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第5話


『……ボス。起きる』

『……ボス? ボス違う?』

『ボス、合ってる。感覚、違う』

『『『『ボス、ボス、ボス』』』』


……うん? なんか耳もとでボスの大合唱が聞こえてくる。いや、虫なのに耳元っていうのもおかしいかも知れないけど、そんな事を言い出したらゴキがどうやって今まで会話してたのかって疑問がある訳で……って、は!?


 俺は、生きてる? いや、生きてるっていうか、ちゃんと俺の意志が継承されてる? ………大丈夫そうだ。ちゃんと転生してゴキになった事を覚えてる。不本意だけど。

 だんだん意識がはっきりしてきた。声のしていた方を見てみると無数のゴキ(成体)と同じく無数の数のゴキ(幼体)。うわ……慣れたつもりだったけど一瞬ビクッとしてしまった。なんかめっさカサカサしてるし。触覚もピクピクって動いてるし。幼体もいるって事は卵からまた()()えたって事か。1,2,3……大体倍って所か。最初の増殖も俺一人からの元だし、まぁ妥当か。


 『おう。お前ら。全員無事だったようだな。良かった。というか、また俺がボスってことで良いのか?』

『……ボス、他の仲間と、何か違う。だから、ボス、分かる。』

『ん~そう言う物なのか。まぁスキルにも統括個体ってあったし、そう言う物なのかもな』

『とうかつ……? 覚えた。ボス、統括個体』

 

なんともまぁ物覚えの良い奴らな事で。いや、テレビとかの虫の特番だったかでゴキのIQはクソ高いって何処かで聞いたような……。特定の状況下ではIQ300オーバーだったか? 眉唾物だと思ってたけど、こいつらの賢さを見てるとあながち間違ってはいなかったりしてな。

 さて、そういえばステータスはどうなったんだろう? 確か死んでもレベルまでは継承されないらしいし。



【G】 Lv.1

生命力:G並

魔力:G並(皆無)

力:G並

速さ:G並

知力:G並

器用さ:G並


状態:【良好】【異世界産】【半魔物化】【幼体】


スキル

【生存適応】

【飢餓耐性:大】

【悪食耐性:大】

【自己再生】

【捕食:微】

【中核個体】

【統括個体】

【外殻強化:微】

死因:貧弱すぎて死亡。多少外殻が固くなるスキル。ただし微では誤差の範囲

【顎力:微】

死因:非力すぎて死亡。多少顎の力が強化される。ただし微では誤差の範囲。


 やっぱりレベルは1にリセットされているらしい。まぁ、生き返られるだけでもいいとするか。しかも数が増えている訳だから群れの勢力は確実に増えている。新しく増えたスキルは……。若干防御力がマシになるのと顎の力が強くなる物の二つか。微の状態ではそこまで強いものじゃなさそうだ。念の為試してみるか。


『1号。俺の外殻と2号の外殻を触って硬さの違いを見てくれないか? スキルで俺の外殻が少しだけ固くなってるらしいんだ』

『む? ……む~?』


スキルを確かめる為に1号に触らせて確かめさせる。2号の外殻を触って、俺の外殻を触ってを繰り返し困惑の意志が伝わってくる。


 『…………………ちょっと、堅い』


 1号はさんざん悩んだ末にそっぽを向いてそう答えた。ははは。まさか同族とはいえゴキに空気を読まれるとは思わなかった。いや、まぁレベルの上がった成体個体とレベルがリセットされた幼体個体では外殻に差が出ても仕方が無いだろう。そういう事にしておこう。


 で、次の問題だ。俺の今回の個体の性別がメスではなくオスになってしまっている。これでは今までの様に自分で死んだときに自分で次の個体を残すことが出来ない。何か対策を取らないとな……。さしあたっては俺が死んだときの為に出産可能な個体とペアで行動しておくか。予め指示しておけば中核個体のスキルで継承させることが出来る筈だ。実際に出来るかは博打になってしまうだろうが、まぁ何もしないよりはマシだろう。


『ボス。今、14号が、ゴブリン、追いかけてる。また、レベル、上げる』

『既に見つけていたのか? めっちゃ優秀だな……。いや、グッジョブだ。成長しておかないといざって時に逃げきれないからな』


 優秀な仲間が生き残っていると助かるな。この個体は多分1号か。1号にはぜひとも最後まで生き残っていてほしいものだ。

 






『………ボス? ゴブリン。 殺された。ごめん』

『ゴブリンが殺された? ゴブリンが殺されるような敵がいたって事か? 大丈夫だったか? どんな奴か見えたか?』

『……ん。大丈夫。そいつ。キラキラした棒で、ゴブリン殺してた。 あと、ゴブリンの、耳? 持って帰った。』


 見ればゴブリンは耳だけが切り取られ、残りの死体は全て放置されていた。獲物としての襲われ方じゃないな。それにキラキラした棒? もしかして剣か? まさか人間? しかも耳を刈り取ってったって事はテンプレ的に考えて、ゴブリンの討伐証明の部位を刈り取った冒険者って所か。


 冒険者が虫の1匹や2匹相手にしないとは思うが、結構な大所内になったしな。俺らゴキは人に嫌悪感が抱かれやすしな。見つけたら根絶やしにしろレベルで。気を付けないと、殺されるかもな。一応こいつらにも注意喚起しておくか。


『そのゴブリンを殺したって生き物。それは多分人間だ。あらゆる動物の頂点にして、最も危険な生き物。俺らの天敵だ。見つけても絶対に近づくな。見つかったら命は無いと思えよ』

『危険……。分かった。人間、近づかない』



ま、それはさておき人間様の残していいたゴブリンは、俺らがおいしくいただいておこうか。こうやって見てみると、やってることは日本のゴキと変わらないな。


 

 


 


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