#20 朝の静けさ
皆さん、こんにちは!アオです!
それでは「静かな恋愛~朝にしか会えない君と~ 」をどうぞ!
それから数日間、いつも通りの平和な日常が続いていた。
変わったことと言えばカラッとした暑さから少々ジメッとした暑さに
なったことくらいだろうか……それ以外はいつも通りだ。
そんな平和な一日になるはずだった一日……
いつものように大野宮さんが乗ってくる駅に到着したのだが、
今日は一向に大野宮さんの姿が見当たらない。
その姿はないまま電車は駅から出発。ホームをパッと見ても
それらしき人物は見当たらない。もしかして大野宮さんが遅刻!?
いや、そんなことはないはず。するとスマホの通知が鳴る。
大野宮【ごめん、風邪ひいちゃったからしばらくいけそうにない!】
その言葉とともに謝っているペンギンのスタンプが送られてきた。
そっか、単なる風邪か~……と最悪な状況じゃなかったことに安堵をし
俺【了解です。お大事にしてください】
そう送ってため息をつく。
確かに最悪な事態ではなかったけど俺にとっては朝の至福の時間が
しばらくなくなることに悲しみがある。
そんなことを思いながらイヤホンを付け好きな曲を聴き始める。
やっぱりこうやって曲を聴いてる時間も最高なんだよなとも思う。
しかしいつも会話していた大野宮さんがいないことによって
その登校時間はとても長く感じた。帰り際、思わずいないはずの
大野宮さんに手を振るところだった……危ない危ない。
そして駅から学校へ向かっていると
琴音「おっ、おはよう……なんか元気ないな」
俺「おはよう。まあな、ちょっといろいろあってな」
琴音「……たっ、ため込みすぎるとよっ、よくないからな。
話したくなったらわ、私に吐き出せばいいし」
そう必死になって寄り添ってくれる姿に俺は感謝した。
俺「ありがとう。そうだよな、ため込みすぎはよくないよな。
まあ話せるようになったらいずれ話すよ」
そう言って自分たちのクラスへと向かった。
しかし"話す"とは言ってもその経緯まで話す必要が出てくるため
少しばかりめんどくさがっている自分がいた。
そして大野宮さん、今頃体調良くなっているかなと思いながら
授業中にも関わらず俺は窓の外を見てたそがれていた。
もちろん授業の内容なんか一つも入ってくるわけがなかった。
その翌日もさらに翌日も風邪のため大野宮さんが来ることはなかった。
日を追うにつれて確実に元気になっているはずなのに俺の心は
だんだんと心配とショックだけになっていった。
琴音「りょっ、凌……ほんとうに大丈夫か?
じゅっ、授業にも集中できていなさそうだったし……」
俺「あっ、ああ。ちょっと最近疲れがたまっていてな」
苦笑いしてそう言うと琴音は俺の顔を見ながら
琴音「……うっ、ウソつけ!な、何か別の理由があるんだろう。
な、何年い、一緒にいると思ってる」
琴音にここまで強く言われたのは初めてでびっくりしながら
俺「琴音にはかなわないよ……実は毎朝一緒に登校している人が
いるんだけどその人が風邪で数日一緒に登校してなくて。
それでついぼーっとしてて」
琴音「……も、もしかしてその人のことをす……好きなのか?」
琴音の声が微かに震えているのがわかった。
俺「まさかそこまでお見通しだとはな、さすがだよ……
まあ好きな人じゃないとここまで手付かずにならないか」
琴音「……そ、その人のこと全く知らないけど、きっと大丈夫だと
思うぞ……た、ただの風邪って言っていたんでしょ。
なっ、なら心配せずに期待する方がいい」
琴音のその言葉に俺は"確かに"と強く思った。
俺「ありがとう。話を聞いてもらったらなんだか心が軽くなった。
また何か言うかもしれないがそのときはよろしくな」
琴音「うっ、うん……が、がんばれ」
そう言ってくれた琴音の声は震えていた気がした。
翌日、昨日の琴音の言葉を聞いたもののそれでも憂鬱な気持ちで
いつもの駅にたどり着いた。すると人混みをかき分けて隣に座る人がいた。
「おはよう、ごめんねずっと風邪で」
まさにずっと会いたかった大野宮さんだ。
その笑顔を見ただけでこれまでの辛さや憂鬱といった気持ちは一気に吹き飛んだ。
俺「おはようございます!体調良くなったんですね!」
うれしさのあまり、俺のメモ帳に文字を書くことすらせず
直接言葉にして伝える。それに驚きながらも笑ってくれる大野宮さん。
それからの会話はいつも以上に弾んでいる気がした。
この数日間、話せなかったときを一瞬で戻すような感覚にすら陥った。
「今日も頑張ってね!」
俺「はい!大野宮さんも!」
学校の最寄り駅に到着しそう言って俺は電車を降りた。
久しぶりに大野宮さんと話すことができてうれしい気持ちで学校に向かう。
琴音「おっ、おはよう……体調良くなったのか?」
俺「ああ、琴音おはよう。うん、久しぶりに会って話したからな」
琴音「そっ……それはよかった。りょっ、凌の楽しそうな笑顔が見れてうれしい」
俺「なんだよそれ。昨日は相談に乗ってくれてありがとな」
琴音「べっ、別に私は聞いていただけだし……」
俺「俺にとってはそれがありがたかったよ」
読んでいただきありがとうございました!
コメント(感想)をくださるとうれしいです!
それでは次回お会いしましょう!アオでした~!




