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第4話

一話で注意した通り、書いてる奴は東北に住んでいる為本物は見たことは無い。その為実際の生態を知らない為ネット情報で書いている。その為詳しい人に突っ込まれても何の文句も言えない。



『逃げろ! 足を止めるな! 少しでも気を抜いたらかみ殺されると思え!』

『ダメ! もう、追い付かれる!』

『死ぬ! 俺も、2も3もボスも、皆死ぬ! にげられない!』

『ちくしょう! 諦めるな!』


 弱音を吐く仲間たちを叱咤しつつ全力でにげる。だけど1号2号が言った通りもうじき追い付かれるだろう。完全に油断していた! どうせゴブリンらにはこんな小さな虫けらそうそう気づかれることもないって高を括っていた! 何が【油断大敵】だよ。全然仕事してないじゃないか! 

 そんなことを愚痴っても奴が足を緩める気配は無い。完全に俺たちをエサと認識して狙いを定めてやがる。着実に、確実に逃げる俺たちとの距離を縮めてきている。もうじき一番出遅れていた15号が餌食になるだろう。ここは異世界じゃなかったのか? なんで、なんで……


なんで軍曹がここにいるんだよ!!







『よーし、全員食い終わったな! それじゃあもう一度ゴブリンを探すぞ! 今度は強そうな奴がいたらそいつでもいい』

『『分かった』』


 ゴブリン達の食べ残しで腹を満たした俺たちは更なる獲物を求めてもう一度ゴブリンを探索することにした。結局俺のレベルは9まで上がった。食べ残しを食べただけでだ。まぁなんの肉塊かは分からないが、ゴブリンが倒せる程度の奴なのだからそこまで強いものでも無かったのだろう。

 まぁもしもゴブリンを返り討ちにできるような奴が出たとしても、今度はゴブリンの死体を食ってその返り討ちにした奴をストーキングするだけだ。ずるいとかいうなよ? こっちはゴブリンやスライムといった最弱と言われるようなモンスターですらない虫けらなんだ。姑息、陰湿、それ位言われるくらいの事をしないと生き残ることはできない。

そもそもゴキってそういう生き物なんだし。


『ボス。肉、うまい』

『もっと食べる。もっと強くなる』

『おうそうだな。食べればそれだけで強くなれるなんて、楽なもんだな! ゴブリンとかなら隠れれば見つかる訳ないし、天敵でも見つからない限り俺ら無敵じゃね? アッハッハッハ!』

『……!? ボス! 危ない!』


 俺のこの発言がいけなかったんだろうか。13号が危険を察知し俺に呼び掛けてくれたおかげで一気に注意力の段階が跳ね上がった。性質上ド近眼になる代償に動体視力が非常に優れるこの複眼が俺に襲い掛かる一つの影を察知する。

 Gの武器である初速の速さを活かして回避……と思ったのだが、回避の寸前右足を一本持っていかれてしまった。そんなまさか! 虫の痛覚のお陰で腕がもがれようと痛みは感じない。そんな事よりもいくら油断していたとはいえ、ゴキの瞬発力だぞ!? この速度に対応できる生き物なんて……。


 驚きで(複眼だけど)目を丸くしてその生物を見る。近眼の性質上ぼやけてしか見えないが、俺たちゴキよりも遥かに大柄な体躯。地を駆け回る強靭な8本脚。そしてなにより俺たちを不気味に見つめる、感情を感じさせない8つの眼。

 震えだす身体を必死に抑えながら、全力で叫ぶ。


『に、逃げろ! 俺たちの敵う相手じゃない!』


 間違いない。アシダカグモだ。


 日本でもゴキと同じく害虫とされているが、その実態は全く違うものだ。俺たちゴキが人の出すゴミを漁り、病原菌の媒介となったりするゴキに対しアシダカグモの害虫指定の理由は不快害虫という完全なる人間のエゴだ。そしてアシダカグモの恐るべき点は完全にゴキの天敵という事だ! 

 奴らはその強靭な足で天井も壁も関係なく走破出来る。そしてそのまんま速度で戦うゴキを真っ向から速度で殺しに来る。ゴキハンターとして軍曹の階級も持つ程の存在だ。油断した。異世界なのだから日本にもいる生き物がそうそういる訳がないって勝手に考えていた! なんで、なんでだよ!


