#6 頭の良い先輩
皆さん、こんにちは!アオです!
それでは「静かな恋愛~朝にしか会えない君と~ 」をどうぞ!
翌日、俺は答えを書いたワークを赤シートで隠しながら
電車に揺れられて学校へ向かう。その途中の駅で大野宮さんが乗ってくる。
「おはよう、勉強なんて珍しいね」
「おはようございます。テスト週間なので」
大野宮さんと会ってから一か月が経過しようとしているが
こうやって書いて話すのも慣れてきた感じだ。
「そっか、私のところも明後日からテスト週間なんだよね~。
テスト勉強したくないけどお互いに頑張ろう!」
「はい!」
思わず大きな字で返事を書く俺。声じゃなくてもこうやって
おかしくなっちゃうときがあるんだ……
すると大野宮さんがかばんの中から色とりどりの付箋が張られた
教科書やワークを取り出す。のぞき込んでみるとそこには
本文と同じくらいの文が書き込みされていた。
俺「えっ!?いつもそんなに書いているんですか!?」
思わず俺は普通の会話になってしまう。
大野宮さんは俺のその様子にニコリと笑って
「そうだよ。こう見えて私学年トップだからね」
さらに衝撃の事実まで知らせる大野宮さん。
「学年トップ!?めちゃくちゃすごいじゃないですか!」
「もともとしゃべれない分のマイナスをなくそうと思ったときに
私にはどんなことができるんだろうって考えたら"勉強"が思いついたの。
それ以降、学年トップから落ちたこともあるけど大体はトップを
維持し続けているのよ」
琴音の学年トップ10でも驚いていたけどやっぱり上には上がいるもんだな。
まさかこんな身近にいるとは思っていなかったけど。
「大野宮さんすごいですね。俺はそんなマイナスがあったら
余計に頑張る気力はないですよ。今の高校に入れたのも幼馴染が
勉強を教えてくれたおかげで、あの時の俺だったら
こうやって大野宮さんと会うことすらなかったですよ」
「そっか~、その幼馴染の子にも助けられているんだね。
その子大切にするんだよ。そんな良い子他にいないから」
なんだろう、今の大野宮さんはまるで親のような感じがする。
「まあわからないところがあったらいつでも聞いてよ!
私も人に教えることなんてなかなかないからさ」
そっか、唯一の親友くらいにしか勉強を教えたことがないのかもしれないなと
思いながら俺はお礼を書いて暗記に集中する。
ほんの少し集中力が切れた俺は隣にいる大野宮さんを見る。
大野宮さんも勉強に集中している様子で、真剣なまなざしで
教科書やワークを目で追っていた……その様子に思わず目を奪われる。
……楽しそうに話していた大野宮さんと今の大野宮さん結構
違うな、これがギャップというやつなのだろうか。
そして電車の速度は落ちていき俺の学校の最寄り駅に着いた。
「それでは大野宮さんも頑張ってくださいね。
それとテスト勉強をするのでしばらくは一緒に帰れそうにないです」
俺が慌てて書いた下手な字を見ながら大野宮さんは
「わかった!凌君もテスト勉強頑張ってね!」
俺「はい!」
気持ちを伝えるためにも俺は声を出して電車から去って行った。
琴音「おっ、おはよう……昨日は勉強できたか?」
俺「おはよう琴音……一応予定していた分に琴音に言われたのを思い出して
プラス10分だけやったぞ!」
琴音「……私がスマホ割ってあげようか?」
不気味な笑みでそう言ってくる琴音。
引っ込み思案なのになんかこうやっておちょくってくるんだよな~。
俺「それはやめてくれて。というか俺にかまっていて自分の勉強が
おろそかになってないか?俺はそっちの方が心配だけど」
琴音「だっ、大丈夫だ。受験勉強でも凌を教えるのと自分の勉強の
両立ができていたからな。それに凌はまず自分の心配をしろ」
俺「わかったよ」
なんだかんだ言って一番頼りになる異性なんだよな、琴音は。
そりゃあ幼馴染っていうこともあるけど何だろう、向こうも心を
許してくれているっていうのもあるかもしれない。
琴音「それと朝の通学時間は勉強時間に当てたか?」
俺「ああ、それはもちろん!おかげで頭がよくなった気がする」
琴音「……そんなすぐに成果が出るものじゃないからな」
そう言って鼻で笑う琴音。
俺「琴葉朝、一人で学校に来てるのか?」
琴音「いっ、家の最寄り駅から途中の駅までは一人だけど友達の子が
途中で乗ってくるから凌と同じにしないで」
……俺も途中からは一人じゃないんだけどな。
しかしそのことを言うといろいろと説明するのがめんどくさそうだし
俺はおとなしく琴音の話を聞くことにした。
俺「まあ友達と楽しめているなら何よりだ。また人間関係でトラブルに
なったらすぐに言えよ。琴音は一人で抱え込むタイプだからな」
琴音「うっ……わかってるよ。それよりも凌は勉強だ!」
こうやって言い合いになってお互いにずっと同じことを言うのだ。
その日の授業も"テスト週間中くらい授業なくていいのに……"なんて
思いながらも授業を受けていた。隣ではノートをまとめたり
集中して先生の話を聞いている琴音の姿が映った。
こういう感じだから学年トップ10に入るんだろうなとつくづく感心した。
読んでいただきありがとうございました!
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それでは次回お会いしましょう!アオでした~!




