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ショートショート

大いなる跳躍(ショートショート50)

作者: keikato
掲載日:2016/11/24

 林選手はポールに両手をそえると、肩で幾度となく深呼吸を繰り返した。

 ポールを握って前方にかかげる。

 バーに向かってスタートする。

 ポールの先が地面にささる。

 足先から宙に舞い上がる。

 ポールが大きくしなる。

 体がさかさまになる。

 足がバーを越える。

 体がひねられる。

 バーをこえる。

 体が落ちる。

 やったあ。

 成功だ!

 えっ?

 ん?

 林選手に競技審判員たちが走り寄った。

 どうしたというのか?

 マット上の林選手を捕まえ、両側から腕をつかんで連れていく。

「おい、林!」

 コーチが林選手のもとにかけ寄り、なぐさめるようにやさしく肩を抱いた。

「ここは走り高跳びだ」

「えっ?」

 林選手が振り返る。

 バーの高さは二メートル三十センチ。

「なあ、帰ろう。おまえは棒高跳びに出場して、早くに予選落ちしたんだよ」

「でもオレ、跳びたいんだ!」

 林選手はポールをつかむと、隣の競技場に向かって猛然と走り出した。

 ポールを握って前方にかかげる。

 踏切板に向かって走ってゆく。

 ポールの先が地面にささる。

 足が空に向かって伸びる。

 ポールが大きくしなる。

 体が前に飛んでゆく。

 両足が前方で並ぶ。

 両腕が振られる。

 砂に着地する。

 違反はなし。

 世界記録。

 やった!

 えっ?

 ん?

 林選手に競技審判員たちが走り寄った。

 どうしたというのか?

 砂上の林選手を捕まえ、両側から腕をつかんで連れていく。

「おい、林!」

 コーチが林選手のもとにかけ寄り、なぐさめるようにやさしく肩を抱いた。

「ここは走り幅跳びだ」

「えっ?」

 林選手が振り返る。

 そこにはバーがなかった。

「さっきも言っただろ。おまえはな、棒高跳びに出場して、早くに予選落ちしたんだよ」

「でもオレ、跳びたいんだ!」

 林選手はポールを握りしめ、隣の競技場に向かって猛然と走り出した。

 ホップ!

 ステップ!

 ジャーンプ!


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― 新着の感想 ―
[一言] 魅力的な表記の仕方。これだけでもうならせます。 勘違いの競技ばかりだけど、飛びたいんだよね。 じゃましないところで、存分に飛んでください。 ところで、お孫さんの運動会。本日でしたか? 可愛…
[一言] 見返したくなる感じで良いですね
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