね。寝起きだから少しぼーっとしてたよ。

パンとかまだ余ってたっけ?」

「うーん、あと1,2枚くらい余ってたかな。あ、ご飯も確か余ってたよ。」

「まじか、じゃあ納豆ご飯でも食べるかな。」

のそっと立ち上がり、台所へ向かう。なんだか体が重く感じる。


「あ゛ーっ。動くの面倒くさいな。」

だらだらと台所の冷蔵庫を開け、とりあえず納豆を探す。


「姉ちゃん、出来れば俺のコップも持ってきてくれると助かるな。」

リビングの方からミツルが声をかけてくる。


「うぃ~。了解。」

だるそうに返事をしながら茶碗にご飯を盛る。


「飲み物は自分で用意してよー。」

そうミツルに告げながら納豆に附属の醤油をかけ、混ぜた後にコップを二つ、食器棚から取り出す。

御盆にそれらを乗せてリビングに戻る。


「ありがとう、姉ちゃんもお茶でいい?」

ミツルが冷蔵庫を開けながら聞いてくる。


「あぁうん、いいよ。」

冷蔵庫からお茶を取り出し、戸を閉め、戻ってくる。

なんらいつもと変わらない行動。

二つのコップに茶がトクトクと注がれていく。

コップ一杯に注がれた茶を一口含み、飲み込む。

冷たい液体が喉をゆっくりと通り過ぎ、胃の中に入っていくのを感じながら納豆ご飯を一口、また一口と食べ始める。んまい。


「んー、やっぱり朝は納豆ご飯に限るね。」

もそもそとご飯を口に掻き込みながら独り言。


「姉ちゃんはよく毎日納豆ごはん食べて飽きないね。」

その横で口にお茶を含みながらトーストを貪るミツル。


「ミツルだって毎日トースト貪ってんじゃんさ。」

「俺はトーストを愛しているからいいの。一生離さん。」

ふふん、と鼻を鳴らしてドヤ顔をしてくる。

ふん、お主には納豆ご飯の良さは分かるまい。


「ふぅ、ごちそーさま。」

ご飯を一気に掻き込み、立ち上がる。

それを見てミツルが目を丸くして声を上げる。


「え!?姉ちゃん!!?早すぎない!!?」

…お前が遅いんだよ。


「テレビ見てボケッとしてる人には早く見えるだろうさね…。」

哀れな目でミツルを見下ろす。


「姉ちゃん、それ言ったら俺反論できないじゃん…。」

若干顔をしかめてミツルが言う。


時刻は6:50。


もうそろそろムツキも起こすか…。



―――――----―――――



「ムツキ、そろそろ起きな!!」

部屋の扉を開けて呼びかける。

静まり返る部屋。

二段ベッドの下の方を覗く。

そこにはミノムシの如く毛布にくるまる次男・睦月ムツキがいた。


「ふぅ、ほらムツキ、手荒な事されないうちに起きておいた方が身のためだよ。」

布団を揺さぶる。


…起きない。


それどころかこいつ、寝言まで言い始めた。


「んふふぅ~…むにゃむにゃ…このくらいで諦めんなよぉ~…」


「…。」


静かに、ムツキの包まっている毛布の端をつかむ。

そして、大きくひとつ、深呼吸をする。

深呼吸が終わると同時にフルパワーで毛布を握りしめ、思いっきり引っ張り上げた。


「っっらぁ!!!!!」

「あべしっっ!!!!!」

毛布を引っ張られたムツキの体は空中で綺麗な一回転をし、枕に顔面を押し付ける形で着地。

うん、本日も結構なお手前で。


「お…お姉ちゃん…か弱い弟になにもこんな扱いをしなくても…。」

鼻を擦りながらのそのそと起きてくるムツキ。

…鼻を打ったのか。


「すまん、つい出来心で…」

若干赤くなったムツキの鼻先を見ながら謝る。


「もうそろそろ起きた方がいいよ。君、準備するの遅いでしょ?」

勢いよく奪い取った毛布をたたみ、布団の上に戻す。


「うぉぇ…学校めんどくさい…」

そんなこと言ったって駄目ですよ。引きずってでも連れて行きます。


「良いから早く用意する!!また遅刻するよ!!」

「ぉぎゅええぇぇぇぇ…」

布団から強制的に引きずり出すと同時にムツキはまるで鶏の首を絞めたような奇声を発していた。



――――…――――



朝にめっぽう弱い次男:ムツキを文字通りはたき起こして、朝食を無理やり口に押し込める。

その時にまた「ぅごぉぉぉ…」とか奇声を発していたが気にしない。

ムツキを起こすのに大分時間がかかってしまったのだ。

少し急がなければならない。


「お姉ちゃん、今日良い天気だよ!!こんな日はのんびりしたいね!!ねえ!!そう思わな…」

「そうだねぇ、良い天気だねぇ。こんな日こそ登校日和だねぇ!!」

ムツキの遠回しな行きたくないアピールを全力で受け流しながら自分の支度も着々と終わらせる。


時刻は7:20。

まだまだ余裕がある。有り余り過ぎて困るくらいだ。



ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

短期間投稿は難しいですが、出来るだけ早くに次話投稿出来るよう努力いたしますので、

それまでの間、お待ちいただけると幸いです。



今回の登場人物

高音タカネ 真貴マキ

 →長女

高音タカネ ミツル

 →長男

高音タカネ 睦月ムツキ

 →次男

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