第1話
注意
完全におふざけのお遊びで書いた。後悔はしていない。
ぶっちゃけ真面目に書いている方で行き詰ってきたから書いてる節もあるため、飽きたりしたら書くのを止めると思われる。
また、これは台所の敵「G」を主人公の為、時と場合と人によっては吐き気を覚えると思う。
最後に「G」を題材にしている癖に書いてる奴は東北に住んでいる為実物は見たことがない。そこら辺については突っ込まないでほしい。これでも良ければ読んでほしい。
「だ、ダメだ! 剣や槌じゃ埒が明かねぇ!魔法使い部隊、どうにかしてくれぇ! 」
「む、無理だ! いくら火炎系の魔法使ったって切りがねぇ! もう殆どの奴が魔力切れを起こしている。これ以上は手を出しようがねぇ!」
これは簡単な開拓作業ではなかったのか? 森林開発に参加していた100近くいた冒険者達は目の前の現実から目を遠ざけたくなっていた。実入りが良いからと少なくない数のいた筈の女性冒険者など、大半の者が逃走するか発狂するかのあり様だ。
冒険者たちがソレをいくら潰しても切り殺しても、燃やしても、数を減らす様子もなく湧きだしてくる。
指揮を務めていたギルド職員は異常事態に焦りながらもこの異常事態を都市へ伝える為に思考を回転させていた。
「っく。この場を何としてでも持ちこたえるんだ。何としてでもこれを都市に報告しなければいけない! 都市に返した斥侯の為の時間を稼ぐん……ぐぁ!」
「な、なんだ? どうしたキース! な!? 囲まれているだと?」
苦戦を強いられていた前衛が指揮官の異変に振り向くと、そこにはソレに無残な姿に食い殺された指揮官の姿が。
そして、冒険者の彼らは悟る。後ろからもソレらが攻めて来たという事は、都市に向けて走っていた斥侯もきっと……。
「く、クソがぁ! こんな、こんなところで死ぬわけにはいかねぇ! こんな無様な死に方があるかぁぁぁぁグアァァァァァ!」
「チクショウが! この依頼が終わればその金でアネッタを口説けると思ったのに、なんで、なんでぇぇぇ!?!?」
「ハハ。皆死ぬ。皆死ぬんだ。ここで皆食われて死ぬんだ。ほら、私の足がもう無いわ!アハハハハハハハハハハ!! 」
抵抗する声、諦観の声、様々な声は悲鳴に変わり、最後にすべて黒に染まっていった。
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陰鬱と茂る緑と木々のこすれる音。眠っていたのか、ぼんやりした頭が少しずつ冴えてくる。
……ここは、どこだ? 何でこんな森の中にいる。確か、学校が終わって家に帰る時に電話が掛かってきて、それで……。
そうだ。思い出した。バイト先の同僚から電話が掛かってきて、シフトの話をしながら登っている途中で急いで下ってきたサラリーマンのおっさんとぶつかったんだ。それでバランスを崩した俺だけが階段を転げ落ちたんだった。でも覚えているのはそこまでだし、こんな『360度全て』薄暗い森の中にいる理由がわからない。これは夢なのか? それとも死後の世界?
そもそも階段から落ちた筈なのに身体が何処も痛くない。気になって頭を触れてみたが、特に何もない。それどころか髪の毛の感触すらない。は? どういうことだ? よくよく考えたら木の葉の擦れ合う音や暗いものの緑が見れるから森だと判断していたけど、周りを見てみるととてもぼやけて見える。元々視力が低かったから最初は気にならなかったけど、意識してみるとこれまで以上に視力が悪くなってる? 目線を下げ手のひらを見てみるとそれは人ですらない虫のそれ。まさか……。
俺、ゴキさんになってるじゃねぇか!
