家に帰ろう。 ≪家族≫
三つめは家族がテーマです。
↓どうぞ
今日は12月22日。
「やっと学校終わったー!!」
「冬休みだねぇ。」
「ねぇねぇ、一緒に遊びに行かない?」
そんな言葉が教室内を飛び交う。あぁ、にぎやかだな。まるで他人事のようにそれを聞いていた。
私は初瀬川麻梨愛(はせがわまりあ)。普通の中学二年生だ。冬休みのことを考えていると、私の机のまわりにいつものメンバーが集まってきた。河石澄香(かわいしすみか)、勢登菜月(せとなつき)、戸雨有紀(とあまゆき)だ。
休み時間。いつものように、わいわい話をしていた。
「やっと学校終わるねー。」
「てか、宿題多くない?」
すると、澄香が言った。
「ねぇ、四人でクリパしない!?」
みんなは大賛成だった。
「いいね!」
「ちょうど予定空いてるし。」
「いつやる?」
「いつがいいかなぁー?」
盛り上がってきたところで、チャイムが鳴る。
「あっ、やばっ。」
「じゃあ、LIMEでまた話そー。」
「おっけー。」
その夜、詳しいことをLIMEで決めた。澄香たちとはなすのはとても楽しかった。クリパは24日。
「おかあさん。私、24日友達とクリパ行ってくる。」
「いいよー。ご飯はどうするの?」
「…外寒いし、できたら家で食べる。」
「わかったわ。おやすみ。」
「うん。おやすみ。」
布団に入っても、わくわくしてその夜はなかなか眠れなかった。
しかし。次の日のことだ。有紀からLIMEが来た。
有紀:ごめん。デート入っちゃった。
麻梨愛:まじか。てか、彼氏いたんだ。
有紀:うん…結構前から約束してたから、断れないの。ごめんね(´・ω・`)
麻梨愛:全然大丈夫よー。楽しんできて!
まあ、一人ぬけるくらい大丈夫だろう。そう思っていたのだが、他の2人からも連絡が来た。
澄香:ごめん麻梨愛!彼氏できて、初デートになりました…(;’∀’)
菜月:私も!ほんとごめんね~(/_;)
麻梨愛:まじかぁ…じゃあクリパどうなるの!?
澄香:なしだねー。
麻梨愛:Oh…
まさか、クリパが中止になるなんて。あんなに楽しみにしていたのに、と悲しくなる。クリパがあるからと他の予定も断ったのに。残念な気持ちでいっぱいだった。
そして、悲しい24日。私は塾へ行ってから、そのままクリパに行くつもりだった。しかし、何も用事がなくなったので、一人で家へまっすぐ帰る。帰り道にすれ違うカップルを見ると、胸がチクリと痛む。
((私にも彼氏がいたらなぁ…))
そう思い、はぁ、とため息をついた。
時刻は午後4時半。
「ただいまー。」
父は私のあいさつを無視して、本を読み続けている。母は私が早く帰ってきたことに驚いたのか、たくさん話しかけてきた。
「あれ?麻梨愛、おかえり。クリパ行くんじゃなかったの?」
「いや…」
「どうしたの?」
「…なくなった。」
「あらそう。なんで?」
「…知らないし。」
そこに妹の由梨愛が入ってくる。
「お姉ちゃん、おかえりー!!」
「…ただいま。」
「あれー、どうしたの?」
「何でもいいでしょ。」
「あっ、もしかして!友だちみんな彼氏とデートで、クリパ中止とか?ww」
「…」
なんでわかっちゃうんだろう。私をばかにしているの?これ以上踏み込まないでほしい。
「…もしかして、図星?」
「…っさい…」
「え?」
「麻梨愛?どうしたの?」
もうやめてよ。
「うるさい!ほっといてよ!!」
私は走って出て行った。もう、あんな場所にいたくない。私は振り返らずにただ、走った。
しばらくして、気持ちが落ち着いてきた。私は近くにあった公園のベンチに腰掛けた。
((最悪のクリスマスだ…))
せっかくのクリスマスなのに、こんなことになってしまうなんて。楽しみにしていた気持ちがガラガラと崩れ落ちていった気がした。
「はぁ…」
深くため息をついた。
「サンタなんていないんだよ…」
今はもう、前向きになんて考えられない。涙がこぼれ落ちそうになる。
