第二羽 新学年となる四月一日の僕と鶫鳥。
一気に三羽投稿予定です!
朝目が覚める。
春休みも終わり今日から中学二年生としての新しい学期が始まろうとしていた。
僕は起きてすぐに台所に向かい朝食の用意をする。お母さんは仕事が忙しそうなのもありなるべく負担を減らしたいと思っているため僕が朝食と夕食は作る様にしている。
「あ、お母さん! おはよう、朝食出来てるよ!」
「うん、ありがとう美月」
少し寝癖のついたストレートて綺麗な銀髪にパジャマ姿の身長百三十五cmのこの女性が僕の母、(月本 美雨)だ。
母親はサモン・ザ・サモンと呼ばれる30年ほど前から世界中が熱中していて、プロ制度すら存在するカードゲームを運営している会社に勤めている。
父が亡くなった後、知り合いにスカウトされて入社したなんて話は何度も聞いた。
そんな母との朝食を済ませた僕は洗面所に向かい洗面台に備え付けられている鏡に映る自分の姿を確認する。
(よし、寝癖はないな! 変じゃないな!)
鏡には母と同じ銀髪で、身長百五十七cmの少年。
そう、僕自身である(月本(つきもと 美月)の姿が映っている。
僕は制服に着替えると玄関に向かい母に向かって「行って来ます!」と挨拶をして学校へ向かう。
学校に向かう途中で例の小学生時代からの親友である晶と合流する。
「あーあー、なぁー美月? 春休みってあっという間だよなーそれに昨日はずっとデッキをいじってたから眠いしダルイわー」
「で? 晶はサモザの新しいデッキとか浮かんだの?」
「まーそうだなーわりかし良い感じには仕上がったけど回して見ないとわかねーなー」
「そっか、じゃあ今日の部活の時に僕と試合してみる?」
この身長、百六十七cmで体格も良い赤髪の人物が親友の(篠山 晶)だ。
晶は運動系が得意でスポーツもなんでもこなせるが、スポーツ系の部活では無く(サモザ部)に所属している。
僕も晶も燕の影響で小学生三年の時に始めたサモザが好きであり、今年も中学二年生のレギュラーメンバーになるために頑張っている。
学校に着くと、新しいクラス表が掲示板に張り出されている。
「あ、美月はBで俺はC組かー別々になっちまったな?」
「あ、でも晶は福田さんと同じクラスみたいだよ? よかったじゃん!」
福田さんは晶と仲の良い女子友達だ。たまに僕も一緒に遊んだりする仲だけど、可愛らしい見た目からは想像出来ないくらい気が強い女の子だ。
「あ、美月と晶ーオハー!」
「お? よー紅江!」
「福田さん、おはよう!」
後から来た福田さんがクラス表をみながら僕達に話しかけて来た。
「あ、美月Bなんだーってあ! 鳥羽の名前あんじゃん! 美月、もし鳥羽に何かされたら私に言えな? 倒してやるから!」
「福田さん物騒だって? そんなに鳥羽さん嫌いなの?」
「あ? ヤンキーと喧嘩しまくってるとか言うじゃん? あの女、普段から近づくなオーラ出してるから嫌いなんだよねアタシは」
「それでも、絡んで喧嘩とかやめてね?」
取り敢えず、問題児福田さんと超問題児とされる鳥羽さんが違うクラスの様でよかった! もし一緒だったら一悶着ありそうだし風紀委員としてめんどくさそうだったからそうならなくて良かった。
その後、晶達と別れた僕は、B組の教室の僕の指定席となっている席についた。
最初から身長順になっているのか? 僕の前の席には例の鳥羽さんの名前があった。
そして、その人物が現れる! (鳥羽鶫)身長、百三十二cmの小柄の女の子で桜色の長い髪をポニーテールにしているジャージ姿のザ・ヤンキーみたいな人物。
鳥羽さんが教室に入って来るなり教室が静まりかえる。
そして、鳥羽さんは机に自分の両足を載せてくつろぎ始める! 流石にそれは無いだろうと思った僕は前の席に座る鳥羽さんの肩を少し叩いて注意をする。
「鳥羽さん? 机は勉強用具とかを置く所で足を置く場所じゃ無いよ? それに女の子なのに行儀悪いし下ろしなよ!」
僕が鳥羽さんに注意した途端にクラス内は完全に静まりかえる……。
鳥羽さんは足を下ろすと、椅子に座りながら体を僕の方に向けて来た。
「ご忠告、ありがとうね? 確か風紀委員の美月ちゃんだっけ?」
「うん、ちゃんと僕の名前覚えててくれたんだね? 鳥羽さんは」
「私、こう見えても記憶力だけは良いんだよねーしっかし私にハッキリと言って来た奴は久々だったからちょっと嬉しかったよ?」
鳥羽さんは妙な笑みを浮かべている。
「そりゃーハッキリ言わないと? ダメな事はダメだって?」
「なるほどーでも? それで相手に絡まれるかもよ? 私が美月ちゃんにウザ絡みする原因としては充分だし〜変な真面目感は私みたいな奴相手には良く無いんじゃない?」
「ご忠告、ありがとうね? 鳥羽さん、でも僕はこう言う性格だからさ!」
鳥羽さんと話していると、今年の担任となる柊木先生が教室に入って来た。
「全員席に着けー!」
先生の一言で鳥羽さん以外の人は皆んな自分の席に戻った。しかし鳥羽さんだけは僕の方を向いたままだ。
「鳥羽さーん、早くこっちを向うねー」
柊木先生が鳥羽さんに注意をするが……。
「あ〜また担任は柊木ちゃんかーなんか注意されてばっかりで冷めたなーもう帰るねーじゃあまたねーみなさーん」
そう言い残し鳥羽さんはそのまま教室から出て行ってしまった。
「おい鳥羽ぁー! 全くアイツは本当に」
その後は、何事もなかったかの様に時間は進み! 新学年の一日目は良くある決め事だけで終わりを告げた。