07話 冒険者ギルドに登録!
翌日――
再び、冒険者ギルドへ修練に来ていた。
私が修練している間、パパとリオはギルド依頼をこなすことにした。
「アテナ先生、こんにちは」
「あら、エレニ来てたのね」
「はい、今日は杖も持ってきました!」
手に持っていた杖を先生に見せた。
「素敵な杖ね。この杖、見るのは初めてだわ。ちょっと持たせてもらってもいい?」
私は、先生に杖を渡す。
「――っ!」
アテナが鋭い吐息とともに手を引く。
「あ……。すみません!
人によっては、この杖に触ると痛みがあるらしくて……」
「エレニは、この杖を触っても平気なの?」
「はい。他の杖より、この杖が一番手に馴染むんです」
私は、少し申し訳なさそうに言った。
「そっか、それじゃ早速杖を使って試してみましょうか」
「はい!」
「では、また雷の魔法からやってみせてちょうだい」
私は、庭の的の前に立ち星屑の流れる杖を構える。
頭の中で、雷をイメージして……。
杖の先に小さな光が生まれ、次の瞬間、空気がピリピリと震えた。
放たれた雷は一直線に的を貫き、轟音と共に白煙が上がった。
ズドオオオーーーーーーーン!!!!
「え……」
轟音。鼓膜を揺らす衝撃波。
砂煙が晴れた時、そこにあったはずの木製の的は、
灰すら残さず消滅していた。地面には深く黒い焦げ跡が刻まれている。
「なるほどね……」
「せ、先生、私何か間違えたんでしょうか……」
「ううん。ただ、杖を使ってるせいかしら?
確実に昨日と比べてコントロールも良いし、格段にパワーアップしてるわね」
「で、ですね……」
「うーん。そういえばエレニ、魔法使う時あなた詠唱してないわね」
「詠唱って、呪文を唱えたりすることですか?」
「そう」
「してないです……」
「無詠唱か~」
「やっぱり、呪文とか覚えたほうが良いんでしょうか」
「いやぁ~。呪文使わなくても魔法使えるなら、
それに越したことはないんだけど……。
もう少し色々、練習していこうか。まだ、魔法使い始めたばかりだしね。」
「はい!」
(昨日会った時、まさかと思ったけど……。
ゼウスと同じ雷の力を持つ子供……?
昨日は、薄っすらとしか感じ取れなかったけど今日は、
各段にパワーアップしてるのがわかる。
しかも、無詠唱魔法となると……。でも、まだ確証は出来ないわ。
もう少し様子を見ましょう)
「それじゃ、次は水の魔法試してみましょ」
水の魔法かぁ……。今度こそ上手くできるといいけど……。
頭の中で、ホースから水を出すようにイメージして……。
エレニは杖を握り、的までの距離を見定めた。
「よし、今度こそ!!」
杖の先端が淡く青く光り、水の粒がぽつぽつと浮かび上がる。
彼女が手首を少しひねると、水滴が集まり始め、小さな渦を形成した。
渦はだんだん大きくなり、空気を切る音とともに的へ向かって進む。
「えいっ!」
杖を前に突き出すと、水の渦は勢いよく飛び出し、
回転しながらまっすぐ的へと向かう。
的に触れた瞬間、水の粒が散り、青い光の波紋が広がった。
エレニは胸の中で小さくガッツポーズした。
「前より、上手くいった……!」
「うん、いい感じね!的にしっかり当ててるようだし、問題ないわ」
「はい!」
「威力や、範囲に関しては練習していけば調整していけるはずよ。あとは、火も試してみましょう」
「はい!」
火の魔法は、初めてだなぁ……。
えーっと、火の玉を投げるイメージで……。
杖の先端が赤く燃え上がり、小さな炎の粒がぽつぽつと浮かび上がる。
手首をひねると炎が渦を巻き、杖の先で小さな火の球となった。
「行けっ!」
杖を前に突き出すと、火球は勢いよく飛び出し、
火の尾が揺らめき、周囲の空気を揺らす。
的に当たった瞬間、パチッと火花が弾け、赤橙の光が一瞬で広がった。
「ふぅ……」
杖の先からまだ小さな炎が揺れていた。
「いいね! いいね! ちゃんと出来てるじゃない。
この調子で練習していけば大丈夫よ!
そうねぇ……どうせなら冒険者ギルドに登録して、
依頼受けてみるといいかもしれないわ」
「え?」
「まだ、幼いし危険な依頼は無理だけど、
簡単な薬草取りや癒しの魔法でケガを治したり、
お年寄りのお家のお手伝いならできると思う」
「それなら出来そうです!」
「ただ、一人では心配だから誰か一緒がいいと思うんだけど……」
「それなら、リオにお願いしてみます」
「あの、ケット・シーの?」
「はい、私の執事なんです」
「ねぇ、もしかして……そのケット・シーと契約をした?」
「え? 何でわかったんですか?」
「ケット・シーも妖精だし、昨日に比べて随分パワーアップしたからね!」
「やっぱり、そうなんですね!」
「お父さんと相談してから、冒険者ギルドに登録してね」
「はい!」
私は、依頼をこなし終えて戻ってきたパパにギルド登録の話をした。
「先生がそう言うなら、やってみると良いんじゃないか?」
「本当! ありがとう!」
「その代わり、必ずリオと一緒に行動することが条件だ」
「うん!」
「リオ、すまないがエレニのこと頼んだぞ」
「かしこまりました」
「リオが一緒だと、心強いよ!」
こうして、私は最年少にして冒険者ギルドへ登録することになった。
勿論、異例ではあるけど、
アテナ先生の口添えもあって登録はすんなりと済んだ。
「よう、エレニ!」
振り返ると、そこにはジーノがいた。
「ジーノ!? どうしてここに?」
「俺も、実はここで修練してるんだぜ」
「そうなの?」
「あぁ、俺だってもっと強くなりたいしな」
「それじゃ、小石を投げてたのも……」
「あぁ、修練のためさ。正確にコントロールできるようにな!」
「そうだったんだ~」
「それじゃ! 俺、これから修練場行くからまたな!」
そう言ってジーノは、奥の修練場へ入っていった。
(負けてられないな!ママだった頃の経験と、
この新しい力を合わせて、みんなの役に立たなきゃ!)
こうして、私はリオと数々の依頼をこなしていくのだった。




