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19話 少女

静姫の説明回

 昔々。


 話はそこから始まった。


 神様と悪魔がこの地上の覇権を取り合っていました。


 戦いは神が有利で、世界は神の物になりつつあります。そして、戦いは、小さな島国が最終決戦になりました。


 神は消滅しない悪魔達に痺れを切らして、()()()()()()()()()悪魔を封じる事を決定しました。


 それが、異端な人間の始まり。


 日本の歴史にあるおとぎ話にしか思えない超人的な力に目覚めた人間は全員その悪魔の封印を解いてしまい、能力を使えるようになった者達。


 安倍晴明から始まり、武蔵坊弁慶。本多忠勝。立花宗茂。

 女性でも、清姫。巴御前。鈴鹿御前。


 そして、現在。

 とある悪魔の能力に目覚めた人間が目覚めただけではなく、その封じていた悪魔の記憶もすべて蘇らせた。彼は悪魔の本能のままに自分達の同胞を蘇らせたらどうなるかと実験してみる事にした。


 悪魔の封印の因子がある子供を探して、覚醒を促す。


 その実験を進め、やがて、組織となるまで同胞を増やした。








 伊藤静姫の元に両親が亡くなったと連絡が来たのは彼女が高校二年生――17になってすぐに事だった。

『遺品を取りに来てくれませんか』

 両親はある会社の研究所に勤めていた。そこには研究データーがあるが、個人の持ち物も多くあり、それを取りに来て欲しいと言われてタクシーで向かった。


 木綿子には、遺品整理するからと告げてきたのだが、待っていたのは遺品整理ではなかった。


『適合者だな』

 研究所に入るには手続きをしないといけないと言われて幾つかの検査をされた――病原菌を持ち込まないためだと言われたが――その検査が、()()()()()()()()()を調べるための代物だったと気付いた時は後の祭りだった。


『可愛そうにな………()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 耳元に囁かれて、両親の死が自分のせいだと知らされた。


 注射で薬品を入れられて、身体を拘束される。


 逃げようとするたびに囁かれる。

『じゃあ、妹も試してみるか』

 その言葉が動きを封じた。


 高校生の少女一人が中学生の妹を得体の知れないモノから守る方法は自分が囚われている事以外思い浮かばなかったのだ。


 薬の影響か、身体が透ける様になった。

 遠くまで移動できるように変貌した。

 

 その気になれば檻も壊せるほどの力を得たが、妹という重しが彼女から反攻という言葉を奪った。


 一か月。二か月。

 半年もたてば心は死んでいく。

 壊れていく。


 兵器としての価値しか見いだせないが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という研究がまとめられた途端。人の心を失った方が楽と思っていた彼女に敢えて人の心を残させた。


 そんな状態だった。


 いつものように――壊れるぎりぎりまで痛め付けられて自室という名の檻に入れられた時だった。


 じりりりりりりり

 サイレンが鳴り響く。


『侵入者が現れた。直ちに警戒しろ!!』

 放送が流れる。


「静姫。出ろ」

 命令が下される。


「…………」

 戻って来たばかりの自室――いや、檻――から出される。


 疲れはある。だが、寛げないのならどこでも同じだ。


「放送は聞いたな」

「はい……」

「侵入者を殺せ」

 研究員の言葉に逆らう気はない。


 身体が解ける。

 消える。


 空気の一部となって、施設を動き回り侵入者を探す。


 …………このまま空気のように消えられればいいのに………。

 そんな――叶わない――夢を抱いて、この研究施設の中にある知らない気配の元に向かう。


「――ああ。来たか」

 コンピューター室。

 たくさんのモニター画面のある中で倒れている者達。


 そこで一人立つ――侵入者。


「伊藤静姫。だな」

 真っ直ぐな眼差し。


 紺色に瞳を輝く青年の眼差しは確認するまでもなく()()している者のそれ。


「お前を助けに来た」

 手を差しだされる。


『殺せ』

 命令が下される。


 その侵入者の言葉などお構いなしで攻撃に入る。


 腕を空間に溶け込ませて、青年の背後に出現させる。

 首を絞める。


「無機物となって、縦横無尽の攻撃か……」

「あたしの能力は、空間を支配する事です。それで抵抗できるんですか?」

 だから、抵抗しないで下さい。


 人を殺したくない。

 殺さないといけない。

 殺さないと大事なモノが守れない。


 青年の首に触れる手が小刻みに震える。

 殺したくない。殺さないと。

 そんな二つの想いがぶつかり、ストレスになり。静姫の能力を皮肉にも高める。


「変わってないな……」

 静姫の言葉に対して、青年がぼそっと何かを呟いた。


「――大丈夫。お前もお前の妹も助けるよ」

 そう告げた青年は優しい光を宿して微笑んだ。




こんな欝な静姫は苦手……

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