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6話 当事者たち

神崎さん視点で進めようという縛りプレイを辞めてしまった……(ノД`)・゜・。

 学人の手が止まる。


「学人?」

 学人は一度動き出すと止まらない。それを無理やり止めるのは自分の役割だ。


 その学人が自主的に動きを止めるなんて珍しい事もあるモノだ。


「どうしたの。学人?」

 まあ、ちょうどいいか。学人にそろそろ声を掛けて、休憩をしてもらおうと思っていたし。

 淹れたてのカフェオレ――コーヒーは体質的に合わなかったのか胃が痛くなるので牛乳をたっぷり入れてある。

  学人はそのカフェオレを受け取り、自分の中の何かを整理しているように見える。


 やがて………。

「……考えていた」

 そう告げる。

「そう……」

 考えていた。か……。


神崎(あいつ)をこちらの陣営に入れるにお前が一番都合がいいと判断してワザと手に入りやすい状況を作った」

 だが、それがいいのか分からない。


「………………」

 学人は自分の意見を言うのは苦手だ。


 考える事。

 自分の意志を持つ事。

 …………自由である事。

 

 それは学人という存在が長く持つ事を許されなかったもの。


「う~ん。――怖いって言えば嘘になるね」

 正直に。


 学人が意見を言う事。

 学人が自分というモノを口に出していい事を伝えるように言葉を選ぶ。


「でも、あたし達には手が足りない。年齢とか諸々で優慈郎とむつがの動きが制限されるのも辛いし、そのフォローにあたしと近藤さんがいつでも動けるわけじゃない」

「…………」

 学人は口を挟まない。


 学人の中で、自分がそのフォロー側に回るという考えはない。

(どちらかと言えばフォローされる側だからな)

 学人はそういう意味ではまだ未熟なのだ。


「だから、信用できる存在を探して、見つけて判断したんだ」

 精霊に愛される優慈郎は人の内面を見通す。

 人の姿をしているが本性は人ではないむつが信を持てる相手だと認識した。


 ――異形な姿で戦っているこちらを見ても彼は恐れず、子どもに何をさせていると叱った。


「その為の試金石になるなら別に構わないよ」

 その役目が出来るのは、公式書類が残っていて、ある意味被害者である自分しか出来ないだろう。


「――静姫」

「何?」

「……負担というモノにならないか?」

「それは普段の行いを考えてから行って欲しいな」

 そっちも負担ですけど。


「能力の効率化を図った結果だ」

「まあね。――私の能力はストレスに反応して大きくなる。学人達と違うからね」

 かつての経験。

 ()()()()されていた時の後遺症。


「酒程度で済んでいるからな」

「でも、酒が弱い人に酒を勧めるのは法律で禁止されているんだけど。知ってる?」

「必要行為だ。仕方ない」

「うわぁ。ブラックだな」

 勿論冗談だ。


「その場合訴えられるのは僕かな」

 声を掛けれれて、ノックと共に入ってくるのは近藤の姿。

「近藤さん⁉」

 仕事に区切りが着いたんだろうか。


「お帰りなさい!!」

「――その決意はいいけどね」

 お帰りの言葉よりも先にそう声を掛けられる。


 警視庁特殊課の部屋の一つ。主に学人の居城となっているところに近藤が入ってくるのは実は珍しい。


「僕の目に静姫が映らないんだけど。――出てきてくれないかい?」

 近藤の言葉。


「――消えてました?」

「そうだね。カップが浮かんでいるようにしか見えないな」

 近藤の言葉に困った様に笑い――少なくても笑っているつもりだ――意識して人の身体――少なくても一目に映るように気を付けて力を使う。


「………そういう事は教えてよ」

「だから尋ねた」

 学人に八つ当たりをすると学人からそう言葉が返される。


「もっとストレートに言ってくれてもいいのに……」

「次回の参考にする」

 学人の言葉にそうだねと曖昧に笑い、

「それはそうと。――仕事だよ」

 近藤の言葉に表情を引き締める。


「連続誘拐事件。こちらも一枚噛む事になった。だから」

 近藤は笑う。挑発するように――。


「僕らの知っている情報を開示して鼠退治と行きましょうか」

 その言葉に学人と共に頷いた。

静姫 ストレスがあるとアドレナリンが発生して、透明になってしまう体質

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