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ノリノリサンシャインシティ

僕は一体何をしてるんだろう。


「わー、走れー!」


わざとらしく『プロモーション会場』にたたたた、と駆けつけて一般市民の皆さんの前に登場した。


池袋のサンシャインシティにあるショッピングモールを抜けた、大きな階段になっている広場。

そこでユウリと長谷ハセちゃんと僕は寸劇をやっている。


「さあさあ皆様ご覧あれ〜。サンシャインシティの石畳をしっかりと踏みしめて立つ少年と少女。少年の名は、『タイシ』。『大きな志』で、『大志タイシ』。少女の名は、『シナリ』。『志が成る』で『志成シナリ』。2人はとてつもなく大きなことをやろうとしています。2人の、『大きな志が成る』、で、タイシとシナリ〜」


よく考えると今日は土曜日。

からっと晴れて人出も多い。

長谷ハセちゃんのまたまた意外な側面。

軽やかなナレーションで僕のことを『タイシ』、ユウリのことを『シナリ』と紹介する。長谷ちゃんのネット投稿小説にして、僕とユウリが戊辰の戦場でガットリング砲と遭遇戦を行なったこともヒントにして書いてくれた、『タイシとシナリ』。その2人の主人公たちだ。

長谷ハセちゃんはまったく物怖じせずに自ら自分の小説のプロモーション活動にノリノリだ。


「さー、タイシ。自己紹介〜」

「え? え?」


アドリブにもほどがある。

いきなり秋葉原から池袋まで連れて来られたかと思ったら、長谷ハセちゃんとユウリから30秒ほど説明を受けただけでいきなりこの寸劇が始まった。

コスプレ等しないのがせめてもの救いかと最初は思ったけれども、3人ともTシャツにジーンズという完全普段着で街中で寸劇を始めるなど、危ない集団と思われても仕方ない。

僕は適当にお茶を濁そうと思った。


「タイシです」


呟いてお辞儀をした。

なんだかんだと集まっている20人ぐらいのギャラリーも、僕の魂のこもっていない演技に途端に不機嫌な顔をする。

一応、拍手は、ぱららっ、としてくれた。


「それから、シナリちゃん、自己紹介〜」

「シナリです。タイシ、2人で大願成就だよ」

「・・・・」


シナリ・・・じゃなかった、ユウリは完全に役になりきっている。男子数名が、びくっとするぐらいの大きな拍手をする。


「ところで、みなさん〜。秋葉原の『チェリッシュ』っていうメイド喫茶、知ってますか〜?」


知ってるー、と大人びた容姿のおねえさんが長谷ちゃんとの掛け合いに応じてくれた。


「そう〜。魔法少女のタトゥーをしたマフィアが店内で拳銃を発砲したあの事件。この男の子と女の子に見覚えありませんか〜?」


ギャラリーがざわつき始めた。

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