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16話 ビフレスト・アカデミー

入学の朝、家の前にはすでに、馬車が待っていた。


寂しそうな顔をして、支度を見守るフィーロ。

制服に身を包んだ3人が立つ。

エレニの胸にはゼウスからのペンダントが光り、手元には眠ったままの妖精を入れた小さなかごを持っていた。


「忘れ物はない?…」

「うん。大丈夫」

「エレニ、私たちからの入学祝いだ」


ハルマが綺麗に紙とリボンで包まれた品物を渡す。

それは、”革製のブックカバー”と色とりどりの糸で編まれた”ブレスレット”だった。

一目見て、2人の手作りだとわかる。


「パパ…ママ…。本当にありがとう。大切にするね」

「頑張れ、応援してるぞ」

「うん。あのね…私からもプレゼントがあるの」


エレニは、小さな箱を渡す。

その中には、2つの石が入っていた。


「これは…?」

「真っ黒な石は、結界石。家の中心に置くと弱い魔物や害虫を寄せ付けないし、災害からも守ってくれる…はず」

「はず…。という事は、検証していないんですか?」

「ごめん…災害までは時間がなくて検証できなかった…」

「エレニらしいな」ジーノが笑う。

「もう一つの透明な石は、天気予報の石!翌日の天気が晴れならオレンジ、雨は青、雷は金、雪は白と色が変化するよ!」

「エレニ、ありがとう。どちらも大切に使わせてもらうよ」

「エレニ様、そろそろお時間です」


エレニ、ジーノ、リオの3人は馬車に乗る。

馬車の窓越しに話す。

「手紙書くね!」

「うん…。待ってるわ。いってらっしゃい!」

「頑張れよ!!」


鞭が軽く打たれ、ゆっくり馬車が動き出す。

2人の姿が少しずつ小さくなっていった。


「はぁ…。なんだか、緊張してきた…」

「やめろよ、俺まで緊張してくるじゃないか」

「2人とも、いつものままで大丈夫です。自信を持って」

「そうだな、向こうでアイアスの兄貴にも会えるのかな?」

「どうだろう…?」

「アカデミーで聖騎士候補生の訓練士官をされているようなので、他の任務でなければお会いするかもしれませんね」

「そっか…」


三人はそれぞれの思いを胸に、アカデミーに向かっていった。


ーービフレスト・アカデミー校門前ーー


馬車が、石畳のを進むと校舎や図書館、研究塔、寄宿舎広場などが見えてきた。

目の前したアカデミーは、予想を遥かに超えて大きく、そして広かった。

馬車を降り、校舎を見上げる3人…。

「す、すごい…」

「でかいな…」

「さ、受付にいきましょう」


ビフレスト・アカデミー(通称:ビフアカ)

アカデミーそこは、神々の子供、人間、妖精も集う学び舎、聖騎士もここで育成される。

世界樹をはじめとする様々な植物や動物・魔法・錬金・医術等の研究、戦闘や隊列訓練、農業、漁業、商業、貿易、法律、建築、芸術、神々の政治等ありとあらゆる事が学ぶことができる。


先に進もうとしたところ一匹は黒に赤のグラデーションし、もう一匹は青白く光る蝶々がひらひらと舞う。

「綺麗な蝶々…」


見とれていた蝶々が回転したかと思うと、それぞれ制服に身を包んだ人の姿になった。

一人は黒髪の巻き毛に赤い瞳をしており、もう一人は薄い水色の髪に深くて青い瞳をしていた。


「これはこれは、メリノエ様、マカリア様お待ちしておりました」

学園の教師らしい人が、声をかける。


周囲ではざわめきが起きていた。

「あの2人が、ハデス様の双子のお嬢様達なのね」

「ええ?あの二人も入学するの?なんだか怖い……」


3人はその様子を背に、彼女たちの後ろを歩きながら受付へ進む。


校舎入口のところに、ふわふわと空中に開かれた書物と羽根ペンが浮いており、その下には魔法陣があった。

メリノエとマカリアは、それぞれ魔法陣の上に立つと光りだし羽根ペンが書物にサラサラと記入していく。

「どうやら、魔法陣に立つことで受付になるようですね」


受付を終えた、メリノエがすれ違いにエレニのペンダントに気づいた。

「あなた…」メリノエが声をかける。

「あ、はじめまして。エレニと言います」

「私、マカリエよ」

「私は、メリノエ…」

「アカデミーに入るの?」マカリエが気さくに話しかけてくる。

「はい、今日からお世話になります」

「それじゃ、同級生ね!よろしくね」

「こちらは、リオとジーノ」

「よろしくな!」

「よろしくお願いします」

「そう、よろしく…」


メリノエは、何か言いたげだったが黙ったまま去っていった。

「それじゃ、また!メリノエまって!」


マカリエは、メリノエの後を追いかけて行った。


「一瞬、エレニの事バレたかと思ったぜ」

「少し冷や冷やしましたね…」

「でも、悪い娘達じゃなさそうだったよ…?」

「マカリエは、気さくな感じだったよな」


受付を終えた3人は、封筒に入っていた入学案内を見ながら校舎に向かう。

「次は、魔法測定か…」

「俺、魔力なんてない!」

「それを言ったら、私だって剣技とか出来ないよ。」

「それぞれ、役割があってこそお互いを補えるってものです」

「そうだね」

「各自が、必要だと思う科目を受講する形になっているので、いつも3人一緒とはいきませんが大丈夫ですよ」

「そっか…。そうなると、3人が連絡を取る手段が欲しいなぁ」


(前世みたいにスマホなんてないし…。でも、魔法で通信機みたいなのは作れるかも)


「とりあえず、食堂では顔を合わせられるので朝、昼、夕の時にお会いしましょう」

「それまでに、連絡手段に使える物を私が準備しておくよ」


3人は、魔力測定が行われている教室に向かった。


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