 俺の叫びを聞き蜘蛛の子を散らすように__これだと縁起が悪いか。弾かれたように俺たちは逃げ出した。幸い奴は俺の足を食う事に夢中でまだ追いかけてくる様子はない。足の一本くらいじゃゴキはびくともしない。俺も仲間たちと同等のスピードで逃げ出した。


 


『ボス! ボス! 逃げる、無理! 戦う!』

『戦うだぁ!? 馬鹿言え! あの体躯を見ろ! 奴は完全に殺戮マシンだ! 俺らなんてただのエサに過ぎないんだよ!』



 コイツは何を言っているんだ。そんなの集団自殺も良い所だ。相手は天下のアシダカ軍曹だぞ? いやまぁ地球の事を知らないこいつらなら仕方が無いか。いくら半魔物といえどもアシダカ軍曹を相手にする事なんて……ん?

 アシダガ軍曹って、そういえばこれただの蜘蛛だよな? って事はレベルの存在しないただの生物? でも、俺らは半分とはいえ魔物化してたよな? レベルあるよな?



…………………………勝てんじゃね?



『逃走止め! このままじゃ誰かが犠牲になって終わりだ! これより攻勢に移る!』

『ボス! ボス! 勝てる!?』

『どっちにしろ勝たなきゃ死ぬんだ。無理してでも勝つんだよ!』


 にげる足を止め反転。逆に俺らから軍曹に近づく。1~4号が正面から攻め、左から5~8号が、右から9~12号が攻める。残る全員は俺と共にグルリと背後に回る。【統括個体】のスキルのお陰で俺の考えが全個体に伝播されているおかげで優れた統制が可能だ。

 最も危険な正面から攻めていた1号が捕まった! 足を捥がれてしまっているがそれくらいなら後でいくらでも再生できる。今は個の損害よりも群の勝利が優先だ。背後に回り込んだ俺を含む数匹が軍曹の背中に乗る。俺らでは甲殻を攻撃してもどうしようもない。だから狙うは関節だ! 


「キィ! キシャァ!」


 煩わしさを感じたのか捕まえていた1号を手放して背中に張り付く俺らを振り払おうとする軍曹。だが残念。速さでは軍曹に譲るかもしれないが、しぶとさでは俺らの方が何倍も上だ! 必死に関節部を噛み付き遂に後ろ脚を一本切り離した。通じる。攻撃が通じるぞ!  全力で噛めば何とかなるかもしれない。俺と反対側の後ろ脚を噛んでいた13号もどうにか切り落とすことが出来たようだ。でかした! 


『攻撃が通じている! 勝てるぞ! このまま攻撃を続行だ!』

『おう!』


20匹がかりで攻めて段々と弱ってきた軍曹。このまま行けるか? と思ったその時。


「キシュアァァ!!」

『ぐあ!』

『『ボス!』』


 最後の力を振り絞ったのか、後ろ側にいた筈の俺をピンポイントで襲ってきた軍曹。結局捕まってしまい振り払おうともがくものの、力では圧倒的に負けている為どうしようもない。強靭な顎により俺の甲殻はギリギリと悲鳴を上げる。そして抵抗虚しく俺の身体は真っ二つに砕けてしまった。ゴブリンの時と同じで痛みは感じないし砕けてもしばらくは意識がある。

 ダルマとなった頭部で軍曹と仲間たちの戦いを見つめる。俺を殺すことが軍曹の精いっぱいだったのか後は特に抵抗らしい抵抗を見せることなく殺されていった。よかった。これで全滅は免れたな。天敵を喰らってお前らは強くなれよ。

 

【死因:非力過ぎて死亡。適応します】

【死因:貧弱すぎて死亡。適応します】

【種の存続の為体内にあった卵を増殖させます】


今回死ぬときは前回よりも意識がしっかりしているせいかそんなアナウンスが聞こえて来た。非力すぎてって、一応攻撃は通っていたんだけどな。まぁ強くなれるなら問題ないか。



 次は、少しは……強くなってると、良い…な………





本日のお食事

天敵、または害虫仲間


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