一体なんで? 自分がゴキになるなんて鳥肌モノなんだけど! 肌じゃなくて外殻だけどな! まさか異世界転生とでも言うつもりか? 出来れば悪い夢だと思いたいところだけど、夢の中でここまで自由に思考ができるなんて、それはそれで考えられない。自分の身体に嫌悪感を抱くが、それは仕方が無い。とにかく今は状況を掴まないと。このまま訳も分からずバッドエンドなんてごめん被る。
辺りを見回すと、というか視界が虫の複眼になっているせいかデフォルトで全面が見える。ぼんやりとしか見えないししっかり見える近くも複眼補正で分身して見えるけど。取りあえずは一安心かな。
ゴキに転生なんて戦闘力なんて皆無に決まってる。戦闘なんてことは絶対に避けたいから身を潜めたい。活発に動くリスクと情報を集められるリターンを計りにかけるても出来ることなら、リスクを避けたい。ゴキブリでも死にたくないし。
「ゲギャ?」
やせいの ゴブリンが 現れた!
いやいやいやふざけてる場合じゃない。しっかりと見える訳じゃないが、なんか緑っぽいしゲギャって鳴いてたし多分本当にゴブリンだろう。これで俺が人間だったらゴブリンに見つかって殺されてバッドエンドだったろうが、幸い俺は小さなゴキだ。じっとしてたら見つからないだろう。そう思っていたらのに、ゴブリンの奴は普通に俺に手を伸ばしてきた。ゴキの身体使えねー!
捕まるまいと慌てて走り出す。すると自分でも思っていた以上の物凄い速さが出た。ゴキってこんな早いのか? そう言えば聞いたことがあるな。ゴキの速さって人間に置き換えるとチーターの速さを超えるって。って事はもしかして逃げ切れるかもしれない?
「ゲゲゲ? ゲギャ!」
と、思ったら普通にゴブリンは追いかけて来た。よく考えたら10cmに満たない俺の体感速度で早くても大きさ考えたらゴブリンの方が早いじゃねぇか! ちょっとゴキの身体にワンチャンあるかもって思った俺の期待を返せ!
「ゲギャ! ゲギャ! ゲギャ! ゲギャァァァァァ!」
圧倒的体格差のせいでゴブリンが俺を捕まえようとするたびにドシン、ドシンと地響きを感じる。だけど、その手のふり自体は酷く緩慢なものに見え、簡単に避けられる。なんなら止まって見えるくらいだ。ゴブリンは捕まえようとしても捕まえられない事にイラついてきている印象を受ける。
回避できると思ったら余裕が出てきた。このまま逃げても追いつかれる。捕まえようとしても避けられる。完全に千日手の状態だ。どうにかこの状況を打破したいけどどうしようもない。
なんかできないかなーと思っていると、目の前に唐突に文字の羅列が出てきた。属に言うステータスか。
【G】 Lv.‐(魔力持たぬ生物にはレベルの概念が存在しない)
♀
生命力:G程度
魔力:‐
力:G程度
速さ:G程度
知力:G程度
器用さ:G程度
状態:【良好】【日本産】【生体】【出産可能】
スキル
【生存適応】
命の危機に陥った時、種を存続させるために適応する。
……うん。
ま、まぁステータスがG並っていうのはまず置いておこう。まだ許容範囲だ。ただの虫にレベルや魔力がないのも、まぁこの際よしとしよう。
だけど状態の項目! 出産可能? おふざけが酷いだろう!? これはTSだったのか? 人外TS? しかも子持ちスタートってそんな誰得小説需要ある訳あるか!
「ゲギャ!」
目の前のふざけたステータスに突っ込んで気を抜いていたら、ゴブリンにプチっと潰されてしまった。うっそまじかよ。人間だったらこの時点で即死していたんだろうが、生命力が異常なゴキブリなせいで潰されたにもかかわらずまだ意識があるし痛覚も無いのか痛みもない。それに複眼だから見えてしまう。俺の身体はボドボド……間違えた。ぐちゃぐちゃだ。
はは……。まさか唐突に始まった異世界ライフがこんな一瞬で終わるのかよ。でもまぁ、ゴキブリだしまぁいいか。次はせめて人型種族になりたいな。少なくとも虫は懲りた。それと、余裕があるからって油断はしない。ステータスに突っ込んでいる間に頃冴えれるって間抜けすぎる。
次があるなら、もっと上手くやってやる。
そう決意を胸に、俺は死んだ。
本日のお食事
自分自身