「うっ…泣きたくなんか…ないのに…」
涙がこぼれないように、空を見上げた。まだ5時前だというのに、もう辺りは真っ暗だ。はっきりと一番星が見えた。
「お姉ちゃんっ!」
「ふぇっ!?」
驚いて、変な声が出てしまった。後ろからひょっこり現れたのは、由莉愛だった。
「由梨愛か…」
「こんなところで何してるのー?」
「…別に。何も。てか、なんできたの。」
「べっつにー?なんとなくかなぁー。」
「…あっそ。」
由梨愛はするどいから、すぐに心の内がばれてしまう。私はそっぽを向いた。
「ねぇねぇ。」
由梨愛が話しかけてくる。なんでこんなに話しかけてくるのだろう。うざい、と思いながら無視した。
「お姉ちゃーん。無視しないでよー。」
もう、由梨愛なんか…
「お姉ちゃん!」
「っ…何よ。」
さすがにしつこいので話を聞いてやることにした。
「ねー。どうせ暇でしょ?ぼっちでしょ?」
「…そうだよ。」
ふてくされた私を見て、由梨愛はクスッと笑った。そして、私の頬に何かをあててきた。
「っ!あったかい…」
「どーぞ。」
自販機で買ってきたらしいココアだった。いつもなら甘えてくる由梨愛なのに、今日は変だ。
「えっ…」
「かわいい妹のおごりだよー?ありがたく受け取りなさい!」
由梨愛はにかっと笑って言った。私も今日くらいは、と甘えることにした。
「…ありがと。」
「いいえ。」
二人で公園のベンチに座って、あたたかいココアを飲んだ。何も話していなかったけれど、なんだかとてもほっとした。
「ねぇ。」
「んー?」
「なんで由梨愛は私んとこに来たの?」
「んー…なんとなく、かな。」
「…あっそ。」
ココアを飲み終わって、これからどうしようかと考えていた。勝手に出てきたわけだから、家に戻るのは少し気まずい…
「ねー。」
「んー?」
「家、帰ろ。」
「…うん。」
由梨愛に手をひかれ、家へ向かう。
「ねぇ。なんで私を…私、いなくても別によくない?」
「んー。いや…」
「たまにはさ、家族そろうのもいいかなぁーって。」
私は由梨愛の言葉に涙がこぼれた。おさえきれなかった。自分が必要とされていて、ここにいてもいいってわかって、とてもほっとした。何より、『家族だ』と言ってくれて、とても心があたたかかった。
家に着き、ドアをあけると、奥からばたばたと足音が聞こえた。そして、母が出てきた。母は私を見て、安心したような顔をしていた。
「…ただいま。」
「ただいま!お母さん、お姉ちゃんが帰ってきたよー!」
「麻梨愛、ごめんねー。ちょっと深く聞きすぎたわ。」
「ううん。もういいよ。」
私は母ににかっと笑って見せた。母と由梨愛は、それをみて、微笑んでいた。
すると、奥からも声が聞こえた。
「麻梨愛。帰ってきているんだろう?早くしなさい。」
父だった。めったに私に話しかけてこないのに、今日は変だ。それに、いつもより言葉がやわらかい。父の変化に私はクスッと笑ってしまった。
「由梨愛、麻梨愛、ご飯よ。手を洗ってきなさい。」
「はーい!」
「うん。」
手を洗い、リビングへ行くと、おいしそうな料理がずらりと並んでいた。それに、ケーキも。
父はまた話しかけてきた。
「おかえり、麻梨愛。」
「ただいま、お父さん。」
たったそれだけの会話だったけれど、とてもあたたかい気持ちになった。
「全員そろったか?」
「うん!お腹すいたー。」
「麻梨愛、早くおいで!」
三人は私に笑いかけてくれた。そのとき、私は思った。
サンタは最高のプレゼントをくれた、と。
家族のあたたかさを感じた。私は一人じゃない。幸せだなと思った。
「おいしそう…」
「お姉ちゃん!食べよー。」
「…うん!」
「それじゃあ…」
「「「「いただきます!」」」」
明るい声で、私たちの食卓は始まった。
―――――さぁ、私たちも家に帰ろう。
こちらの作者は…私、しゃーなでした!
ありがとうございました。




